2016LADの戦略的課題をセイバーメトリクス分析する 攻撃編

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10 /23 2015
LAD HRリーグ1位 OBPリーグ2位 OPSリーグ2位。にもかからわず、なぜ得点はリーグ8位に留まっているのか?


このギャップをある程度明らかにしてゆく必要があります。いわゆる<拙攻>というキーワードによってLADの戦略的課題は括られると言ってもいいですが、これよりざっくりとしたセイバーメトリクス分析をします。LOB率が異様に高いということであり不運であったという要素もなくはないでしょうが、例えば単純にOBPは高くランナーは数多く出るがダブルプレーで再三チャンスを潰すLADの体質が容易に想像できるわけです。ダブルプレーの数リーグ3位です。ダブルプレーによって多くのチャンスを潰してきたことがわかります。3回裏1死13塁でもふつうに下位打者が強打でゲッツーで苦しんでいたデグロムを助けたシーンなど2015LADの象徴でした。

またこんな仮説も考えられます。個々の選手が点となってしまい自分勝手に打撃を行っているだけで、組織として投手を攻略しようとする意識がLADには希薄であるという仮説です。自分がテーブルセッターなのか、それともクリンナップなのか、チームとして打線が機能するにはそれぞれの個性に合わせた役割が必ずあります。組織で投手を攻略するとはそれぞれの選手のストロングポイントを生かしつつ、ある選手には自己犠牲も強いながら<チームとして如何に得点という結果をたたき出してゆくのか>という部分について、果たして意識統一が取れているのかということです。単に個々の選手が強くボールをミートすることに終始してはいないだろうか。


先日ALCSで青木が解説で無死2塁で右方向への進塁打について問われて「進塁打よりもメジャーでは強く打つことを求められる、二塁打に大きな価値を見出している」とのことでした。なるほどよく耳にする話の類ではあるのですが、短期決戦ともなれば3番のコレアでさえ何度も右方向へ進塁打を意識して打っていたように、青木の言っていることはペナント時には当てはまりますが、状況が違えば話は時に全く変わってきます。点差やイニングの状況もわきまえず、度々、自分勝手なベースランニングで青木はボウチーをがっかりさせてきましたが、青木のシーズン中のインタビューを聞いていても、ボウチーとの認識のズレは大きいものであるように感じました。ボウチーの野球には青木のようなテーブルセッターにはもちろんヒットになれば最高ですが、その愚形として進塁打を求めているものです。LADは状況判断力に劣る選手によって打線が構成されている可能性があります。

(小宮山のように教授の如き風貌をしていても、中身とギャップのある解説者もいるように、青木もイメージとしては俊足好打の選手ではあり抜け目なさそうではあるのですが、試合後の青木の言葉を聞いているとボウチーの考えについていけていないという感じが度々あります。案外ボーっとしてそうな石井の方が遥かに小宮山よりも確かな見識があったりするわけで、イメージによるレッテルは禁物です。)

例えばOBPやOPSがリーグ2位であるにもかかわらず、なぜ犠飛はリーグ最下位レベルなのだろうかという疑問もあります。それだけ塁を賑わせ、長打力もある打線で犠飛がリーグ14位であるということは、状況に合わせたバッティングができていない証拠なのではないか。
あるいはLADにはベースランニングへの意識にも問題があります。アルティメット・ベースランニングuBRという指標を見ると見事にリーグ最下位でした。アルティメット・ベースランニングuBRでは例えば1塁にいたランナーがシングルヒットで2塁にストップか3塁へ進塁したかで、そのベースランニングの能力の優劣を判定する指標です。こうした明らかなベースランニングに対する弱点もLADにはあります。
もう少し具体的にまとめると

●無死もしくは1死でランナー3塁にいた時、チームとしてアプローチの方法も含めて課題を絞り込み明確化する必要があります。ランナー3塁にいた時のデータを総ざらいするとともに、ウィークポイントを明らかにすべきです。どういう選手がランナーをなかなか帰せないのかという特定も大事になります。例えば犠飛が確率的に難しい打者ということであれば、打者のタイプによって犠飛の確率を高めるべく打つ技術を求めてゆくか、あるいは叩きつけるバッティングを身につけるか、あるいはプッシュバントの練習もしてもいいでしょうし、何らかの改善策を打ち出すべきです。
●無死もしくは1死で1塁にランナーがいた時、戦術でも単純に強打が多いためか、ゲッツーというケースが多すぎるわけですが、試合状況によってはエンドランや犠打 進塁打への意識をもう少し入れる必要があるのではないのか。もちろん強打が悪いと言っているのではありません。クリンナップには基本強打でいいわけですが、あれだけHRを連発していた強打者モラレスへエンドランを指示したKCのように工夫の仕様はあります。
●チーム全体としての判断力を中心としたベースランニングへの意識をもっと高める必要もあります。単に走力だけでなく、判断力の指針となるソフトに問題があるのかもしれません。


LADの拙攻を改善するには、個々の攻撃力ある選手を組織として機能させる工夫をしつつ、状況に応じた各人の役割分担をはっきりさせるとともに、攻撃のバリエーションを増やし、チーム全体として走塁への意識が高めてゆけば2015のような燃費の悪さも克服できるのではないでしょうか。キーワードは状況判断力、組織として機能性、細やかな戦術ということになるでしょう。ずばり黄金期の西武の野球を見習えということになります。インタビューすれば明らかになりますが、イチローが過去すべてのキャリアで接してきて最も脅威に感じたのは間違いなく黄金期の西武の野球です。その森西武が見習ったベースボールの原型はすべてドジャース戦法にあったわけです。


近年のLADは金満ゆえにいい選手を揃えているため攻撃力は高いが、反面大味なベースボールになり組織性や繊細さ・スピード感に欠けていると言ってもいいでしょう。短期決戦にこそスモールが活きるシーンはあります。あの調子の悪かったデグロムを攻略できなかった試合にこそLADの2015が集約されているのかもしれません。

参考記事

野村IDの源流には「カージナル・ウェイ(カージナルス流)」がある



大谷翔平についてのスタンス

日本ハムOB・野球評論家・プロ野球ファン・日ハムファンから二刀流・大バッシングのまさしく四面楚歌だった新人時代から一貫して栗山監督及び大谷二刀流の擁護する立場を貫く。

メジャーに大谷レベルの選手いくらでもいるとした二刀流否定派・メジャー通による「ゴロゴロ大谷説」も日本ハム時代から一蹴。

当ブログのポリシー

「これは現代に繰り広げられる壮麗なサーガであり、神話という文脈の中で大谷翔平という選手を捉えなければ、その実相は決してわからない。」

写真は古代ギリシャの神殿。