2017年、大谷翔平に待ち受けるインターナショナルFA・ボーナスプールの壁

未分類
12 /30 2016

新労使協定では、インターナショナルFA・ボーナスプールの各チームに割り当てられている金額は勝率に応じて475万ドルから575万ドルに設定されている。ただしこのインターナショナルFA・ボーナスプールの金額は他球団とトレードによって金額枠も動かせる。尚上積みできる金額は最大で当初の金額の75%までである。よって最大1000万ドル前後まで契約金枠をチームは増やすことが可能となる。

しかしインターナショナルFA・ボーナスプールの限界枠を超えると翌年の最高契約金は30万ドルになる。2017年7月からこの制限されるチームが全部で11チームある。ヤンキース、レッドソックス、ドジャース、エンジェルス、レイズ、ダイヤモンドバックス、カブス、ジャイアンツ、ロイヤルズ、ブルージェイズ、パドレス。だという。よって現時点で限度額が30万ドルのチームはすでに戦線から離脱しているのであるとのご指摘を頂いた。

なるほど一理はあるが、果たしてほんとうにすでにこの11チームは大谷に獲得戦線から離脱したと考えるのが正しいのだろうか。その指摘によれば以上の理由により大谷のパドレスはないと結論されている。大谷は1年目からメジャーでのプレーは可能だが、昇格しても、年俸は取り決められている最低保証の54万5000ドル。1年目の大谷が上記の11チームと契約しても手に入れられるのは85万ドルであり、同じくマイナー契約で渡った20年前の野茂よりも低く抑えられてしまっている。

プロである以上お金がすべてという考え方は当然あってしかるべきである。しかし黒田はヤンキースから20億のオファーがあったにもかかわらず6億の広島の選択したように、松井秀喜が日本球界へ復帰していれば、5億のオファーは絶対に下らない状況下にあったが、今の松坂のように醜態を晒すことはできないと引退を決めた。もしその立場に福留であったなら5億のオファーに飛びついたであろうことは阪神復帰劇の一部始終を見ても容易に想像がつく。

通常、福留の例でもわかるように人は経済合理性によって物事を選択する存在であると信じられてきた。株式マーケットという人の欲望が渦巻くフィールドであれば猶更、合理的な判断を人は下すと考えられてきたわけである。ところが株式マーケットにあっても、人は無意識のうちに極めて非合理的な行動をしてしまうことを証明したのが行動経済学である。

メジャーリーガーが100人いれば99人は名門ヤンキースの20億を合理的に選択することになる。しかし人間は非合理性をも内包した存在であり、黒田博樹や松井秀喜のように意識的に経済合理性よりもプライスレスなものを大事にする選手がいるのもまた事実なのである。日本ハムの本塁打王を獲得したレアードにしても西武のメヒアよりも市場価値があると評されていた。しかし自らメヒアの年俸よりも格段に安い日本ハムのオファーをレアードは喜んでのんだのはご承知の通りである。メヒアの年俸5億、レアードの年俸3億。レアードが日本ハムと再契約する前に他の球団とも交渉すれば確実に総額数億円は現状よりも上乗せ可能であったことくらい理解していただろう。

合理性と非合理性の両方を具有しているのが人間の真実の姿である。こういう認識の上に立ってこそはじめて黒田や松井秀喜、レアードのような選手の行動原理も認識することが可能となる。もし大谷翔平という一人の人間の価値判断が、経済合理性の上に大きく拠っているならば、そもそも25歳になった時に2億ドルは下らないサラリーを選択をするのではないか。大谷翔平の価値判断を一般的な常識という枠の中で測ろうとするのは、極めて危険である。

栗山監督「翔平にとってお金は関係ないと思う」
大谷翔平「大事じゃないとは言わないが、金の問題じゃない」

結論

どういう選択をするかは全く予断を許さない。25歳まで待つという合理的な選択があってももちろんいい。しかしこれまでの大谷の言動や行動を見る限りパドレスの最高契約金が30万ドルになることは、大谷の選択においても負の要因になること間違いないがパドレスを絶対に排除する決定的な要因にはおそらくならないだろう。

合理性と非合理性の狭間にもまたマージナルが存在している。その境界線(マージナル)を自在に超えながら、全体を眺めつつも状況に応じて総合判断としてどちらに比重をかけ物事を捉えるべきか、そこにこそ洞察力の質が問われている。

関連記事

黒田博樹の引退 完成された野球人生とは

大谷翔平についてのスタンス

日本ハムOB・野球評論家・プロ野球ファン・日ハムファンから二刀流・大バッシングのまさしく四面楚歌だった新人時代から一貫して栗山監督及び大谷二刀流の擁護する立場を貫く。

メジャーに大谷レベルの選手いくらでもいるとした二刀流否定派・メジャー通による「ゴロゴロ大谷説」も日本ハム時代から一蹴。

当ブログのポリシー

「これは現代に繰り広げられる壮麗なサーガであり、神話という文脈の中で大谷翔平という選手を捉えなければ、その実相は決してわからない。」

写真は古代ギリシャの神殿。