フライボールレボリューション、超攻撃革命を起こすアストロズの戦略を読み解け! その1

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07 /17 2017

この記事を書くまで2週間ずっと考え続けて、ようやくある結論に達しました。「フライボールレボリューション、超攻撃革命を起こすアストロズの戦略を読み解け! その2」において、驚くべき超攻撃革命がアストロズの現場で起きていることについて触れていきます。

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フライボールレボリューションの概要

4シーム(別称ライジングファーストボール)を含むすべての投球はマウンドからホームベースへ向かって落下するボールであり、ホームランを打つにはその各々の球筋に向かって打者はレベルスィングをするのが正しい。例えばスピンの効いた4シームに対しては、4シームも小高いマウンドからボールが落下してくるため傾斜前後の10度程度上向きアッパースィングが求められる。同様にカーブに対してはその落ちてくる球筋にバッドを入れなくてはならず、必然バッドは下から上への典型的なアッパースィングがホームランを打つためには求められることになる。

よく打球にバックスピンをかけろというが、それはホームランを打つコツとしては必ずしも正しくない。たしかに打球にバックスピンをかければ揚力は発生するが、同時に卓球でいうボールをバッドで下面をこすり上げカットし過ぎると、力がボールへ上手に伝わらず卓球でもカットされたボールは減速することになる。あくまで球筋に向かって平行にレベルスィングをし、4シームの場合はボールの中心から1.6cm下を叩き、打球角度26°でバックスピン1800rpmの打球が放たれた時、飛距離が最大化することがスタットキャストによっても明らかにされた。

すなわち4シームの場合、ボールの真芯とバッドの真芯が完全に一致しても打球にラインドライブがかかり遠くへ飛ぶことはないが、バックスピンを意識する余り、ボールを下面を叩き過ぎても打球も力が伝わらず高いフライになってしまう。ホームランを打つ最適の衝突ポイントとなるボールの真芯よりやや下に対して単純にダイレクトに(球筋に対してレベルスィング)力強くバッドを衝突させ、結果バックスピンがかかることが大事になる。

ちなみにご存知のようにボールがすでにライブボール(飛ぶボール)へ変更されていることも、スタットキャストの分析で確認されています。打球の角度と速度の二つの条件を揃えて、どこまでボールが飛ぶか各年度の飛距離を平均を比較すれば、一目瞭然2017年の打球は遠くまで飛ぶことが数字上でも、明らかになっている。

2017 打球タイプ別

ゴロ       AVG 245 SLG 267 OPS 513 BABIP 245
フライ      AVG 211 SLG 676 OPS 887 BABIP 090

OPSを比較しても明らかなようにゴロよりもフライの方が高い攻撃力を有している。「ゴロを転がせば何かが起きる」という旧態依然とした考え方はセイバーメトリクス的には極めて非合理的であり、ゴロを打つくらいなら打者は積極的にOPSの高いフライを打ち上げろというデータの裏付けの元に、新たな理論フライボールレボリューションが表舞台へと登場してきました。数年前よりもセイバーメトリクスで最先端をいくチームは当たり前のようにチームの攻撃戦略として取り入れていた理論であったわけですが、それはともかくこれからフライボールレボリューションを相対化して眺めるための3つのポイントを話したいと思います。

第一に、ゴロを打つくらいならフライを打ち上げろという革命がMLBに起きたにもかかわらず2017年リーグ全体の平均FB率は35.5%。解説者小早川は今年からフライは増えていると連呼しているが実際は違っており、フライの比率は増えていない。過去の11年で見ても2017年はど真ん中の6位であり、格別に高い数値を誇っているのではないことを歴史的に確認しておく必要があります。では、なぜフライボールレボリューションが騒がれる中、2017年のFB率は特段高いものとなっていないのでしょうか。

おそらくその一つの理由としてパイレーツやアストロズの防御戦略においても、明らかにされているように、多くのゴロを打たせてそれを守備シフトの包囲網でアウトとしてどれだけ捕捉できるのかというグラウンドボールレボリューションなるものがフライボールレボリューションの裏側で静かに潜航しているからです。コインの裏と表のように攻撃におけるフライと防御におけるゴロは両義性を成しているのであり、攻撃側が如何にフライを打ち上げることができるかを考えているならば、守備側は如何にゴロを転がせることができるかに腐心しているのは極めて合理的な動きと言ってもいい。物事の一面だけを眺めても駄目でありMLB全体の動きを俯瞰すれば当然のこととも言えます。

第二に、フライボールレボリューションによって大ブレイクしたOAKのヨンダー・アロンソ、J.D.マルティネス、ジョシュ・ドナルドソンらの成功例に出して語られることが多いわけですが一方で、フライボールレボリューションによってOPSが一時期は400台という大不振に陥ってしまったKCのエルコバルのような選手もいる点も見過ごしてはなりません。エスコバルのパワーや打撃スタイルからして、フライボール狙いの打撃は逆効果であった。フライボールレボリューションはもちろんあらゆる打者に効く万能薬などではなく、フライを打ち上げろという打撃スタイルはパワーのない打者には適さないということです。

メジャーの芝の深い球場であるという特性を利用して多くの内野安打を狙って獲得してきたイチローのようなリードオフに、フライボールレボリューションは基本的には必要はありません。なぜならスプリンガーのように特別なパワーがない場合、リードオフは高い出塁率が求められる攻撃ポジションであり、フライのBABIPが90に過ぎないのに対して ゴロの場合は245である以上、イチローのような得点能力の高いリードオフはBABIPの圧倒的に高いゴロを求めるのは当然のことです。もっともイチローの場合は、狙えばHRも放つフライボールを打つ技術があったにもかかわらず、ヒットの数を欲しがるあまり、長打がどうしても必要な場面まで状況を省みずセーフティバントを狙いそれがアウトになり、セルフィッシュであると批判されていました。

フライボールレボリューション、超攻撃革命を起こすアストロズの戦略を読み解け! その2へつづきます。


大谷翔平についてのスタンス

日本ハムOB・野球評論家・プロ野球ファン・日ハムファンから二刀流・大バッシングのまさしく四面楚歌だった新人時代から一貫して栗山監督及び大谷二刀流の擁護する立場を貫く。

メジャーに大谷レベルの選手いくらでもいるとした二刀流否定派・メジャー通による「ゴロゴロ大谷説」も日本ハム時代から一蹴。

当ブログのポリシー

「これは現代に繰り広げられる壮麗なサーガであり、神話という文脈の中で大谷翔平という選手を捉えなければ、その実相は決してわからない。」

写真は古代ギリシャの神殿。