Pitch Valuesは語る ダルビッシュのスライダーに切れ戻る むしろ最も危険な球種とは・・・

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05 /18 2017

「ダルビッシュ有に危険シグナルあり!肉体改造の功罪をセイバーメトリクスする」

前回の記事の中でも、ダルビッシュに何か変化があれば記事にすると言いました。どうやらダルビッシュ最大の武器であるスライダーが良い方向へ改善されつつあることがデータでも明らかになってきました。

Pitch Valueというスタッツがセイバーメトリクスにはあります。投手/打者が一球毎に状況(ストライクカウントまで考慮した得点期待値)を変化させた値、 投手ならその球種がどれだけ失点を増減させたかを示しています。プラスが大きければリーグ全体の平均的な投球に比べ、失点を抑止したことをあらわす。

wFA  4シームによる得失点の増減
wFT  2シームによる得失点の増減
wSL  スライダーによる得失点の増減
wCT  カットボールによる得失点の増減
wCB  カーブによる得失点の増減
wCH  チェンジアップによる得失点の増減
wSF  フォークによる得失点の増減

wFA/C  4シーム100球当たりの得失点の増減
wFT/C  2シーム100球当たりの得失点の増減
wSL/C  スライダー100球当たりの得失点の増減
wCT/C  カットボール100球当たりの得失点の増減
wCB/C  カーブ100球当たりの得失点の増減
wCH/C  チェンジアップ100球当たりの得失点の増減
wSF/C  フォーク100球当たりの得失点の増減

例えば、ダルビッシュが実働していた2012~2014年の3年でwSLでメジャー全体の1位がダントツでダルビッシュでありました。wSL/C も1位。ダルビッシュは球界最高のスライダーにおける使い手であったことがデータ的にも明らかとなっていた。先回の記事の時点ではサンプルが少ないながらこのwSL/Cが単純にキャリア平均2.60の1/2の値、およそ1.30前後へ落ち込んでいました。ところが最近のダルビッシュのスライダーは実際の映像を見ても切れを取り戻しつつあり、改めて調べるとwSL/Cがキャリア平均レベルへ戻っている。

ダルビッシュのキャリア平均レベル。つまり、メジャー最高レベルの水準に戻ったということです。

更には今年からスライダーによく似たカットボールも大きく増えており、wCT/CをはじめとしてwCB/C 、wCH/Cも実に優れた数字をたたき出しています。問題なのはなぜかwFA/Cが-0.68とキャリア最悪レベルになっていることです。98マイルで気持ち良く見逃し三振などを奪えるようにも進化した一方で、タイミングが合うとスタンドまでもっていかれるという傾向が強くあり、フォーシームの被OPSが異様に高い値を示しています。

2017年 wFA/C

1位 3.05 セール
2位 2.18 カイケル
3位 2.01 カーショウ

5位までなぜかすべて左投手です。

ダルビッシュ

wFA/C -0.68

wSL/C 2.82
wCT/C 2.13
wCB/C 3.38
wCH/C 4.69
wFS/C -2.62

(ダルビッシュはほとんどスプリットは投げないのでサンプルも少なくほんとうに参考程度のデータです。)

桑田がダルビッシュは怪我の前よりも進化していると解説していました。しかし総合評価として進化しながらK/9、BB/9が共に大きく落ち込むということは論理的には絶対にあり得ない話です。あるいは小宮山がスライダーが素晴らしくなったとしていた時期まだwSL/Cはキャリア平均の1/2の1.30前後でした。

いずれもセイバーメトリクス的には妥当な解説とは言えません。

決めにいった98マイル速球などは手も足も出ないといった感じで印象には強く残るのですが、なぜ客観的にはダルビッシュのファーストボールがリーグ平均以下の威力しか発揮できないのか。非常に興味深いテーマであると同時にダルビッシュにとっては最大の課題となりそうです。

結論

ダルビッシュがファーストボールの投げるパーセンテージは全体の47.6パーセント。もしダルビッシュのファーストボールがリーグ平均レベルのwFA/C±0に改善されるならば、サイヤングも完全射程内の投手になる。

状況は随時変わっていくので、これからも変化があれば記事を上げます。例えばダルビッシュ1年目のことです。夏場にプライスの足の踏み出しに大きなヒントを得てダルビッシュの制球が劇的に改善された時がありました。技術的に大きく変化した2012年の9月以降、K/9は9.00を越えながら、BB/9は1点台とサイヤングレベルの投球を繰り広げていました。何かをきっかけに技術が進化して、セイバーメトリクスの数値も大きく改善されるということは十分にあり得る話です。

サンプルは少ないながらも、シーズン序盤、ダルビッシュのスライダーが全盛期レベルからは明らかに劣化していたのはデータ的に事実であり、「ダルビッシュ有に危険シグナルあり!肉体改造の功罪をセイバーメトリクスする」、これはこれで取り消すつもりもありません。


大谷翔平についてのスタンス

日本ハムOB・野球評論家・プロ野球ファン・日ハムファンから二刀流・大バッシングのまさしく四面楚歌だった新人時代から一貫して栗山監督及び大谷二刀流の擁護する立場を貫く。

メジャーに大谷レベルの選手いくらでもいるとした二刀流否定派・メジャー通による「ゴロゴロ大谷説」も日本ハム時代から一蹴。

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写真は古代ギリシャの神殿。