ヨギ・ベラの再来なるか ゲーリー・サンチェスがヤンキースの未来を担う

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09 /02 2016

期待のデュオ、ジャッジとオースティンの連続ホームランに沸き立ったヤンキース。決して一時的な雰囲気に酔いしれて甘い見通しを立ててはならないとも記事に書きましたが、ジャッジとオースティンのスタッツが打率1割台と今のところ完全な尻つぼみなものとなっています。変化球に対するタイミングを見ている限り、才能が花開くにはもう少し時間が必要なようです。

そうした中、存在感を強烈に放つのがゲーリー・サンチェスであり、新たなるヤンキースの黄金期を形成すべく強力なキャッチャーが誕生したという予感に満ち満ちています。第二期ヤンキース黄金時代を築いたKCステンゲルは、ヤンキースにおける12年間の監督生活のうち、リーグ優勝10度、ワールドシリーズ制覇7度を成し遂げたトーリをも凌ぐ名将ですが、そのステンゲルが勝つ秘訣は何かと問われて「それはヨギ・ベラを試合に出すことだ」と答えています。

チームを優勝に導くには主砲・マントルやエース・ホワイティフォードなどよりも、キャッチャーのベラこそが最大のキーマンであることをはっきり名将ステンゲルは認識していました。史上最多となる10個ものチャンピオンリングを有するヨギ・ベラ。優勝するために最も枢要なポジションとは攻守の要ともなるキャッチャーであることをベラのチャンピオンリング所有数はある意味、証明しているとも言えなくもありません。

実際に今メジャーを代表するキャッチャーと言えば、SFポージー、KCペレス、STLモリーナの名前がパッと浮かぶはずですが、ここ5年でも彼らがリードするチームが世界一をほぼ独占しています。あるいは日本でも黄金期にはヤクルトの古田や西武の伊東がいたように、全盛期の巨人には阿部がおり、中日には谷繁がいたのは決して偶然ではないと考えるべきでしょう。肩の強さ、インサイドワーク、バッティングどれを取っても超一級品の要素を持つサンチェスは将来的にはメジャー史上最高のキャッチャーへ名乗りを上げそうな可能性さえ秘めており、ヤンキースの未来を切り開く、最大のキーマンとなりそうです。

今から3年前大きな借金をかかえて低迷していたLADを救ったのは新星プィーグでしたが、一人の選手の勢いが旋風を巻き起こしチーム全体が活気を取り戻しPO進出を果たしたということがありました。今のヤンキースにあってはゲーリー・サンチェスがその役割を担っておりPO進出に首の皮一枚残っています。かつてはプィーグに救われたLADですが、今ではLADがプィーグをウェーバーにかけたとの報道もありました。今年LADについて最終的地区優勝できるかどうかは、先日60球の投球練習を終えて8月30日には練習の実戦登板をしたカーショウの復帰時期に大きく左右されそうです。

そしてPO進出戦線でヤンキースがここまで踏みとどまってこれたのも、ジラルディの功績についても触れないわけにはいきません。あまりジラルディを評価する記事はそう多くは見受けられませんが、並みの監督ならばヤンキースはLAAのようにとっくに、PO進出圏外にいたはずです。たとえ得失点差が-(マイナス)であろうが、ノバ・イオバルディ・ミラー・チャンプマン・ベルトラン・ARODらが次々と抜けようがPO戦線に踏みとどまれるのは監督が有能だからに他なりません。

「2016ヤンキースはすでに終わっている」と開幕時に書きました。ヤンキースに得失点差において+を記録できるだけの総合力はないと判断したからこそ2016ヤンキースは終わったと結論しました。通常、得失点差が-ならば、PO進出など絶望であり終わったと考えるのが妥当です。しかしヤンキース唯一の救いは監督がジラルディであることだとも書きました。ジラルディは過去何度も得失点差が-を記録しても貯金を作る実績があり、今年も22勝9敗という一点差ゲームで圧倒的な勝負強さを発揮しています。監督が有能である場合、なぜか得失点差が-の戦力を率いても貯金を作り出し、PO戦線に踏みとどまることがある。そのことを予め4月の段階から当ブログでは指摘していました。

