アストロズの強さの秘密 その戦略をセイバーメトリクス分析する 攻撃編

未分類
05 /18 2015

前回のつづきであり今回は アストロズの攻撃力をセイバーメトリクス分析します。

HOUの防御戦略を完結に一言でまとめると<無駄なBBを出さず、打球の質においてなるべくGBを多くし長打を避ける>というものです。四球はOBPへ通じますし、長打はSLGへ通じます。

「OBP+SLG=OPS」


超一級のエースがいないHOUにとっては、多くの奪三振Kなど望むべくもなく、現有の投手陣において最善の防御戦略であると言えます。


ではHOUが攻撃側に立った場合の戦略は如何なるものなのか? この防御戦略を180度ひっくり返せば、守る側にとっては嫌な打線ということになります。その攻撃戦略の理念を ざっくり書くならば


<打球の質において数多くのフライボールFBを打ち上げることによって、得点に直結しやすい長打を狙うと同時に、長打が多い打者は自然、投手も警戒してBBも増える>


というものです。


これがHOUの攻撃戦略の核となっていると見てほぼ間違いありません。みなさんが想像している通り、フライボールFB率リーグ1位です。更にはHR数1位、BB数4位という数値が並ぶことになりました。細かい指標を見ると選球眼もそこそこHOUはいい打者をそろえています。また+wRCが99という数字が示す通り、まさにリーグ平均の攻撃力を持っているHOUですが、純粋な長打力を示す指標と言われる長打率から打率を引いたISOだけは、リーグ1位という数字になっています。


この攻撃戦略にはそうしたストロングポイントを持つ一方、諸刃の剣でもあり、ウィークポイントとしてはFBばかり打ち上げれば、BABIPも自ずから低くなり、今日のスタメンでも200を切る打者が4人もいたように打率はリーグ最低。長打を狙えば、フルスィングを強いられるためKも増える。よってKもリーグ1位という結果になっています。


大事なのはチームの攻撃戦略として、各打者の意識が統一された中で、多くのKや低打率を恐れず、フライボールFBを積極的に打つことによって長打狙いを徹底するということです。結果BBも増えてきます。戦略にとって最も大事なことはチームとしてのベクトルを分散させることなく、一点に集約させること。よって戦略を徹底させた結果、アダム・ダンの劣化版左打者、マーク・レイノルズの劣化版右打者が数多くHOUの打線に組み込まれていることになりました。


一方においてHOUでは「投手の時代」においてはステロイドエラよりも相対的に価値が上がってきている<スピード>を担当する選手も3名置くことによって攻撃に多彩なバリエーションをもたらしています。SB数はリーグ1位。さらにHOUの凄いところはSB成功率が80を越えるといったものであり、数だけではなく内実をともなった盗塁数と言えます。さすがセイバーメトリクスにおいて最先端をゆくとも言われているHOUだけに盗塁成功率にもきっちりケアをしている印象です。


この強烈なパワーとスピードによってもたらされる攻撃のバリエーションは、接戦時において1点をもぎ取る際にも非常に有効であることが、今期のHOUに限ってはセイバーメトリクス的にもWPAの数値で証明されています。こう着状態を打破するには、何か一点突破できるようなパワーなりスピードといった強力なツールを持っていることが大事になってくるのかもしれません。WPAという指標では、リーグ平均クラスの攻撃力しか持たないHOUが、なんと3割打者を何人も要するリーグ最強打線KCとほぼ同等の数字のリーグ2位というのも、極めて印象的ではあります。道理で接戦に強いはずです。


以上がセイバーメトリクス分析をしたHOUの攻撃戦略の一端です。


防御においてGBがリーグ最多、攻撃においてFBがリーグ最多、攻守は表裏一体、ここにHOUの戦略の真骨頂があります。


コメント

非公開コメント

大谷翔平についてのスタンス

日本ハムOB・野球評論家・プロ野球ファン・日ハムファンから二刀流・大バッシングのまさしく四面楚歌だった新人時代から一貫して栗山監督及び大谷二刀流の擁護する立場を貫く。

メジャーに大谷レベルの選手いくらでもいるとした二刀流否定派・メジャー通による「ゴロゴロ大谷説」も日本ハム時代から一蹴。

当ブログのポリシー

「これは現代に繰り広げられる壮麗なサーガであり、神話という文脈の中で大谷翔平という選手を捉えなければ、その実相は決してわからない。」

写真は古代ギリシャの神殿。