岩隈のノーヒットノーランをセイバーメトリクス分析する

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08 /17 2015
「日米問わず、なぜ、DH制のあるリーグが強いのか?そのほんとうの理由を探る」に書いたように、ナリーグより過酷なアリーグにおいてノーノーを達成した岩隈の偉業については絶賛の嵐です。


なんと言っても岩隈はスマートなピッチャーです。セイバーメトリクスにおいて重要視されているKとBBの比率はメジャーでも2014においても8.00に迫ろうという屈指の存在。メジャーにおいて岩隈がピークとも思われるちょうど二年前、8回0封12k0BBなんてという試合を度々目にした記憶があります。だからこそのサイヤングポイントにおいてもリーグ3位というリーグを代表するような投手としての評価を2013年にはされました。


しかし今回岩隈の数字を見ると7k3BBという数字であり、それはメジャー平均さえも下回るものであり、(K7.65 BB2.84でメジャー平均)数字をぱっと見てさほど投球内容としては良くなかったのではないかと第一印象を持った。そこで打者のタイミングを外して打たせて取ることもできるだけタイプだけに実際の映像を次に見てピッチング内容の確認。解説の大島が奇声を発しながら「危ない」なんていう言葉も発していたように、三振を取ったボールはともかく、どう見てもかなり甘いボールも数多く散見され、打ち損じがかなり多かったのは確かです。外野へも高いフライをそこそこ打たれていた。


そこであの試合の岩隈の投球をセイバーメトリクスサイトで調べるとFIP2.55、xFIP3.65という予想通りの数字が並んでいました。つまり岩隈のノーヒットノーランは一定の運がなければ成し遂げることのできなかったということがセイバーメトリクス的に把握できます。


この意味するところをより鮮明にするために、一年前の対コロラドでカーショウがノーヒットノーランを達成した際の記録を調べました。FIPがマイナスを記録することはそうはありません。

16K0BB FIP-0.21 xFIP0.201。

岩隈と比較するならば圧倒的な投球内容であり、E-Fが-を記録しているように運にはほぼ依存しないノーヒットノーランであったことがわかります。すなわちノーヒットノーランにも運に大きく依存する岩隈タイプとまさしくドミナントなカーショウタイプがある。E-Fの乖離からしても少なくとも昨日の岩隈のピッチングにドミナントという表現はふさわしくはない。あわや二試合連続のノーヒットノーランをしそうになったMIL戦のシャーザーのようなピッチング。16K1BB FIP-0.12 XFIP0.67、これくらいの数字になるとまさしくドミナントと言っていいでしょう。 外野にもほとんど打球を飛ばせない状況。

あれだけ傑出した能力を発揮したマウンドを支配する投手ペドロ・マルティネスですら、一回もノーヒットノーランを成し得なかったことを考えると、やはりノーヒットノーランは投手の力だけで達成できるものでもないと考えるのが妥当です。サポートもそうですが運もある程度、必要。 正確を期すなら、カーショウのように圧倒的な力とわずかな運でノーヒットノーランを達成する者と岩隈のように一定の実力とそれなりの大きな運に恵まれることによってノーヒットノーランを達成する者がいるということになる。

今回の岩隈のノーヒットノーランを通じて、運と実力がベースボールにどうかかわっているのかという点について 改めて考えさせられました。ヘンリー・チャドウィックが今から150年前のナリーグ創世記に統計処理をはじめ、最初にERAや打率というスタッツを発明して以降、さまざまな指標が開発されてきましたが、それらの旧指標群と一線を画して

  <近年におけるセイバーメトリクスが見出した最大の知見とは、何か? >


そのひとつはベースボールには運というものが無視しがたい大きさでゲームを左右していることを統計的に明らかにしたことです。すなわちセイバー史上最大の発見のひとつは、間違いなくボラス・マクラッケンのBABIPの発見です。そう単純な指標でもないだけに、機会があればこのBABIPについても一度突っ込んで話をしてみます。なかなかに奥が深い指標です。

ここまで記事を書き終えてこれからupしようとする矢先に、他の記事を読むと岩隈のインタビューでノーノー極意とは?と聞かれて「それは、運ですね」と回答し、セイバーメトリクス分析記事でも「運」こそがキーを握るとあった。主観と客観が一致している。しかしそれは真理の一部を示しているに過ぎず、岩隈他一般的な日本投手で見られるノーノーを分析する限りであって、カーショウタイプの運ではなく力でねじ伏せるタイプのノーノーがあることもここに明記しておきたい。



大谷翔平についてのスタンス

日本ハムOB・野球評論家・プロ野球ファン・日ハムファンから二刀流・大バッシングのまさしく四面楚歌だった新人時代から一貫して栗山監督及び大谷二刀流の擁護する立場を貫く。

メジャーに大谷レベルの選手いくらでもいるとした二刀流否定派・メジャー通による「ゴロゴロ大谷説」も日本ハム時代から一蹴。

当ブログのポリシー

「これは現代に繰り広げられる壮麗なサーガであり、神話という文脈の中で大谷翔平という選手を捉えなければ、その実相は決してわからない。」

写真は古代ギリシャの神殿。