改めて繰り返しますがジラルディ無能論には何らの数字的な根拠もなければ、明快な論理性も見出すことはできません。有能であるからこそERA5.00前後の若手が多数を占めるブルペン陣であっても今尚も接戦に強いのではないのか。新思考派のジラルディを理解できない者に限って、オールドスクールのソーシアは名将だと言うケースもあるわけですが、ピタゴラス勝率から導き出されるLAA勝敗は64-69に対して、実際のソーシア率いる勝敗は59-74となっており、実に10個も多くの借金を多く喫しているのがソーシアです。むろんジラルディのように接戦にも強くはない。(ソーシアももちろん名将には違いありません)

もし仮に今の順位を堅持しているジラルディを無能扱いするとは、誰が監督をやろうが今のヤンキースの順位はとっくに地区首位に立っているということになる。これほどふざけた暴論も滅多にお目にかかれるものではありません。監督の醸し出す威厳のある雰囲気や結果論から、その監督の仕事の全体像を見ることなく、極一部の采配の成否を切り取って恣意的に○だ×だと判断するのは、余りにも印象でものを語り過ぎではないか。もっと限りなくフェアーに大局的な立場から物事というものは眺めなければ、事態を正しく把握することもできません。


さて、これまでのLADの戦略を俯瞰すると、BOSからゴンザレス狙いで不良化しつつあったベケットとクロフォードを抱き合わせで獲得したように当初は拡大均衡路線を取り、損を覚悟で積極投資を仕掛けまくりPO進出という最低限の目標はクリアし続けていました。そして一昨年からレイズのフリードマンを社長に据えて、グリンキ―とも契約を結ばなかったように縮小均衡路線へシフトしつつあります。

拡大均衡路線 → 縮小均衡路線へ

こういう動きを見て感じるのは、LADの首脳陣が相当に賢い戦略性の持ち主たちだということです。明らかに戦いのセオリーというものを深く理解した上でやっています。ビックマーケットはこの順番を逆転させては絶対にいけません。戦略を知る者なら、絶対に抑えておかなくてはならない極めて重要なポイントです。

スモールマーケットならHOUやKCのように

縮小均衡路線 → 拡大均衡路線へ

まずベテランをファイアーセールしてプロスペクトを大量に抱えつつ、財政を緊縮した後に、勝負に出るという考え方こそが正しくなります。縮小均衡が絶対に駄目であり、拡大均衡が絶対に正しいということでもなく、繰り返しているように、戦略的な正しさはすべてがTPOによります。

とは言っても、「ファイアーセールをし若手へ切り替えたからこそ、ベイビーボンバーズが出現しヤンキースは一気に息を吹き返しているではないか」という声が聞こえてきそうなので、これからきっちり説明をしていきます。

ここからがいよいよ本題です。

LADはご存じのようにFAで積極的に補強する一方、将来の構想から外れている選手はケンプのように年俸をLADが大きく負担してでもトレードで外へ出し、クロフォードのようにWARがマイナスの選手に対しては4000万ドルをドブに捨てでもDFAにして、プロスペクトが入り込む余地を残してきました。ほんとうに才能がある選手ならピーダーソンやシーガーのように少ない機会をものにして頭角を現してくるわけです。FAでの補強は継続しつつ、戦力にならない選手は早めに損切りをする、あるいは多くの年俸をLADが負担してでも外へ出して新人が活躍できる一定のスペースを空け、FAとプロスペクトの戦力バランスを取ることは戦略的には非常に大事な考え方です。

ここ最近を振り返ってみても、LADがケンプで試みたようなヤンキースが年俸を大きく負担してでも構想外となったベテランを外へトレードで出したことが一度でもあったのか、あるいはファイアーセールする以前にLADのように大型を契約を結んでいたクロフォードをDFAにするような決断を一度でもしたことがあったか。AロッドのようにファイアーセールをしてからDFAをしても決断する時期が明らかに遅いのです。

不良化しつつある高給ベテラン選手を塩漬け状態にして、PO進出が駄目なことが判明してようやく重い腰を上げファイアーセールをする。

すべてがワンテンポ遅く、この時間に対するコスト感覚がヤンキースとドジャースでは大きく異なっている点に着目しなければなりません。株式投資でも<損切り>という決断のできるのがプロであり、損を確定させるのを怖がり<塩漬け>して事態を更に悪化させるのがアマだと言われます。もしヤンキースがファイアーセール以前に、塩漬けにしていたベテランの不良債権を切るなりトレードに出して、サンチェスやジャッジ・オースティン・トレイエスらにチャンスを与えていたら、全く違った展開になっていました。

