アーロン・ジャッジはMVPを獲れるのか!セールはクルーバーに逆転を許す

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09 /30 2017

ワールドスポーツMLBではrWARのランキングを元に、アルトゥーベがMVPでありサイヤングはクルーバーであると結論をしていました。

rWAR

アルトゥーベ 8.3
ジャッジ   7.7

クルーバー  8.0
セール    6.0

しかし、当然のことながらfWARも同時にチェックしなければなりません。そうすると順位が逆転していることがわかる。

fWAR

ジャッジ   8.1
アルトゥーベ 7.6

セール    7.7
クルーバー  7.1

rWARとfWARどちらが優位ということもありません。スタッツの設計がそれぞれどうなっているのか詳細を理解していれば、どうしてこうした数字に違いが出てくるのかもわかるものです。それほど難しいものでもなく、原理も実に単純なので是非wikiなどを参考に勉強するのも悪くありません。

ひとつ言えるのはrWAR派もいる一方でfWAR派も、また多く支持する人がMVPを投票する記者の中には存在するということです。ちなみに私は折衷派。

セールのキャリア月別成績 FIP

4月 2.92
5月 2.55
6月 2.64
7月 2.73
8月 3.01
9月 3.86

細身のセールはフィジカルがフレッシュな時は無双モードで、シーズン終盤に入って成績が明らかに落ちるという傾向を持っていました。それについてはすでに私自身、既知であり、2017年に限っては圧倒的なリードを保っていたために、サイヤングはセールが終盤成績が落ちても逃げ切るだろうと個人的には考えていました。しかし最後の登板でほぼ勝負は決まってしまったと言えなくもありません。

fWARではセールの方が上ですが、rWARの大差を考えるとトータルでサイヤングはクルーバーが妥当でしょう。

しかしMVPについてはrWARとfWARを比較してもジャッジとアルトゥーベは互角と言ってもいい。後は三冠のタイトルも含めた印象度やチーム成績(MVPに限っては勝利への貢献度という意味で立派なひとつの軸)をどう眺めるのかという勝負になっているといったところです。WARでみる実力は互角、チーム成績がアストロズ地区優勝、しかしインパクトではオールスターの最多投票や新人本塁打記録も含めてジャッジに軍配が上がることになる。

もし私にMVPの投票権があるならば僅差で本塁打王を確定させているアーロン・ジャッジに1位のポイントを入れる。50本塁打をオーバーするインパクトは大きい。本塁打が野球の華であることに疑いの余地はない。

俺の結論(パロディです。冗談が過ぎました)

MVPとサイヤング賞。いずれもワールドスポーツの分析にあったような決してrWARの高さを競うタイトルではない。fWARやチーム成績、印象度なども総合的に加味し、決せられるべきものである。問題点は数字では単純に決まらないタイトルであるために、記者の恣意性、もっと言えば判官びいきのバイアスや好き嫌いでタイトルのゆくえが決まるという最大の欠陥がある。それは昨年バーランダーのサイヤング争いでも大きな話題になったはずである。

ちなみに最後の4割打者でもあるテッド・ウィリアムズは打率4割を打った1941年、2度の三冠王を獲った1942年、1947年、いずれもMVPに選ばれてはいない。




追記1

セールにもノーチャンスとも言えません。300K超えというスタッツが秀逸であるというのが第一点。fWARはリーグ1位であるのが第二点。そして判官びいきというバイアスが働く可能性があるというのが第三点です。クルーバーはすでに一度サイヤングを受賞しています。その際に大本命はフィリックス・フェルナンデスでしたが、すでに一度受賞していたために判官びいきのバイアスも働いて、クルーバーが受賞。そのキングもサイヤング初受賞した際はわずか13勝という勝ち星で受賞しました。これも判官びいきのバイアスが少なからず働いていた例と言ってもいいでしょう。

セールのサイヤングの可能性は20%。

追記2

先回の記事ラストで、ダルビッシュの不安定さについて触れた最後の個所を修正しておきます。ダルビッシュが今回スライダーに関して掴んだものはそうやわなものではないと信じることにしました。果たしてPOには弱いというジンクスをカーショウ・ダルビッシュの1・2は跳ね返すことができるだろうか。

POも含めて最終的にスタツツがどう変化するのか。まだ、ダルビッシュのシーズンは終わっていない。


ダルビッシュ 本番に向けてスライダーの大復活!

