ワールドスポーツMLBについてレビューする 印象よりもファクトを重視すべきである

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07 /30 2017

下記はパークファクター2017年です。1位はコロラドのクワーズフィールドですが30位に改めて注目してください。

MLB Park Factors - Through July 26, 2017
RK PARK NAME RUNS HR H 2B 3B BB

1 Coors Field (Denver, Colorado) 1.323 1.274 1.166 1.140 2.716 1.004
2 Chase Field (Phoenix, Arizona) 1.207 1.315 1.063 1.231 1.219 1.094
3 Target Field (Minneapolis, Minnesota) 1.172 1.175 1.158 1.143 1.239 1.131
4 Yankee Stadium (New York, New York) 1.146 1.456 0.940 0.887 0.738 0.984
5 Globe Life Park in Arlington (Arlington, Texas) 1.124 1.097 1.086 1.160 1.004 1.088
6 Miller Park (Milwaukee, Wisconsin) 1.102 1.094 1.027 1.237 0.826 1.015
7 Oakland Coliseum (Oakland, California) 1.081 1.058 0.996 1.154 1.961 1.095
8 Citizens Bank Park (Philadelphia, Pennsylvania) 1.067 1.308 1.026 0.964 1.106 0.969
9 Progressive Field (Cleveland, Ohio) 1.057 1.165 1.084 1.118 0.529 0.953
10 Great American Ball Park (Cincinnati, Ohio) 1.048 1.084 0.965 1.034 1.415 1.073
11 Wrigley Field (Chicago, Illinois) 1.025 0.978 1.017 1.078 1.648 1.061
12 Comerica Park (Detroit, Michigan) 1.018 1.085 1.032 0.989 1.041 0.940
13 Guaranteed Rate Field (Chicago, Illinois) 1.014 1.021 0.929 0.842 0.693 1.176
14 Dodger Stadium (Los Angeles, California) 1.012 1.086 0.931 0.943 0.789 0.923
15 SunTrust Park (Cumberland, GA) 1.011 0.962 1.055 1.072 0.696 0.911
16 Nationals Park (Washington, D.C.) 1.004 0.983 1.070 1.059 0.421 0.956
17 Angel Stadium of Anaheim (Anaheim, California) 0.988 1.091 1.012 0.784 1.300 0.819
18 Kauffman Stadium (Kansas City, Missouri) 0.978 0.716 1.002 1.352 1.404 0.952
19 Oriole Park at Camden Yards (Baltimore, Maryland) 0.973 1.138 0.994 0.866 0.817 1.055
20 Tropicana Field (St. Petersburg, Florida) 0.972 1.014 0.978 0.905 1.236 1.001
21 Rogers Centre (Toronto, Ontario) 0.967 1.029 1.010 1.085 0.825 0.863
22 Fenway Park (Boston, Massachusetts) 0.941 0.693 1.054 1.040 0.561 0.999
23 Safeco Field (Seattle, Washington) 0.934 0.930 0.922 0.839 1.049 1.117
24 Petco Park (San Diego, California) 0.921 0.813 0.950 0.953 1.339 0.984
25 PNC Park (Pittsburgh, Pennsylvania) 0.887 0.778 1.001 1.029 0.616 0.900
26 Busch Stadium (St. Louis, Missouri) 0.886 0.825 1.008 0.958 1.184 1.017
27 Citi Field (New York, New York) 0.877 0.713 0.904 0.903 0.723 0.988
28 Marlins Park (Miami, Florida) 0.876 0.855 0.890 0.792 0.966 1.119
29 AT&T Park (San Francisco, California) 0.814 0.589 0.953 0.919 0.822 0.942
30 Minute Maid Park (Houston, Texas) 0.766 1.001 0.855 0.761 0.551 0.942

メジャー最高の攻撃力を持つアストロズのホームは見た目も小さく見えるので、イメージに従って小宮山はミニッツメイドパークは打者有利な球場であると明言しましたが、パークファクターではミニッツメイドパークは2年連続でメジャーで最も得点のし難い球場であることが明らかになっています。ホームランも特に出やすいこともない。たしかにアストロズはホームでも打ちまくるが、それより遥かにアウェイで攻撃力を爆発させているということ。あるいは投手陣もアウェイよりもホームの方が防御率ははっきり改善されることを意味しています。

念のため調べました。アストロズ 2017年 ホームとアウェイの成績。

チーム攻撃  ホーム OPS 824 得点 244
      アウェイ OPS 889 得点 355

チーム防御  ホーム被OPS 683 失点 205
      アウェイ被OPS 734 失点 220

パークファクターが示している通りの結果となっています。

統計的な数字を論拠としてイメージによるバイアスを排除し、物事を正しく価値判断することがセイバーメトリクスの重要な働きの一つです。こうしたデータに基づかないイメージ解説が小宮山だけかと言えばそうでもなく、フライボールレボリューションがトレンドだからと早合点して小早川は2017年になってフライボールが格段に増えたと指摘しているが、データによればMLB全体のFB率を見る限りそうはなっていません。MCの沖原さんが数字を論拠にした確かな知識に基づく話題を振っても、石井がこれまたフィーリング解説であっさり否定する。もちろん沖原さんは石井の顔を立てましたが、結果、石井の間違ったイメージ解説が全国へ正しいものとして流れました。

