ダルビッシュが復活するための一つの提言 「配球は柔軟なサバシアに学べ」

日本人選手
05 /01 2019


防御率5.02、fWAR -0.3。

マイナーの平均レベルの投手が投げた際に設定されるWAR0.0にも満たない復活が待たれるダルビッシュ。これから復活のための提言をセイバーメトリクスの分析を通じて試みたい。

まず球種別の2019年の被OPSを並べてみる。ちなみに現在リーグ平均OPSは739。被OPSが739以上であればその球種は打者から見て平均レベルよりも打ち易いボールということになる。

4シーム 1469
スライダー 782
チェンジアップ 452
カットボール 216
カーブ  333 
シンカー  333

つまりダルビッシュが平均球速93.3マイルの4シームを投げ込む時、相手打者の平均的な攻撃力はOPS1389のベリンジャーになると考えてもらっていい。被OPS1469という数字はメジャー全体でも4シームの質としてはかなり悪く、格好のホームランボールになっていることがデータからもはっきり窺い知ることができる。

たしかにダルビッシュの4シームはベロシティも出るし、空振り三振を取ることもあるが、それ以上に四球を出し、ホームランを配給しているということになる。

あるいはこれまで得意としてきたスライダーも2019年になってからOPS782という数字に大きく下がったことからもわかるように、打者からすれば手も足も出ないボールではないことが被OPSからもわかる。

ちなみにメジャーを代表するウィニングショットでもあった2013年のスライダー被OPS440であり、打者を圧倒する球種であることがはっきり数字でも表れています。つまり当時のダルビッシュのスライダーは対戦する打者の平均攻撃力を投手レベルに抑え込んでしまうことを意味している

さて次にダルビッシュが打ち込まれている4シームとスライダーは配球全体のどれだけ占めているかを調べてみた。

4シーム 40.1%
スライダー 29.9%
カットボール  17.7%
チェンジアップ  3.2%
カーブ   3.8%
シンカー  4.8%

打者から見て打ち込んでいる4シームとスライダーが実に70%を占める。一方、打者から見て嫌に感じている他4つの球種は30%を占める過ぎない。戦略的に単純に考えても己のストロングポイントを前面に押し出すのが戦いのセオリーというものであるが、現在のダルビッシュの配球は真逆をいっていることがわかる。

ちょうど昨年ヤンキースの田中も、配球において4シームを極端に減らしドラスティックに変えてきたことがあったが、その理由も球種別のデータに基づいていたことは調べてみれば明らかであった。

ところでこの記事をまとめようとしている矢先に、サバシアの3000Kという大記録が達成されたという報道が飛び込んできた。

==== 余話

史上17人目の達成であり、これは32名の3000安打という記録をも凌ぐ希少性を持っている。更には左腕としては3人目であり、同時にこれは他では全く指摘されていない点ではあるが有色人種としてもボブ・ギブソン、ペドロ・マルティネスにつづいて3人目である。既にレポートもしたように、現代においても投手における白人の優位は揺るがない。クルバー、カーショウ、セール、グリンキー、バーランダー、コール、ストラスバーグ、シャーザー、デグロム、スネルなど投擲系に圧倒的な強みを示す白人がメジャーを代表する投手となっている。

実際ここ10年fWARランキングを見てもTOP10の内、8人が白人である。

話は全く逸れるが、リッキー・ヘンダーソンやバリー・ボンズなど、ここ半世紀の盗塁や本塁打の記録は言うまでもなく、タイトルホルダーの圧倒的なシェアは黒人によって占められている。これは決して偶然ではない。当ブログでは人種によって適正のあるポジションというものが現実にあると結論している。

ちょうど男子の2019フィギュアの世界選手権でも東洋系のアスリートによって上位が独占されているように、陸上100mは黒人の独壇場と言っていい。水泳では腕を振り回すことによって大きな推進力を得る競技であるため一般に白人が大きな強みを発揮する。

人種の身体的特性によって強みの発揮できるポジションやスポーツは確実に存在する

=====

話を元に戻す。かつては100マイルを投げ込む本格派だったサバシアの配球の割合を10年前と比較してみよう。

10年前             現在

4シーム 41.9%       →  2.2%
カットボール  0.0% →  46.7%
スライダー22.49%      →  33.6%
チェンジアップ  22.4%  →  9.3%
カーブ   0.3%       →  0.0%
シンカー  3.4%       →  8.1%

現在ではかつての100マイルの4シームがほとんどなくなり、着目すべきはカットボールの配球を46.7%まで激増させている点にある。驚くべき見事なモデルチェンジ。

そこで以上より、ダルビッシュへの配球の提言をまとめてみたい。

本人も実感しているように2019年ダルビッシュの武器は数字を見ても明らかなようにカットボールである。被OPS216も見ても圧倒的に低い数字となっている。まずは今のスライダーの半分でもいいので、このカットボールの配球の割合を一定の割合で大胆に増やすべきではないだろうか。

更には最大のウィークポイントとなっている4シームの一定の割合で高速シンカーを投げることをおすすめしたい。この高速シンカーも被OPS333は低いボールとなっている。相乗効果としてもストロングポイントとして据えるべきカットボールと高速シンカーを組み合わせることによって打者に横の揺さぶりをかけることが可能になる。

またカーブも割合ももう少しだけ増やしてみるというのも面白い。カーブという球種が被OPS333が低いというのもあるが、ウィークポイントになっている4シームの相補として緩急をつける意味合いでも有効な配球になるのではないだろうか。

これまでの本格派としての配球として、真っ向勝負の4シームとスライダー中心で三振を数多く取るというスタイルが通用しないというデータがはっきり示されている以上、配球を今一度見なしてスタイルを一新させることがあってもいいと当ブログでは考える。

結論

配球の妙とは、緩急や高低、左右の揺さぶりをかけるところにあり、互いの球種が影響を与え合っているものである。よって、これまで分析を試みてきたように配球の一球種、一球種を分断し、独立して分析することによって正しい解を得るというような単純なものではない。例えば4シームが打ち込まれているというデータが出ているから、完全に4シームをオミットすればそれでパフォーマンス改善に直結するという話ではない。

しかしながら分析することによって見えてくる真実もある。

今のダルビッシュの配球がストロングポイント必ずしも全面に押し出されたものではないことは、ほぼ自明である。なぜなら事実としてウィークポイントとなってしまっている二球種が全体の70%ものシェアを占めているからである。

サバシアのようなこれまでの常識に囚われない配球への発想の転換がダルビッシュには求められている。少なくともこのデータを見る限りダルビッシュは配球の割合について最善解を求め、ピッチングスタイルの変革していかなくてはならない時期にあると当ブログでは結論している。

大谷翔平についてのスタンス

日本ハムOB・野球評論家・プロ野球ファン・日ハムファンから二刀流・大バッシングのまさしく四面楚歌だった新人時代から一貫して栗山監督及び大谷二刀流の擁護する立場を貫く。

メジャーに大谷レベルの選手いくらでもいるとした二刀流否定派・メジャー通による「ゴロゴロ大谷説」も日本ハム時代から一蹴。

当ブログのポリシー

「これは現代に繰り広げられる壮麗なサーガであり、神話という文脈の中で大谷翔平という選手を捉えなければ、その実相は決してわからない。」

写真は古代ギリシャの神殿。