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09 /27 2017

予想が外れたことも含めて、率直に偽りなく話します。

ダルビッシュ有に危険シグナルあり!肉体改造の功罪をセイバーメトリクスする

この記事でも分析したように、ダルビッシュ最大の武器であるスライダーの切れが著しく落ちたことによって2017年のパフォーマンスはキャリアを通じても厳しいものになる可能性が高いと結論していました。この点については、LADへ移籍してからスライダー改善の取り組みをしたことからも、TEX時代の最後のERAが4.00台に突入したところからしても、ほぼ予想通りであったと考えています。

序盤戦はERA2.00台であるから素晴らしい成績だという人も少なからずいたわけですが、セイバーメトリクスの掟として、FIP3.00台後半へ向かって確実にERAも下降していくだろうと私自身は考えていました。たしかに失点はそれなりに抑えているが、映像を見てもボールがばらつき、運にも助けられている。

TEXの守備も劣悪だというダルビッシュを擁護する意見もありましたが、TEXの拙守によって失点したケースも多かったのはたしかですが一方で、特に前半戦のFIPが3.00台後半であるにもかかわらずERAが2.00台の時は、ダルビッシュは数多くのファインプレーに救われていたのも事実です。シーズン序盤のVTRをよく見返してみてください。「またもやダルビッシュ、味方の守備によって救われました」というアナウンサーのコメントを何度も聞くことになります。

守備に助けられたことはころって忘れて、拙守によって足を引っ張られることは印象が強いので、どうしても人の印象とは後者にひっぱられがちです。こうしたバイアスを一つ一つ丁寧に取り除いていく作業がとても大事になってきます。現時点でもTEXのチームDRSは30チーム中7位であり、守備力は下手どころか明らかに上手いチームであることがセイバーメトリクス的にも把握されています。

よく打たれるとダルビッシュは運がなかったとも言っていましたが、実際はBABIPにしてもリーグ平均よりも下回る数値を示しており、トータルとして眺めると運が悪かったやチームの守備力のせいにするダルビッシュの発言は、単なる言い訳に過ぎないとセイバーメトリクス的にも判断せざる得なかったというのが率直なところです。

ただしTEX時代、援護点が低すぎて、勝ち星が伸びないという点は事実です。

ダルビッシュの投げた試合はこれまですべて見てきましたが、今日の試合、ダルビッシュは文句なしに全盛期を彷彿とさせる2017年最高のスライダーを投げていました。9K 0BB という試合の結果を眺めても、本物感を漂わせており、ダルビッシュ本人もかなりの手ごたえを感じているように考えています。

今日のスライダーなら、右左関係なく空振りが取れるのが大きい。

ドジャース ダルビッシュのスタッツが劇的に改善される可能性あり という記事も書きました。見事までに、ここまでは大外れな内容でしたが、最後の最後でダルビッシュはきっちりと仕上げてきました。少なくとも直近3試合のスタッツはすこぶる優秀。

ただし、スタッツ改善は強いチームへ移籍したことによってもたらされる精神的な余裕が大であるとした予測は間違っており、このままではプレーオフに登板すらできないのではないかという強い危機感とポストシーズンでで勝利するために自分は呼ばれたのだというダルビッシュの強い責任感が、強烈なエネルギーを生み出しパフォーマンスを大きく引き上げる結果となったと考えるのが妥当です。スタッツは大して変わらなかった点も含めて、私の予測は間違っていました。

いよいよダルビッシュにとっての本番が始まります。

追記 しかし2017年はその日によってダルビッシュの調子は乱高下する傾向が強いので、正直、不確定要素も大きいのは否めません。

なぜ田中はフォーシーム・ファーストボールを投げないのか?について解説を試みる

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09 /24 2017

昨日、解説者今中は4シームを投げないのが田中の打ち込まれた原因と指摘していました。

昨日の配球数 全96球の内容です。

スライダー   37
スプリット   31
ツーシーム   5
フォーシーム  10
カッター    12
カーブ     6

スライダーとスプリットの割合が極端に大きくなっています。まずは下記の球種別 被OPSデータを見てください。

2017年の球種別 被OPS

スライダー    601
スプリット    685
ツーシーム   1135
フォーシーム   817

カッター    1252
カーブ      460

キャリア通算 被OPS

スライダー   579
スプリット   512
ツーシーム   876
フォーシーム  976

カッター    784
カーブ     764

被弾率の高さを最初に指摘された2015年の被OPS

ツーシーム  1065
フォーシーム 1019

なぜ田中の配球の割合としてツーシームとフォーシームが低いのか?

