ソフトバンク「孫の二乗の兵法」

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04 /09 2016

ソフトバンクの孫正義さんに興味が出たので何冊か本を読もうとしているところですが、その中の一冊に「孫の二乗の兵法」というタイトルの本がありました。このタイトルを見て、もしかして・・・すぐにピンと来たのですが予想通りでした。

7番セカンド カノのNYYには華があった 強者は時間を包囲せよ


この記事の根底にあるリベラルアーツは、「ランチェスターの法則」であるとも書きましたが、「戦力の逐次投入は最大の愚である」という原則をランチェスターという人は「戦闘力とは<兵力数の2乗>に効く」という数式を通して明らかにした人であります。孫正義という人は事業を始める前段階においてどうやらまず、東洋の孫子と西洋のランチェスターの教えを戦いの聖典として戦略の研究を徹底して行ったようです。「孫の二乗の兵法」という本はその成果をまとめたもののようです。

ドラッカー、クラウゼヴィッツ、リデル・ハートなど戦略論もいろいろありますが、結局行きつくところは孫子とランチェスターにあると言って過言はありません。孫正義という人は戦略の研究家という側面を持ちながら、その掴み取った戦いの原理原則を仕事の実践の中において生かしてきました。リスクをひたすら取りながらチャンスのあるところ大胆に行動するとともに、失敗すれば速やかに撤退し、未来に対して大きな可能性のある分野はこれだと決断するや勝負を打って出て一点にあらゆる経営資源を投下し、最終的な成功を収めてきたようです。ソフトバンクの株価も一時期は1/100ともなり紙屑寸前までもいったことがあったらしいですが、まさしく死線を何度もくぐり抜けきた強者であり、戦略家である以上に勝負師という印象を強く持ちました。想像以上にアグレッシブであり、多くの失敗もし、故に損切りも数多くしてきたようです。

先日<大胆さ>と<慎重さ>は戦略的な正しさとしては等価だと言いました。両方とも大事であるという意味では等価ですが、実際の戦いにおいては勝負に打って出る<大胆さ>が8割、そのチャレンジした中には多くの失敗もあるため時機を見て潔く撤退する<慎重さ>が2割と言ってもいいかもしれません。いずれにしても単に攻めるだけではなく、撤退することの重要性も繰り返し孫正義は説いていました。

ソフトバンクの孫正義の言葉に思わず当ブログが反応してしまったのも、その背景にランチェスターや孫子の姿が明らかになればこそなのですが、実はその人の動きや何気ない言葉から、その戦略性はある程度うかがい知ることは可能です。例えばNYYにジラルディという監督がいます。どちらかと言えば不器用でもありマドンのような策士といった感じでもなく、動きも少なく見ようによっては凡庸に見える可能性すらあります。しかしその采配の奥に秘められたジラルディのシーズン全体を見渡すような冷静なる戦略的立ち振る舞いを、当ブログでは的確にキャッチしなければならないと考えています。ジラルディの部分的なエラーだけを拡大して眺めてもよくはわかりません。

表層的な部分しか見ることができない人にとって、ジラルディへの評価で厳しいものになるかもしれません。しかしもっと奥にあるものを透視できるような目があればジラルディという監督はペナントを任せるには安心して任せられる優秀な指揮官であることがわかります。少なくとも私はジラルディという監督に対しては正当な評価をしなければならないと考えています。一方、孫子やランチェスターを学んできた限り、繰り返し恐縮ですがハル・スタインブレナーが優れた戦略家でもなければ、大胆な勝負師でもないことだけは確かです。リスクを徹底して管理しなければ気が済まない経営の黒字第一主義者といったところでしょうか。まず黒字をがっちりと確保して後、そこからようやくファンサービスとしてのFA補強もすることになるはずです。孫正義とは入り口が真逆であるということですね。最初に黒字をがっちり抑えるところから入るのか、まずは顧客満足を上げ結果大きな黒字を得るのか。両者は全く違います。

結局チームの趨勢を決める要素は大きく三つあります。

●資金力も含めたオーナーの姿勢。
●その資金を使って選手を獲得するGMの選手を見極める力。
●GMが用意した選手を的確に使いこなす監督の用兵。

ここにプラスアルファとして<運不運>がかかわってきます。期待していた主力が怪我で戦線離脱するといった不運もあれば、なぜか主力がその年に限って揃いもそろって、キャリアハイに近い成績を残すという幸運もあるかもしれません。こうした複合的な要素が複雑に絡み合って、最終的な順位というものも決まるはずです。野村克也はかつて監督の力でチームの趨勢の99パーセント決まるとし、自分で自分を誉めるという極めて恣意的な分析をしたことがありましたが、ミラクルメッツの監督・ギルホッジスはチームが勝つために最も重要なのは、良い選手が揃っていることといい、魔術師・三原脩はオーナーの姿勢こそが最も重要であると、各々がいずれもかなり客観的に分析を行っています。

孫正義がソフトバンクのリーダーであっても必勝ということもないように、ハルがリーダーであってもNYYがWS制覇することもあるでしょう。当たり前のことですが、オーナーの能力はひとつの重要な要素ではあっても、それでチームのすべて帰趨を決するわけではない。結局チームの趨勢を決める複合的な三大要素(資金力・GM・監督)が、運という要素も絡みながら時間とともにどうグラデーションしチーム力として融合してゆくのか、その様をライバルとの比較においてどれだけ的確に想像できるかが、順位の予測する上でとても大切になってくるような気がします。少し頭がすっきりした気分です。ということで2016NYYはすでに終わったというのは、言い過ぎで若干修正を加えておきます。ジラルディが監督であれば、シーズン全体の成績をそれなりの戦力でもある程度整えてゆく力は抜群な監督であるために、運も味方すれば2016NYYにも多少の希望はあります。


大谷翔平についてのスタンス

日本ハムOB・野球評論家・プロ野球ファン・日ハムファンから二刀流・大バッシングのまさしく四面楚歌だった新人時代から一貫して栗山監督及び大谷二刀流の擁護する立場を貫く。

メジャーに大谷レベルの選手いくらでもいるとした二刀流否定派・メジャー通による「ゴロゴロ大谷説」も日本ハム時代から一蹴。

当ブログのポリシー

「これは現代に繰り広げられる壮麗なサーガであり、神話という文脈の中で大谷翔平という選手を捉えなければ、その実相は決してわからない。」

写真は古代ギリシャの神殿。