グリンキーショック、LAD岩隈を獲得する

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12 /07 2015
グリンキーのARI移籍における衝撃がMLB全体を激震させました。クエトに断られているスモールマーケットのチームがなぜグリンキー獲得と思ったのは私だけではなかったはずです。2015ARIの得点リーグ2位 失点リーグ9位 得失点差+7であり、戦略的課題はずばりイニングイーターであり優れたスターターさえ揃えば2016に勝負できるだけの陣容は揃うと考えることは妥当です。チェイスフィールドという広大な球場故に、アスリート系の野手を集中してスカウティングし外野守備陣の守備範囲の広さはメジャーでも屈指であり、DRSリーグ1位、SBリーグ2位と機動力及び守備力に際立った強さを持ったチームです。ケーブルテレビの契約でも8000万ドルへ増えるということからARI勝負の一手ではありました。KCの機動力と守備力の部分は似通ったものを感じさせます。


しかしARIペイロールに余裕があったがための一手とは言えども、グリンキーという32歳への2億ドル投資は極めてリスクーであるとも言えます。BABIP229 LOB率86.5 E-F -1.10。グリンキーの2015は実力もさることながら相応の運にも恵まれていたことは明白です。通常、その年のMVPを決定するにはrWARを重視し、FAで獲るにはfWARを重視すべきという考え方を私自身は持っていますが、32才というファクターを考えると、ペイロールの柔軟性を失わせるリスクを犯すことはLADはできなかったというところでしょうか。とは言え、グリンキーのfWARも5.9という高さです。ARIの勝負もありでしょうし、LADについてもこのグリンキーの価値を冷静に見極めてのことであって、ARIに奪われたことも必ずしも悲観すべきでもなく今後の動き次第ということになるかもしれません。そこでまず岩隈との契約をLADは結んだわけですが、岩隈はGB率も高くLADのチーム戦略とも合致しています。GB率の高さがPITに続いて2位がLADです。更にもう一枚クエトあたりを抑えて2016にシーズンインというスタイルでも現時点では問題はないのではないでしょうか。


カノの時は絶対に手放してはならないと個人的に考えていたのは殿堂入り可能なNYYのフランチャイズプレイヤーであり、セカンドであれだけの強打を誇る選手はMLB全体を見渡してもまず滅多にいなかった点でした。グリンキーのケースはグリンキーのそのものの代わりにはならなくても他にもスターターを2枚揃えたらなんとかなります。年齢が30歳のカノ年2400万ドルと32歳のグリンキー年3400万ドルという2歳及び1000万ドルもグリンキーの方が高い条件も見過ごせません。しかも投手の方は加齢による衰えだけでなく肘や肩等のリスクがある。ちなみにカノの移籍時のfWARは5.8でした。グリンキーにぶっこんだARIのあり方も極めてリスキーではありますがペイロールに余裕があった以上、勝負に出たことは正しいと現時点では言えるし、グリンキーに自重したLADも今後の創造的な動き次第では決して間違いであったとも言い切れません。


STLのプホルスなどがいい例かもしれません。STLは財政力から見てペイロールの柔軟性を失うことを恐れて自重し、結果から見てSTLの動きは正しかったわけですがLAAが2000年代最高のプレイヤーであったプホルスに勝負を出たのもあの時点では決して間違った判断ではありませんでした。ケーブルテレビで莫大な収入が入ったのですから、プホルスに突っ込んでファンに本気を見せることは極めて大事なことです。結果論からすれば何とでも言えます。結果はどうでもいいと言っているわけでもありません。むしろプロである以上結果は大事ですが、結果論に陥るということはその典型である解説者・張本のように、結果論はとても便利でもあり批判を加える立場からすれば実に楽なため、そこで思考停止し更なる深みへと降りてゆくことを不可能してしまいます。結果論で物を語る下種にはならなためには結果とプロセスは分けて考えるべきであり、NYYのカノのケースは財政力と鑑みて絶対に契約を結ぶべき案件であったのに対して、今回のグリンキーのケースはLADの財政力、年齢及び年俸の莫大さから鑑みるに、グリンキーを取られた2015LADの今後の動きこそ要注目であると個人的には考えています。
今回のプライス、グリンキーからもわかるように時代はスモールな価値をいよいよ重視するようになり、機動力や守備力の高い野手、あるいは投手力への価値が相対的に確実に上がっています。それは単にスモールな時代がやってきているだけでなく、どうやらPOへ進出できるチームが10チームへと拡大したことが大きな意味を持っていそうです。それだけ多くのチームにWS制覇のチャンスが出てきているということであり、一か月にも及ぶ、相次ぐ短期決戦で如何に強いチームつくりをするのかという、ゴールからトップダウンする戦略的発想を各チームとも持ち始めています。

それはHOUのカーターやPITのアルバレスがノーテンダーとなったことが何がしかを暗示しているようにも思えるのです。アルバレスの例からもわかるように守備力が極端に劣る選手はレギュラーシーズンではともかくPOでは全く使えない状況となっています。2013のWSでも、ボロボロこぼす盗塁を刺せない後ろに逸らすの三拍子揃った強打の正捕手キャッチャー・サルタラをPOで途中から完全に見切られました。代わって堅守の控えロスが先発にすべて回ったはずです。またアウトの生産性という意味からすれば、特に接戦時には三振も内野ゴロも決して同じ価値などではなくコンタクトする力も重視されつつあるのかもしれません。スリーフィンガーは敬遠されつつあるのでしょうか。WSにおいてKCがヒット以外での得点が30パーセントであったのに対して、NYMはわずか8パーセントであったようです。ヒットを打つだけが攻撃力ではないということ。もちろん、数か月前にプィーグを放出すべきであるという記事にも書いたように、特に短期決戦において重要な孫子の言う<人の和>チームケミストリーの効果というものをいよいよ重視するべき時代にもなっています。

WARだけで選手の価値が適正に測れるのか?と問われたら、必ずしもYESとは言い切れません。それは数値化できない戦いにおいて大事なアナログな無形の力を十分に表現し得ていないからです。STLのモリーナの価値をWARで完全に把握し切れていると言えるでしょうか。来るべき時代にふさわしい評価軸はいずれ必ず現れることになります。WARが最終形であり行き止まりではない。故に絶えず現在という地点を歴史の中で相対化する目が必要になってくる。セイバー分析も比較的個人としては得意とするところですが、少なくとも私の中には、アンチ・セイバーメトリクスという視点が明らかにセットされています。



大谷翔平についてのスタンス

日本ハムOB・野球評論家・プロ野球ファン・日ハムファンから二刀流・大バッシングのまさしく四面楚歌だった新人時代から一貫して栗山監督及び大谷二刀流の擁護する立場を貫く。

メジャーに大谷レベルの選手いくらでもいるとした二刀流否定派・メジャー通による「ゴロゴロ大谷説」も日本ハム時代から一蹴。

当ブログのポリシー

「これは現代に繰り広げられる壮麗なサーガであり、神話という文脈の中で大谷翔平という選手を捉えなければ、その実相は決してわからない。」

写真は古代ギリシャの神殿。