抜本的な改革を迫られるSEA GMの遅すぎた解任 

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08 /30 2015
GMの実力というものを測るには、やはり一定の期間が必要であるとつくづく感じます。わずか1年や2年ではほんとうのGMの実力はわからない。BOSのチェリントンGMなども出だしは最高潮であり、素晴らしい才覚を見せたかと思えば、数年も経たないうちにボロが出ました。ポーセロにあれだけの契約をオファーするGMは他にはまずいないでしょう。運もなかったと言えるかもしれません。ほんとうにBOSが必要な戦力がハンリーやサンドバルであったとはチェリントン自身も考えていなかった可能性があります。しかし周囲の状況はフラッグを奪取することを要求し性急な補強に迫られた結果、彼らを獲得し最下位となったBOS、運もなかったしGMのミスもあった。TEXのダニエルズGMにしても、巧みなトレードによって出だしは素晴らしい成果を立て続けに出していたかと思うや、ライアン社長を追放してからというものそこを境に慢心からなのかボロが次々と出てきました。GMの能力を過大にも過小にも見積もらないためには選手の能力同様に一定のサンプルが必要です。その点、ズレンジックの能力を推し量るには十分な時間があったと考えていいです。


バベジ時代のSEAはかなり悲惨な状況ではありましたが、バベジSEA以上に大きく負け越しPOから長い間遠ざかっていたのが、PITであり、BALであり、KCであり、WSHでした。100敗前後の最下位常連でもあり10数年から20年以上にもわたってPOに出ることはできなかったわけです。しかし気がつくと、下克上を可能にするMLBのシステムを利用してPOにそれぞれのチームは出て躍進をしていきました。そしてついにあの弱小の代名詞であったHOUまでがPOに今年進出濃厚となってきました。あれだけ低迷していたCHCもNYMもおそらく2015POに進出するはずです。十数年前では最下位がすっかり定位置と化したTBやTEXなども、昔の面影はなく、近年では少なくとも弱小扱いはされていません。


こうしてMLB全体の動きを十数年にわたって俯瞰すると、MLB機構の戦略としては、ペナントを盛り上げるために弱者をいつまでに底辺に固定させることを由とせず、下にあるものを常に上へ上へと押し上げてゆくようなシステム、順位が絶えず変動するように、完全ウェーバーやドラフトと連動したFA制度、分配金制度などによってチームが還流してゆくようなシステムを構築し、それが見事に機能していることがわかります。ワールドシリーズ優勝のBOSが翌年 リーグ最下位になるなんてことが実際に起きるわけです。


プロスポーツのショービジネスとしての基本とはそのドラマ性を如何に演出するかという点に集約されます。例えばアメリカンリーグが誕生する1900年以前にも数多くのプロリーグが潰れましたが、その潰れた最大の要因はペナントが始まる前から優勝するチームをファンはわかっていたからだと言われています。野球が筋書き通りに展開されたわけです。しかし本来、野球とは筋書きのないドラマでなければなりません。現代MLBにはチームの上下が還流する巧みなシステムがある以上、その流れに逆らわないように正しいチームの方向性を示し、ブレーキをかけなければふつうの能力を持っているGMならPOに実際に出れるようになっています。そんな中で最後に取り残されようとしているのがSEAです。TORもおそらくついにPO進出することになります。


どんなGMであってもトレードやFA、ドラフトでも成功もあれば失敗もありますが、当然、実力のあるGMはトータルで失敗よりも成功が多くなります。岩隈やクルーズ、シーガーは成功ではないかと恣意的に成功した案件だけにフォーカスしてもあまり意味はありません。全体を客観的に俯瞰するべきです。細かい過去についてくどくど書くつもりもありません。結果も既に出たように、成功よりも失敗の方が他のGMに比べて多かったからこそ、SEAは勝率のビリを争っていたPIT、BAL、KC、WSHに置き去りにされたわけです。ズレンジックは客観的にどう見ても人材獲得において成功よりも失敗が多かったGMであると結論せざる得ません。


私自身がこのズレンジックに最初に大きな疑問を感じたのは、怠慢プレイ、フィギンズのワカマツ監督暴力事件です。こうしたトラブルがあった時ポリシーのある組織は、チームが自らフィギンズへ試合出場停止くらいするものです。実際、怠慢プレイをしたTB時代のアップトンに断固としたフリードマンGMは処置をしました。しかしこの時、ズレンジックは監督であるワカマツの首を切るという最悪の判断を下しました。怠慢プレイをし監督に暴力を奮ったフィギンズには一切のお咎めなし。これはGMの判断としては完全に間違いでした。組織としての規律よりもフィギンズのご機嫌を取るという判断をしたわけです。


戦略的にも右往左往するといったものであり、そこには一貫したポリシーは感じられませんでした。就任当初は攻撃をほぼ等閑にして超守備型にするために、リーグ最高の守備力DRSと引き換えに攻撃力はリーグ最下位となり、そこからメジャー最低の攻撃力を補正するために外野フェンスを前に出して、攻撃陣をある程度揃えてリーグ平均になったはいいが一転してDRSがリーグ最下位になるといった具合であり、場当たり感は否めませんでした。ズレンジックの大きな特徴は、守備力なり攻撃力なり戦略的な課題をひとつに絞り込むと1点に向かって注力し邁進するが、肝心の最も大事であるチームの総合力は一進一退であり、勝率自体はなかなか改善されないという特徴がありました。どこまでいってもベースボールは得失点差を争う競技であり、最終的にはチームの総合力に帰着します。


結論としては、あれだけの時間と資金が与えられて、同じような境遇にあった他のチームが次々とPOに出る中、それに到達できなかったズレンジックはGMとして平均以下の能力しかなかったと見るのが妥当です。


今後のSEA戦略的な課題はファームの抜本的な改革に尽きます。SEAのドラフトも決して上手かったとは言えません。まずはSEAの選手を選ぶスカウティング能力そのものを再点検するとともに、ある程度の資本を投下し<優秀なスカウト>をスカウトするところから始めるべきかもしれません。更にはコーチィングの質や育成システムにも大胆な改革が求められるはずです。カージナルウェイのようなメジャーから最下層のマイナー組織に至るまで、強力なシンキングベースボールを浸透させて個々の選手を組織化し、如何に勝てるチームを作るのかという一点へ、あらゆる経営資源のベクトルを一致させる必要があります。


極めて単純な原点へ回帰するべきであり、優秀な新人をスカウトしメジャーへ数多く輩出させることができれば、MLBでは基本POに出られるような仕組みになっています。ケーブルTVとも大型契約を結びました。財力も十分にSEAにはあります。


SEAの未来は優秀なGMの選定に大きく左右されることだけは間違いありません。


大谷翔平についてのスタンス

日本ハムOB・野球評論家・プロ野球ファン・日ハムファンから二刀流・大バッシングのまさしく四面楚歌だった新人時代から一貫して栗山監督及び大谷二刀流の擁護する立場を貫く。

メジャーに大谷レベルの選手いくらでもいるとした二刀流否定派・メジャー通による「ゴロゴロ大谷説」も日本ハム時代から一蹴。

当ブログのポリシー

「これは現代に繰り広げられる壮麗なサーガであり、神話という文脈の中で大谷翔平という選手を捉えなければ、その実相は決してわからない。」

写真は古代ギリシャの神殿。