LADオーナーのブランド化戦略 真のターゲットは何か?

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01 /23 2016
肝であるLADのオーナーグループ・グッゲンハイム・パートナーズについては、記事後半 言及しています

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一時はグリンキー 岩隈とも契約は結べずどうなるかと思われたLADでしたが、カズミア、前田を無事獲得してLADの動きが一先ずひと段落しました。ウリアス モンタス デレオン等のプロスペクトはキープしつつ、更には2016ドラフト1位の権利も守り、優勝を狙えるような戦力を整えるためには、トレードか、2015のフラッグディールで移籍しQO(クオリファイングオファー)されたカズミアのような選手を獲得するか、ポスティングで前田投手を獲得するか、キューバからヤシエル・ シエラのような選手と獲得するしかありませんでした。2016の夏、フラッグディールにおいて勝負に出ていけるだけのコマを外野手を中心に十分にプロスペクトも貯蓄されてもいる。結果は最終的にどうなるかはともかく一先ずスターターも揃えたという意味では一つの区切りをLADは迎えたと言えます。

<遠い未来の勝利>と<直近の勝利>という、二律背反とも思えるオーナー側からの至上命題に対して、総じてLAD首脳陣は一定の成果を出したということが言えます。こうした両獲りを目論むLADのターゲットは言うまでもなく、単に勝利するだけでなく黄金期を永続させるということになりますが、「プロスペクトを重視すべきか?勝負を仕掛けるべきか?」という戦略的課題を絞り込もうとするNYYに見られる貧困なる弱者の発想とは対極にあります。そして強者ならばLADの首脳陣が志向しているように、未来志向でありながら常勝を目指すという戦い方を選択するべきです。

そんなNYYを尻目に現在LADはブランド化戦略を着々と推進させています。

TORのアンソポロスも招へいしたように<リーグ最高の頭脳>を結集させ、<リーグ最大のペイロール>を維持し、<リーグ最高の人気>・入場者数も維持し、そして今後においては当たり前のようにPOには進出し、いずれは黄金期を形成し<リーグ最強のチーム>として君臨することをもって、世界一と言えば=LADであるというブランドを構築しようとしている。

ではなぜLADがブランド化戦略を採用しているのか。

おそらくLADのオーナーたちの真の狙いがインカムゲインではなくキャピタルゲインにあるからでしょう。キャピタルゲイン。平たく言うと20億ドルで購入したチームの資産価値をブランド化することによって最終的に30億ドル40億ドルまで目指そうという戦略を取っているということです。昨年において、すでにLADは24億ドルの資産価値があるとされています。2016の今では更に上がっている。こうしたキャピタルゲイン重視のブランド化戦略のためにLADはインカムゲインを犠牲にしています。たしかに4億ドルの収入でペイロール3億ドル+贅沢税はさすがに少々やり過ぎではあり、これだけ人件費に投資していれば赤字にもなります。フォーブスの情報を見る限り昨年の収支も赤字を計上している。この点についてLADオーナー陣も戦略的に次のフェーズへ進む段階と考えているため、若干の修正を加えており「トータルリターン(=キャピタルゲイン+インカムゲイン)」を最大化させるべくインカムゲインへも力を入れ始め、そのためにはペイロールに一定の制約を設けるのも常識的な経営判断であるということが言えます。

もしLADがチームを売ろうとする時、人気、実力、頭脳、財政力という要素が揃っている程、チームとしての資産価値は上がるのは当然です。少なくともイメージとしてはMLB金満と言えばすっかりLADという風に定着してきている。何しろ史上初のペイロール3億ドルを超えたチームでもあります。いずれにしてもLADは未来志向でありながら常勝を目指しつつブランド化戦略によって、これからもすべての事柄を束ねてゆくはずです。

一方、ハル・スタインブレナーのやっていることは目先のインカムゲインの最大化を目指す余り、ヤンキースのブランドや伝統を蔑ろにしているとも書きました。ヤンキースのブランドとは、超金満な財政力を背景にしたオールスターの選手をずらりと揃えた絢爛豪華さにこそあり、常勝でもあり、人気においてもNO.1、圧倒的な戦績・WS制覇27回という無類の強さにあったはずです。しかしNYYの戦略が今や伝統やブランドを重んじるよりも、目先のインカムゲインでの儲けが優先になっているならば、贅沢税ラインこそが最大の懸案事項にもなるし、生え抜き殿堂入り可能なカノ放出も問題はなく、まして目先の優勝など慌てて目指す必要もない。