ワールドスポーツMLBの2017年のテーマはスタットキャストを中心としたデータを取り扱うことによって、よりベースボールの魅力を深く味わうというものではなかったのか。

この番組では反省会(レビュー)というものを一切せず、仮に解説者がデータに基づかない印象解説で数々の間違った発言をしても、解説者の顔を立て全くその間違いについて指摘することもないとしたら、かなりの問題だと思う。

先回のルーノウの記事で言いたかったことを要約すればこうなります。

「これまでは分析不可能であった領域へAIによるビックデータ解析で踏み込むことによって、新たなフロンティアを開拓したチームがアドバンテージを得るのであり、人工知能こそが新たなるマネーボールの時代へ重要なキーを握っている。」

時代はすでにそうした領域まで入っているにもかかわらず、数字というファクトを軽視するイメージ解説はやはり問題があると言わざる得ない。

ついでに言うならば以前、インテリジェンスを標榜するBSのMLB番組でMCを務めたこともある眼鏡をかけたスポーツジャーナリストが4年前にパークファクターの記事をダルビッシュに絡めて書いたことがあります。雰囲気だけはあり、さらっと読むと気付かないのですが、私は一読してすぐに筆者のパークファクターに対する完全な理解不足や論理の飛躍などの致命的な欠陥を見抜いたので、「この記事についてどう思いますか?」と質問を某所で聞いたことがあります。どれくらいの人が一発でこのセイバー分析記事の欠陥を見抜けるものなのか、要はリテラシーがどの程度あるのかが知りたかったわけです。

8割の人は「言っていることはまともだ」と皆コロッと騙されて、どこがおかしいのか全く理解できていませんでした。文章は巧みであり雰囲気だけはたっぷりなので無理もないかもしれません。仮におかしいことがわかっても具体的かつ正確に致命的なミスを指摘できた人はその時は一人もいませんでした。おそらく客観的に見る限り5~10%程度の人だけがそのコラムについてかなり正確に糺すことができると帰納的には推測しました。ちなみにその全く出鱈目なセイバーメトリクスの分析について、何百もの「イイネ!」が量産されている始末であり、記事発行元のnumberも校閲機能が全く効いていないようでありました。そのコラムに<インテリジェンス>が標榜されていることに私は愕然としたのですが、完膚なきまでに粉砕可能な分析記事であったことだけはたしかです。リテラシーがないと、どこがどうおかしいのかがわからない。

下記は以前書いたものです。セイバーとは直接関係ないですがイメージ解説の一例としてわかりやすいので再掲します。

===

解説者大島がレイズのトロピカーナフィールドでTEXベルトレのHRが出た瞬間「ドームは気圧の関係で、よくボールが飛ぶんですね」と言いました。この言葉を聞いて、ある程度のリテラシーがあるとその解説の出鱈目さが瞬間的にぱっと頭に浮かぶようなります。

「まず第一にトロピカーナフィールドは気圧式のドーム型ではなく、体育館のようなかっちりした密閉式ドームである。故に大島が言うような内外の気圧差は基本ない。もし仮に大島が言う気圧式ドームであっても気圧を高めてドームは膨らませているので、ボールが気圧によって飛ぶということは物理的に有り得ない。クワーズフィールドのように気圧が低ければボールは飛ぶが、ドーム式は内側の気圧を高めて膨らませている以上、高い気圧でボールは逆に飛ばなくなる。更には、そもそもトロピカーナフィールドはここ10年で見るとメジャーでも屈指のピッチャーズパークである。だからこそ、フリードマンGMはセイバーメトリクスを駆使してスモールなチームを作った。

解説者の大島が東京ドームとトロピカーナフィールドを同一視し、気圧式ドームの典型的なヒッターズパークであると思い込んでいることが一瞬で透けて見えてくればしめたものです。トロピカーナフィールドは決して広い球場でもなければフェンスも高くもないために、大島が勘違いするのもわからなくはないのですが、トロピカーナフィールドは密閉式ドームの典型的なピッチャーズパークである。」

記事冒頭に示した パークファクターでも トロピカーナは20位。

結論

ワールドスポーツMLBは番組のクオリティを上げるべく、データの取り扱いには細心の注意を払いながらレビューをしっかりと行い、曲がりなりにも<データ>をテーマに掲げているならば、データが示すファクトとイメージ解説が食い違う時、優先すべきは解説者の<印象>ではなくデータに基づく<ファクト>である。小宮山の印象とは全く違い、ミニッツメイドはファクトとして紛れもなく2016年、2017年、連続でメジャー最高のピッチャーズパークである。

ここからは余談です。以前こんなことを言われたことがあります。「貴方は解説者やライターの言っていることを基本信じていないですよね?」と。正しいとジャッジしたものだけは取り入れて、そうでないものはすべてシャットアウトする。ちなみにそれをリテラシーと言います。

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大谷翔平についてのスタンス

日本ハムOB・野球評論家・プロ野球ファン・日ハムファンから二刀流・大バッシングのまさしく四面楚歌だった新人時代から一貫して栗山監督及び大谷二刀流の擁護する立場を貫く。

メジャーに大谷レベルの選手いくらでもいるとした二刀流否定派・メジャー通による「ゴロゴロ大谷説」も日本ハム時代から一蹴。

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「これは現代に繰り広げられる壮麗なサーガであり、神話という文脈の中で大谷翔平という選手を捉えなければ、その実相は決してわからない。」

写真は古代ギリシャの神殿。