KCヨースト監督に見る 真のリスク管理とは何か

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05 /26 2015
今回は前回の続編のような形にもなりますがKCを例に短期決戦における盗塁という戦術についてもう少しだけ考えてみます。ALCSまでは持ち前の機動力をフル稼働させて、破竹の勢いで勝ちあがってきたのが2014のKCでした。そして迎えた2014WSという晴れの舞台が待っていました。

スモールベースボール全盛の時代 短期決戦 ピッチャーズパーク


これだけの条件が整っている以上、セイバーメトリクス的にも盗塁の損益分岐点は最も下がるシーンであり、最も盗塁をし掛けるべき価値のある絶好のステージであったことがわかります。「リスクを取らなければより大きなリターンを得ることはできない」それはベースボールに限らず、普遍的な真理ですが、盗塁はペナント以上に積極的に仕掛けてもいい条件があったということです。


ルースの呪いを破った「the steal」から日本シリーズの秋山センター前で一塁ランナー辻が一気にホームインするシーンなど、短期決戦には印象的なリスクを恐れぬ奇襲の走塁が歴史に残っていますが、私が研究してきた限り、一発勝負であればあるほどに実力よりも運に左右されるために、<奇襲性><ギャンブル性>というファクターはリターンが大きいために短期決戦においてはより大きな価値が出てきます。長期戦ではないのでそのギャンブルを仕掛けて成功し勝利したら次の試合も延々に続くということはないわけです。


もっとも勇敢さと蛮勇は似て非なるものであるだけに、なんでもかんでも突っ込めばいいというものではありません。WBCの山本の4番阿部であり かつ キャッチャーが強肩モリーナであるにもかかわらず敢行したダブルスティールのように、あれは蛮勇ということになります。結果はどうであれ、あそこは最も長打が期待できる4番に任せるシーンでした。


いずれにしても確実に言えるのは、ペナント以上に、短期決戦ではリスクを取る戦術は基本的には<戦いの原理>に照らした際に正しいということです。(そういう意味では山本はリスクを取りました。しかし果たして4番阿部ですべきだったのかということです。)ところが大事な一戦を目の前にして、KCはほぼ全く走らなくなりました。ベンチコーチのワカマツいわく「盗塁は失敗した時のリスクが大きいためにサインを出しづらい」であり、大事に大事に試合を運んでゆく慎重な選択をKCはしたということになります。


結論から言いますとKC最大の武器であった<機動力>を自ら封印してしまったのはヨーストの完璧なベンチワークミスであり、監督自らが失敗のリスクを怖がって、チーム全体の勢いに大きなブレーキをかけてしまった。

ヨースト監督が「盗塁失敗を恐れるな、ペナント以上に自分たちの機動力をこの舞台で見せつけようじゃないか、責任はすべて俺が取る。だから積極性を失わずのびのびやって欲しい。」もしそう試合前に選手たちへ檄を飛ばすしていたなら・・・? 自ずから試合展開は必ず変わっていたと思います。



一発勝負だからこそリスクを恐れて大事にいく、それも大事な考え方ですが、一発勝負だからこそ敢えてリスクを取ってでも大きなリターンを目指すという考えがより大事になる、それが短期決戦での戦いの要諦です。他のふだんあまり走らないチームが短期決戦になった時、無茶苦茶な走塁をすればいいということを言いたいわけでもありません。KCにはあれだけの機動力があっただけにとてももったいなかった。監督が真の戦術眼を持っていないとチームを勝ちに導けるチャンスをみすみす逃してしまう例だと言っていいです

すなわち真のリスク管理とは、<リスク>そのものもありますが<リスクそのものを取らないこと>が最大のリスクになるという、この2種類があることを明確に意識しなければなりません。ヨーストが真の名将ではないと考える理由は、彼が前者の<リスク>そのものに対しては敏感であるが、<リスクそのものを取らない>という最大のリスクを恐れていない点にあります。KCの監督がもう少しだけ優秀であれば、あのシリーズの勝敗はひっくり返っていた可能性があります。

つまり2014のヨーストはAL優勝までの戦い方は非常に評価されるべきであったとも言えます。この持論は2014ワールドシリーズ中から一貫して変わることがありません。まして結果論でもないことは明らかです。突然、走らなくなったことは結果が出なければわからなかったことではなく、シリーズ中において既に明らかになっていたからです。


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日本ハムOB・野球評論家・プロ野球ファン・日ハムファンから二刀流・大バッシングのまさしく四面楚歌だった新人時代から一貫して栗山監督及び大谷二刀流の擁護する立場を貫く。

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