ヤンキースタジアム観客数の減少が止まらない 続 ヤンキース帝国の黄昏

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11 /20 2015
すっかり空席が目立つことが珍しくなくなったヤンキースタジアムの風景。かつてまだジョージの威光があった頃、ヤンキースの観客動員数は2007年420万人を頂点にして、MLB全体1位の位置をその前後5~6年にわたってその座を守り続けていました。それが現在2015年NYYの観客動員数は320万人へと経年で明らかな下降トレンドを描いています。気が付くと100万人もの観客を減らしていることになります。現在のNYYはファンからすれば魅力が年々薄れているチームにもなっているということです。

観客動員数と勝率には一定の相関関係があることはセイバーメトリクスでも明らかになっています。例えばイチローが入団した最盛期のSEAはMLB1位の観客動員でした。あるいは5年前ほどのPHIの黄金期もこれまたMLB1位の観客動員でした。しかし最下位争いをするようになればSEAやPHIはいずれも一気に大激減、観客動員も一試合あたり20000人を割るようになりました。現在SEAはカノにクルーズと勝負モードに入っていたので観客はその本気度だけははっきり感じ取ったのか再びスタジアムに戻ってきました。あるいは強くて魅力があればKCのように大きく観客動員も躍進もします。しかし今年は一応POに数年ぶりに進出したにもかからわず、NYYの観客動員数に下降トレンドに歯止めがかからず過去10年で最低です。 (もっとも人気はNLが圧倒的であり、上位3位まではNL勢。AL1位の座については守っています)

いったいなぜNYYは2015POに進出したにも関わらず観客動員がさらに減ったのか?

先回の記事でも明らかのように各球団の収入が大幅に上がっているせいか10年前と比べてペイロールを200、300%増のチームも珍しくありません。そうしたインフレの中でペイロール10%の増加すら満たせないNYYは、全体のインフレ率を勘案すれば実質的なNYYのペイロールはむしろ下がっていると見なすことも可能です。一部のファンはペイロールが実質的に下がっていることを敏感に感じ取り、7月にも全く補強に動かなかったNYYの姿勢に経営努力の本気を感じずチームへのロイヤリティを失った可能性はないか。NYYは本気でチームを世界一にしてファンを喜ばせようとしているのかということです。そうした真の顧客第一主義の精神をハルが発揮しているとは到底言い難いものがあります。

ハルの性格は几帳面で真面目なのでしょう。あれだけ財産があっても飽食に溺れることなく実にスリムな体型をハルが維持していることからも、だぶつきや無駄が基本嫌いであり、真に価値のあるものへ大金を出すこと自体はかまわないが、選手が不良化し無駄な支払いだけはどうしても許せない性格なのではないかと想像します。先代から受け継いだこのチームの経営について黒字化の拡大維持することが自分の仕事であると考えているふしがどうもある。すなわちNYYは現在、がっぽり稼ぐ一方でコスト管理を厳重にしてスタインブレナー家の利益第一主義であり、顧客満足は第二であるという雰囲気を感じるのです。そんな現在のNYYにファンを魅了する世阿弥の言う「花」があるわけもありません。魅力がなければ客足も離れていきます。ハルにはビルベックの爪の垢でも煎じて飲ませたいくらいです。ショービジネスにおける<花>の大事さを歴史上、ビルベック以上に知り抜いていた人が私はいないと確信しています。

参考記事

「メジャー通必須の知識 MLB史に聳え立つ巨人ビル・ベックを知っているか」

「ボールパーク戦略の極意は<花>にあり」

NYYはもう一度経営の原点に立ち返って、顧客満足を第一に掲げてファンのためにも強者の戦略を明確に打ち出すべきではないのか。NYYが強者である以上自らの資本力が最も発揮できる戦うべき主戦場とは、フリーエージェントの市場であることは言うまでもありません。例えばここでサプライズを起こし3億ドルのペイロール構想を打ち出せば、ファンは再びヤンキースタジアムに戻ってきます。実際的かどうかは括弧に入れて、思いつくままにサプライズの一例として挙げればプライスとグリンキーの両取りです。誰もがあり得ないと考えるサプライズのことを世阿弥は「珍しきが花」と表現しました。こうしたサプライズ(=世阿弥の言う花)を演出するとファンは再びスタジアムへ足を必ず運ぶようになります。サプライズによって本気度がファンへはっきりとしたメッセージとして伝わるからです。SEAでもカノ獲得で本気を示した時、客は戻ってきました。

こうした世界一を勝ち取るといった夢を描く本気の力が今のNYYには決定的に欠けているものです。仮にサイヤンガーが二人揃えばPOにはほぼ確実に出れるでしょう。ファンも球団の本気に応えるべく一試合あたり何千人単位で観客動員が増える。一人どれだけヤンキースタジアムにお金を落とすでしょうか。ケーブルテレビも所有しでいるヤンキースグループのことですから諸々の経済効果で2015年比でもっても5000万~1億ドル近い増収は見込めるのではないのか。(結構控えめな数字を出しているつもりです)ちなみにTORは今年7000万ドルの増収があったようです。つまり投資分は回収できる算段もある程度できる。緊縮均衡から、拡大均衡への路線転換です。

実際グリンキーがNYに来るとも現実には思えませんがあくまで今のはたとえ話です。根本的な強者の発想としてサプライズな大胆な振る舞いがNYYには必要であると言っています。プライスと岩隈とアップトンの全取りでもいいです。(笑)大事なポイントはそれだけの資本力を実際にNYYは持っているということです。やはり組織の盛衰はTOPのクオリティ次第です。3億ドル軍団としてヤンキース帝国としての方針をはっきりと内外に示してゆくとこれからの歴史は全く違う展開になってくるはずです。そして実際このようなNYYの行動こそが実は最も他のチームが恐れていることです。


敵の最も嫌がることを仕掛けなくてどうして戦いに勝てるというのか。

カノを出すという大失策を犯した際、緊縮均衡路線というハルの方針は完全に間違ったものであると指摘し、続けてこうも言いました。拡大均衡路線を取っているLADが採用している強者の戦略こそ正しいと。たしかにLADは今はPOにおいて結果は出ていませんが、プロセスそのものをじっと見ていると正しい戦略をLADが採用していることがわかります。次回はジョージの手法の問題点も含めて、LADに見る強者の戦略について話を続けたいと思います。

STLやKCのような弱者の戦略についてこれまで多少お話をしてきたつもりですが、今度はLADの強者の戦略についてです。


大谷翔平についてのスタンス

日本ハムOB・野球評論家・プロ野球ファン・日ハムファンから二刀流・大バッシングのまさしく四面楚歌だった新人時代から一貫して栗山監督及び大谷二刀流の擁護する立場を貫く。

メジャーに大谷レベルの選手いくらでもいるとした二刀流否定派・メジャー通による「ゴロゴロ大谷説」も日本ハム時代から一蹴。

当ブログのポリシー

「これは現代に繰り広げられる壮麗なサーガであり、神話という文脈の中で大谷翔平という選手を捉えなければ、その実相は決してわからない。」

写真は古代ギリシャの神殿。