ダルビッシュ有に危険シグナルあり!肉体改造の功罪をセイバーメトリクスする

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04 /22 2017
トミー・ジョン手術のリハビリ期間中におけるダルビッシュの特に上半身につけられた筋肉の発達には目を見張るものがあるが、果たして、肉体改造の試みは吉と出るのかそれとも凶と出るのかセイバーメトリクスによって分析を試みたい。

まずは誰でも映像を見ればすぐにわかるように、ファーストボールの球速がアップしたことはpitch F/Xでも明らかになっている。奪三振王を獲得した2013年が平均球速92.8マイルだったのに対して、2017年では94.0マイルへと上がっている。

ところが球速は上がったが奪三振力は低下し2013年のK/9 11.89から2017年では大きく数字を落としており、K/9 8.39とキャリアでも最悪のレベルになってしまっている。更には制球が乱れに乱れたデビューした2012年であってもBBは4.19であり、ダルビッシュは2017年の中堅からベテランの域に達しつつありながらBB/9 4.38へと低下している。

さて、ここで興味深いデータを提示したい。

スライダーのOswing率である。

2012 46.3%
2013 41.3%
2014 45.0%
2016 45.3%
2017 28.6%

スライダーのボールへ外れる球を振らせる割合が、2017年で急降下していることがわかる。それだけスライダーの変化率が落ちたために、バッターから見切られていることがデータからはっきりわかる結果となっている。

更にはスライダーのContact%を経年で調べてみた。

2012 58.8%
2013 63.7%
2014 60.2%
2016 65.5%
2017 70.6%

どうやらダルビッシュ最大の武器にして奪三振力の原動力でもあったスライダーはバッドに当てやすくなったことがデータでもはっきりした。すなわちスライダーの切れが失われてストライク・ボールの見極めがしやすくなったばかりか、キレが低下したためにボールにコンタクトしやすいボールとなってしまったということである。

2013年のダルビッシュは追い込めば左右の打者問わずスライダーを投げ込めば、クルクルバッドが回っていたが、2017のスライダーのボールゾーンへ曲がる球は見極められるばかりか、さらには追い込んでもファールで逃げられるためにK/9は低下しBB/9は増えるという状況となってしまっているのが現状のダルビッシュなのではないだろうか。

肉体改造によって球速アップと引き換えに、筋力の極端な増強が、上半身から肩周りにかけての可動域を狭めた結果、スライダーに切れがなくなったのではないかということである。

エンジェルス戦のようにツーシームとセットにしてスライダーの制球が良い日には素晴らしいパフォーマンスを発揮することもできるが、もともと精密機械のような制球をダルビッシュは持ち合わせてはいない。2013年の奪三振王を獲得した年などは、ツーシームとスライダーをセットにする必要なども特になく、追い込めば左打者の内角あたりへ、右打者の外角あたりへ適当に投げ込んでいれば三振を量産することができた。それはダルビッシュ自身が現にそう語っている。「(2013年)とりあえずスライダーを投げておけば三振が取れる状態だった」と。

現在のMLBでは投手の奪三振力は2016にはついに平均で史上初の8.00を超えるに至り、2017年でもK/9 8.22 BB/9 3.30となっている。つまり現在のダルビッシュは奪三振力はほぼリーグ平均レベルに落ちている一方、制球力はリーグ平均を大きく下回りデビューの年以下となってしまっている。

ダルビッシュ 2017年 K/9 8.39 BB/9 4.38

サンプルは少ないために早計に判断することは戒めなければならないが、ここまでK/BBが大幅に悪化している以上、総合判断として己の肉体を使ったダルビッシュの実験は2017という勝負の年において、ともすればシーズン終了後<失敗>として判定される可能性は否定できない。ただし繰り返しになるがサンプルが少ない上にダルビッシュがこれからどういう修正を加えるかによって未来は可変的であり、これからも注意深く映像及びスタッツのウォッチをしてゆく必要はあるだろう。

問題視すべきは、ダルビッシュが2017バージョンの自分のピッチングにどちらかと言えば肯定的な意見を吐いている点にある。2017年のダルビッシュはその己の高い自己評価とは裏腹に客観的なK/BBは、2017年においてキャリア最悪の数字となっている。こうした主観と客観の齟齬が問題を更にこじらせてしまう可能性はある。

結論

昔のようなスライダーのキレを取り戻すか、ツーシームとの組み合わせと精密なスライダーの制球によってNEWダルビッシュスタイルを確立するか、あるいは新たなるウィニングショットを身につけるか、はたまたシンダーガード並みの球速までに引き上げるか、いずれにしても何らかの解決策を確立できない限り、2017のダルビッシュには厳しい現実がやがて数字上に表れてくる可能性があることをセイバーメトリクスは現時点で物語っている。

2017年終えた時、果たしてマーケットはダルビッシュ有をどう評価するのだろうか。





大谷翔平についてのスタンス

日本ハムOB・野球評論家・プロ野球ファン・日ハムファンから二刀流・大バッシングのまさしく四面楚歌だった新人時代から一貫して栗山監督及び大谷二刀流の擁護する立場を貫く。

メジャーに大谷レベルの選手いくらでもいるとした二刀流否定派・メジャー通による「ゴロゴロ大谷説」も日本ハム時代から一蹴。

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「これは現代に繰り広げられる壮麗なサーガであり、神話という文脈の中で大谷翔平という選手を捉えなければ、その実相は決してわからない。」

写真は古代ギリシャの神殿。