当ブログの立ち位置を鮮明にするために「カーショウ復帰の目途立たず しかれども2016LADはまだ終わらない」という記事にもしたように、これまでもカーショウなき野戦病院化した青色吐息のLADのあり方をリスクを取っても一貫して支持してきたつもりです。実際、多数の声はLADは終わったと言っていたはずです。

「ファイアーセールをし若手へ切り替えたからこそ、ベイビーボンバーズが出現しヤンキースは一気に息を吹き返しているではないか」

この説明には明らかに論理の飛躍がある。なぜならばLADのようにファイアーセールをし再建期へなど移行せずともDFAや年俸負担により構想外や不良化のベテランを外へ出して、プロスペクトが入り込む余地を作り出すことは十分に可能だからです。ヤンキースはLADとはその真逆であり「FAでは全く動かずに、ベテランでロースターの枠を塩漬けにしプロスペクトにベンチのスペースを与えず、じり貧状態で最終的に売り手へ回った。」すべては一切の誇張もなく2016ヤンキースがこれまで取ってきた手法そのものであり、これこそは戦略的に完全に間違いであると繰り返し当ブログでは言ってきました。

縮小均衡路線 → 拡大均衡路線へ

この間違ったやり方でもビックマーケットのヤンキースは勝つことはできます。勝てないとは一言も言っていない。しかし勝利の生産性が確実に落ちることは戦略について学んできた者なら誰にでもわかることです。このやり方はどうしても勝利を手にするまで時間がかかり過ぎるのです。

ヤンキースにおいてサンチェスを手に入れたことは次なる黄金期の大いなるチャンスと見てもいいでしょう。時間に関するコスト意識を見る限り、観客動員および勝率を落とし続けたオーナーは能力的にはかなり劣ると断言できます。しかし監督は有能であり、まだ数十試合で判断することはできませんがもしキャッチャー・サンチェスが史上最高レベルだった場合、さまざまな要素の入った多次元方程式を解くとき、最終的にどういう結果が出てくるかは正直、予測はかなり困難なものとはなります。

オーナーに才能がないから絶対にヤンキースは勝てないというほどベースボールは単純でもなく、まして野村克也が言ったように99%監督でチームが決まるということも絶対にない。ベースボールは多面体である以上、何かひとつの切り口に偏って単純に白黒で決めつけることはできません。

結論

絶えずFAで補強をしながらもロースターをベテランで占拠することなく、同時に常にプロスペクトへ一定のスペースを設け組織の新陳代謝を図るというLADのスタイルこそが戦略的には正しい。(しかし戦略は正しくても、絶対エース・カーショウのみならずDL入り人数でLADは史上記録を更新する勢いであり、ここまでけが人続出では・・・非常に際どい場所に今LADは立っているのが現実であると言えます。)

おそらくはフリードマン社長が喉から手が出るほど欲しいであろう、キャッチャーにゲーリー・サンチェスという新星が現れたことは、ヤンキース帝国の暗雲を吹き払う一筋の光明となるはずであり、ハル・スタインブレナーの判断力ひとつでLADとNYYの立場が一気に入れ替わる可能性もある。

1995年以降MLBの世界一に導いた監督の元ポジションがキャッチャーである比率は優に50%を超えると言われている。日米問わず、名将と言われる監督の現役時代のポジションは言わずと知れたキャッチャーであることからも、キャッチャーというポジションの持つ重要性はチームを勝利に導くという観点から眺めた時、他にはない格別なものがあります。

果たしてゲーリー・サンチェスは、ヨギ・ベラの再来として新たなヤンキースの黄金期を形成できるだろうか。ゲーリー・サンチェスが本物だった場合、途轍もないチャンスを今ヤンキースは手に入れていることになる。


大谷翔平についてのスタンス

日本ハムOB・野球評論家・プロ野球ファン・日ハムファンから二刀流・大バッシングのまさしく四面楚歌だった新人時代から一貫して栗山監督及び大谷二刀流の擁護する立場を貫く。

メジャーに大谷レベルの選手いくらでもいるとした二刀流否定派・メジャー通による「ゴロゴロ大谷説」も日本ハム時代から一蹴。

当ブログのポリシー

「これは現代に繰り広げられる壮麗なサーガであり、神話という文脈の中で大谷翔平という選手を捉えなければ、その実相は決してわからない。」

写真は古代ギリシャの神殿。