繰り返しですがこうしたNYYを紐解くと、ブルペンに絞り込んだ強化といい、今の勝利よりも未来への勝利へ絞り込む姿勢といいキーワードは<絞り込み>という言葉に集約され、それは典型的な弱者の戦略である。猫騙しという弱者の戦術を用いてでも勝とうとする白鵬という横綱に、ピークを越えて衰退期へ入ったひとつの印であるとも指摘しましたが、絶対王者が弱者のような振る舞いをするところから、終わりの始まりはやってくる。

もしもですがたった今NYYとLADのオーナーが総入れ替えしたら、全く別のチームにそれぞれが変貌することになることは想像に難くありません。LADは一進一退を繰り返しながらも今よりも確実に数段しょぼいチームになりますし、NYYは一気に隆盛を取り戻すべく試行錯誤を繰り返しながら確実に前進させてゆくことになります。それだけオーナーの持っている将たる器というものはチームの趨勢・歴史にまで大きな影響を及ぼすことにもなる。

どうして、こうも投資センスにおいてLADとNYYでは雲泥の差があるのか、ちょっと気になったのでLADのオーナーグループについて少し調べました。すると想像を遥かに超えたスケール感を湛えた強者(つわもの)であることがわかってきました。てっきりBOSのヘンリーオーナーが営む投資会社のように運用資金も30億ドルレベルのものと想像していたのですが、LADのオーナーグループにはグッゲンハイム・パートナーズという金融投資会社であり、実にその運用資金は2400億ドルとも言われています。30兆円近い資金を全世界で動かしているのがLADのオーナーグループの背景にはあります。投資のプロの中のプロがLADのオーナー陣であるということ。LADのこれまでの動きからも、予備情報は特になくても間違いなく投資のプロ集団という雰囲気は感じていましたが、30兆円近い資金を世界中で動かしている集団がその背景にはあったとは完全に想定外でした。

手元に資産が転がり込んできた二代目ボンボンVS投資のプロフェッショナル。なるほど投資センスにおいては勝負になるわけもない。たしかにNYYにも不良債権は多いですがLADは在籍していない選手にまで多額のペイロールを負担しています。10年前からNYYの収入は2倍になっているがペイロールはほぼ横ばいであり、NYYよりもチームとしてははるかに財政力で劣るLADがあれだけ動けるということは、NYYが不良債権で身動きが取れないなどということは本来は全くありません。今NYYは動くべきではないというプロのライターもいますが、率直に言って戦略を研究してきた者としては全く理解できません。間違いなくNYYは<遠い未来の勝利>と<直近の勝利>、どちらも狙うべきです。なぜどちらかに絞り込まなければならないのか。オーナーの発想は実直真面目とも言えますが、裏を返せばあまりに創造性に欠けており貧困であると言わざる得ない。

もしプロのライターが言うことだからそれが必ず正しさを担保するというなら、もちろん私もその意見に従うまでですが、過去の歴史が証明しているように概ねプロのライターは正しい意見を述べることはあっても、必ずしもプロのライターが正しいことを言うとは限りません。ステロイドを使っていたマグワイアをかつてプロのライターは擁護していたように、例えば2010年のシーズンイン直前、プロのライターもファンもその大勢は超守備型SEAを強力に支持していたはずです。結果はどうなったか?少数派の意見の方が正しかったことは歴史が証明しました。

正しさを判定するのはプロのライターでもなければ多数の意見でもない。もちろん私の意見が必ずしも正しいというわけでもない。最終的に言葉の正しさをジャッジするものは<時間>です。では時間の流れを超えて、尚、消費されることない確かな言葉を手に入れるためには、どういう思考の技術を身につけていかなくてはないのか・・・。いずれ機会があれば、もう少し突っ込んで考えてみたいところです。

「白鵬の猫騙しとヤンキースの伝統」

「忍び寄る衰退 ヤンキース帝国の黄昏」


大谷翔平についてのスタンス

日本ハムOB・野球評論家・プロ野球ファン・日ハムファンから二刀流・大バッシングのまさしく四面楚歌だった新人時代から一貫して栗山監督及び大谷二刀流の擁護する立場を貫く。

メジャーに大谷レベルの選手いくらでもいるとした二刀流否定派・メジャー通による「ゴロゴロ大谷説」も日本ハム時代から一蹴。

当ブログのポリシー

「これは現代に繰り広げられる壮麗なサーガであり、神話という文脈の中で大谷翔平という選手を捉えなければ、その実相は決してわからない。」

写真は古代ギリシャの神殿。