スタットキャストは旧来のスタッツの奥にあるものへ光を投げかける

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06 /03 2017
LADにベリンジャーという超プロスペクトがメジャーデビューを果たしました。惚れ惚れとするスィングスピードは頭抜けており、デビュー戦金田正一から四打席連続四三振を喫した長嶋茂雄ではないですが空振り三振ですら様(サマ)になっている。一方2017年のイチロー三振のシーンを見ると、ファーストボールには振り遅れ、変化球の時などは体が無様なほどに前に出されています。

自分のタイミングでフルスィングしているカッコいい三振とタイミングの取れていない無様な三振がある。ベリンジャーの三振にはホームラン可能性が内包されていると言ってもいいでしょう。

同様に同じショートフライでも、弱いバッドスウィングから生み出される小フライと、ヤンキースのジャッジによるフルスィングによって放たれた滞空時間の極めて長いショートフライでは、記録上はたとえ同じでもその意味は全く違います。後者のジャッジのケースは自分のタイミングでバッドが出ているということであり、バッドとボールの当たる位置が少しずれていたらホームランとなる可能性を大いに秘めたショートフライということになります。

記録上の凡打も旧来のスタッツでは三振は三振、内野フライは内野フライと全く等価に過ぎないわけですが、その意味するところは違うのであってスタットキャストの普及によって同じ凡打でもその質までも見極めて選手の価値を測ろうという時代にMLBも突入したと言えます。

例えば先日の前田についても手厳しい評価が下されていましたが、セイバーメトリクスの最先端をいくドジャースのことです。ちょっと一般とは違った見方をしていた可能性があります。というのも前田の先日の試合のでは2K3BBと、単純に眺めると旧来のスタッツから導き出される数値はセイバーメトリクス的にも非常に悪いわけですが、現在ではpitch F/Xがあります。前田の4シームは十分に制球されており、四球という結果であってもボールが先行し最後も完全外れた四球なのではなく、少なくとも2つのBBについてはカウント3-2からいずれも前田が狙ったところへボールはミットに収まっており、ptich F/Xからも完全にストライク判定されていました。審判のエラーさえなければ4K1BBであったのであり、味方のエラーもなければまず3失点という結果ではなかったであろうと客観的に考えられます。目先の結果ももちろん大事なのですが、ペナント全体を視野に入れているプロの眼はおそらく一般のファンとは違い、四球の質までも踏み込んで分析を試みているはずなのです。

アストロズがマクヒューのカーブの回転数に着目し、才能が一気に開花したというエピソードは余りにも有名です。マクヒューのコロラド時代のスタッツはERA10.02 未勝利の投手に過ぎませんでしたが、それでもって単純に駄目だとアストロズのルーノウは判断しなかった。スタットキャストによる細かいデータを読み取ることによって適正な評価を下すことに成功し、結果的にマクヒューは3年間で43勝もの勝利を収めることになりました。

もっともスタットキャスト以前に日本の今のMLBの解説者で初歩的なセイバーメトリクスの知識さえ持っている人はほとんどいないのが現状です。先日もLADのウリアスERA3.43であり被打率も220であり、ウリアスは勝てないだけでピッチング内容が素晴らしいとした解説者に仁志がいました。すでに予備知識として試合直前のスタッツでK/9=4.71、BB/9=5.14、xFIP=5.53という余りにも酷過ぎるデータを私自身は確認していたので、仁志もまたセイバーメトリクスの全く初歩さえ理解していないのだと思いながら話を聞いていたのですが、結果、その試合ウリアスは大炎上して、マイナーへ降格しました。この降格については、肘や肩への負担を軽減するという意味以上に、単純にウリアスがメジャーのスターターレベルに達していない意味合いが強かったと当ブログ的には結論しています。今までMLBの解説を聞いてきて、初歩的なセイバーメトリクスの知識さえ理解している日本人解説者は小宮山も含めて限りなくゼロに等しいです。なぜ勉強しないのかさっぱり理解できないのですが、アナログなフィーリング解説が未だ全盛です。

旧来のスタッツ、その数字のもっと奥にあるものへスタットキャストという最新鋭の技術は光を投げかけることによって、新たな世界観を提示していると言えます。

最後に余話としてダルビッシュの話になります。

ダルビッシュ ERA 2.97 FIP 4.01 xFIP 3.93

これまで客観的なデータに基づいていろいろ話をしてきましたが、2017年の好不調の波が激しくダルビッシュのピッチングは安定感がないために、細かい指標を拾っても試合ごとに変動するため些末なものに囚われても仕方がないと結論しました。結局 FIPとERAがこれだけの差があるということが如何に2017年のダルビッシュが運に恵まれているのかということであり、結論としては最初に戻って、厳しい数字が出る可能性の方が高いとしておきます。

仮にデータをすべて括弧に入れて、単純にダルビッシュのピッチングフォームを眺めた印象なのですが、上半身の柔軟性が失われてフォームも突っ張っており、ダルビッシュの現在のピッチングフォームはしなやかさやタメがないように見受けられます。2013年頃のダルビッシュのフォームの方がしなやかでタメもあり、単純にかっこよかった。今のダルビッシュがERAが2点台であろうが、技術的に大きな変化が見られない限り、こんなかっこ悪いピッチッグフォームで最終的に優れたパフォーマンスがたたき出せるのか、やはり個人的には疑問があります。

松坂(2008) ERA 2.90 FIP 4.03 xFIP 4.64 18勝3敗

もっとも松坂のように超強運でもってシーズンを乗り切ることもあります。ダルビッシュの場合は果たしてどうなるでしょうか。ダルビッシュがキャリア初の4.00台へ転落するのかも注目です。とにかく、結果はともかく今年のダルビッシュは調子の波があり過ぎて把握不可能というのが本音であり、調子が悪くても炎上しないのが2017年のダルビッシュということなのかもしれません。ただし冷静に分析すると炎上する危険性は常に孕んでいると言えます。

逆にこれまでの運を梃にして、突然、技術的に何かを掴み取り、ダルビッシュのレベルが一段階上がりサイヤング争いに絡んで来たら、喜んで謝罪記事をアップさせていただきたいと考えています。

ダルビッシュ有に危険シグナルあり!肉体改造の功罪をセイバーメトリクスする

大谷翔平についてのスタンス

日本ハムOB・野球評論家・プロ野球ファン・日ハムファンから二刀流・大バッシングのまさしく四面楚歌だった新人時代から一貫して栗山監督及び大谷二刀流の擁護する立場を貫く。

メジャーに大谷レベルの選手いくらでもいるとした二刀流否定派・メジャー通による「ゴロゴロ大谷説」も日本ハム時代から一蹴。

当ブログのポリシー

「これは現代に繰り広げられる壮麗なサーガであり、神話という文脈の中で大谷翔平という選手を捉えなければ、その実相は決してわからない。」

写真は古代ギリシャの神殿。