3000ですら通過点に過ぎない イチローの天才性を示す驚異のメンタル 

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07 /24 2016
「NHKスペシャル ミラクルボディー(第1回)」では、ロシア代表(イシェンコ&ロマーシナ)シンクロナイズドスイミングの卓越した実力の秘密に迫った。この番組では驚異の身体能力だけではなく、メンタルな側面からもこの天才ペアに焦点を当てながら分析を行っていました。

分析によればロマーシナは「金メダルのため」「国のため」など目の前の目標に向かって動くタイプであるという。それに対してイシェンコは自己決定力が高く「自分を向上させるため」という、内から湧き上がる欲求で動くタイプであり、動機づけが自己の限界の挑戦にあるからこそ、逆境を乗り越えれば乗り越えるほどどれだけつらい環境が自分を高めてくれるかという事を知り、ますます努力を続けていく。困難に対するタフさをイシェンコは才能のひとつとして身につけているという。まさにこのモチベーションのあり方こそイチローである。

小久保が二冠王を獲得して、選手としての目標を達成し「燃え尽き症候群」になりすっかりモチベーションを失った時、イチローの言葉にハッとさせられたといいます。記憶の中からなんとか言葉を手繰り寄せ書き起こせば、おおよそこのような言葉をイチローは小久保に言ったという。

「小久保さんはタイトルや数字のために野球をやっているのですか。僕にとって野球とは自分の魂を磨き出してくれるものであり、己を高めてゆくという点において野球に終わりはない。だからどれだけヒットを打とうが野球をするにおいてモチベーションを失うことはないのです。」

小久保とイチローの相似形としてロマーシナとイシェンコ。ロマーシナもイシェンコも互いに世界における超一流のトップアスリートであることに違いはないが、中でもメンタルも含めた身体能力全般において、イシェンコというアスリートの際立った天才性についてその番組では存分にスポットを浴びせることに成功していた。

オリンピックで金メダルを獲得し前人未到の300点越えをしても尚も進化を求めて止まない羽生結弦や金メダルを二度も獲得しながら、過酷な水泳という競技で驚異的なモチベーションを維持し続けた北島康介、そして3000安打にまもなく到達しようとしているイチロー。この3人の天才に通じる何かをイシェンコというアスリートは明らかに示唆してくれたような気がする。

イチローを称するに「努力する天才」という表現もあまりに陳腐ではないか。本人は認めたがらないようですが、まず大前提として正真正銘のイチローは野球の天才である。その己の内側にある巨大な才能に気づき、正しい努力によってそれを磨き出し、身につけたその力や技術を最高の形で世に解き放つ自己プロデュースに長けた者だけが天才の名前を恣にする。

才能と努力と天才という呼称の関係性はそんなところにあるのかもしれない。

通算安打の話において、もしMLBからキャリアを出発させていたらというifを語る際、日本時代があってこそのイチローであり、MLBであれば埋もれていた可能性についてその話もわからなくもない。しかしMLBという場においても身体では大きく劣るアルトゥーベやペドロイアがオールスター級の選手として活躍しているように、イチローほどの巨大な才能ならばそこに埋もれてしまう可能性というものはまず皆無であると言っていい。どう見てもアルトゥーベやペドロイアよりも全盛期のイチローは才能にあふれている。イチローのようなあそこまでの偉大な才能とひたむきな努力があればMLBという場においても、必ず頭角を現すことになったと考える方が自然ではないか。本物の天才とはそういうものである。イチローほどの巨大な才能を過小評価するのもまた問題ではある。

勉強で上位10%には入れるけど、トップになれないから勉強は諦め甲子園に最も近い高校を選んだイチローのエピソードなどは、野球だけではなく学業もできる万能性をアピールしようとした斉藤佑樹とはあまりに対照的ではある。プロになる前の大学時代から将来的にはスポーツキャスターや政治家にも色気を見せ、MLBへの夢や200勝を軽々しく語った斉藤佑樹にはイチローにみる地道なひたむきさをほとんど感じることができない。田中将大や前田健太はすべてを野球に注ぎ、プロにおいて一流の成績を残しタイトルホルダーとなってMLBへの夢を本格的に語たりはじめたように記憶している。カイエン、早稲田という肩書き、政治家、スポーツキャスター、150km、200勝、MLB。根拠のない幼稚な万能感をかつての甲子園優勝投手は身につけるに至り、前田や田中とは途方もない差が結果的に生じてしまった。

世間からかっこいいと思ってもらえるような自分になることが人生の目的や目標である。

これが少なくとも一流のアスリートとしてのモチベーションではないことは明らかだろう。天才としての傲慢さと同時に地道なひたむきさがイチローには同居している。天才なのだからイチローにおける多少の傲慢さも許されるひとつの個性ではないだろうか。

追記 

それにしてもイチローについて批判できる人が野球界ではほぼ一人になってしまった。ある意味、その人物は非常に貴重ではあります。いずれ記事にすることがあるかもしれません。イチローに近しいメディア関係者に限って、本人生の声が取れるわけですが、反面その記事に強烈なバイアスがかかっているのはどうしても否めない。ここに本物のリテラシーが大事になってきます。


大谷翔平についてのスタンス

日本ハムOB・野球評論家・プロ野球ファン・日ハムファンから二刀流・大バッシングのまさしく四面楚歌だった新人時代から一貫して栗山監督及び大谷二刀流の擁護する立場を貫く。

メジャーに大谷レベルの選手いくらでもいるとした二刀流否定派・メジャー通による「ゴロゴロ大谷説」も日本ハム時代から一蹴。

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「これは現代に繰り広げられる壮麗なサーガであり、神話という文脈の中で大谷翔平という選手を捉えなければ、その実相は決してわからない。」

写真は古代ギリシャの神殿。