それは田中のツーシームとフォーシームはメジャーでは通用しないホームランボールの球種として分析されていることが、過去のデータからもはっきりしているからです。田中の球種で最もMLBで通用しているのはスライダーとスプリットであることは被OPSを見ても明らかです。だからそれを中心にして配球も組み立てている。しかし配球も偏ればデータにもはっきり傾向が表れ、逆に相手からは狙い球を絞られることになる。

そうした分析結果について知識を持っていて、それでも尚且つ、4シームの必要性を説くならわかります。しかし実際は解説者・今中は田中の4シームが過去、徹底して撃ち込まれていたことも全く知らず、闇雲に4シームの必要性を連呼し、すっかり周回遅れの解説になってしまっているのです。

かくしてリテラシーが低くセイバーメトリクスに疎い一部の視聴者はすっかり今中の解説に「なるほど」と思ってしまう。配球に問題があるのだと・・・。しかし田中とキャッチャーは互いにデータを共有して、配球の割合についても話をして合意の上で投球を行っているのは確実です。同じ解説を聞いても、なるほどと感じるのか、それとも周回遅れと感じるのか、リテラシーの質によって人それぞれ感じ方は違います。

<打ち込まれたこと>と<4シームの割合が低いこと>を今中は単純に直接結びつけて考えたようですが、極端に4シームを減らすには減らしているだけの必然的な理由があるはずだと、私ならまず考えの入り口としてそこから入っていきます。そこでセイバーメトリクスのデータを調べると一目瞭然、なぜスライダーとスプリットを中心に投げているのかもはっきりと確認できるわけです。

4シームを投げないことが問題である、という今中の結論自体、正しい可能性があり、それを無下に否定をしているのではありません。その結論に至るまでのプロセスに明らかな問題があると言っています。MLBワールドスポーツのスタッフも、この程度の数字をなぜ示さないのかがわからない。

先日も解説者・武田同様、ヤンキースのサンチェスの目に余る拙守ぶりについて知らなかったばかりか、サンチェスは強肩で守備力も優れていると主張し視聴者をあ然とさせた解説者・今中ですが、洞察力も浅いが、勉強不足も否めないように感じているのは私だけでしょうか。

猪瀬アキの解説の方が遥かに優れて面白い。そして洞察力と言えば田口の解説。

「田口壮の解説力 その奥深さを探る」

下記の記事で田口のジラルディ批判について厳しい意見も書いていますが、トータルとして眺めた時、田口の解説は明らかに優れていました。

「敢えて最下位ヤンキースのジラルディ監督を擁護する」

メジャー最高のピッチャーズパーク・ベスト10を探る(サンプル3年)

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09 /21 2017

過去3年の平均からピッチャーズパークベスト10の順位を求めてみました。

10位 ペトコパーク      SD  0.921
9位 トロピカーナフィールド TB  0.919
8位 ブッシュスタジアム   STL 0.918
7位 プログレッシブフィールドCLE 0.914 
6位 セーフィコフィールド  SEA 0.913
6位 シティーフィールド   NYM 0.908
5位 アナハイムスタジアム  LAA 0.905 
4位 ドジャースタジアム   LAD 0.904
3位 AT&T パーク      SF  0.901
2位 マーリンズパーク    MIA 0.881
1位 ミニッツメイド    HOU 0.858

ワールドスポーツMLBについて、内容をレビューすべきであると指摘しましたが、またもや凝りもせずに繰り返し小宮山は、誤った解説を繰り広げました。

アストロズの攻撃力がメジャーで+wRC1位であり、だからミニッツメイドは打者有利と感覚で決めつけているようではまともなセイバーメトリクス分析などできるはずもありません。たしかにそのチームのホームの特性に合わせて戦略は組み立てられます。すなわちピッチャーズパークであれば優れた防御力を重点的に打ち出し、ヒッターズパークであれば攻撃力を前面に打ち出すのは地の利を生かす戦略の定石です。しかしヒッチャーズパークであるかどうかとそのチームの投手力が強いかどうかは、パークファクターの式を見ても明らかなように基本的に一切関係はありません。

小宮山がパークファクターの式を理解していないことは間違いありませんが、メジャー最高のピッチャーズパークを打者有利な球場と明言するのはもはやケアレスミスの範疇を超えており、お粗末に過ぎる。さすがに看過できない。(ケアレスミスと言えば下記の記事では平原沖恵さんを自分は沖原さんと記載していました。失礼)

「ワールドスポーツMLBについてレビューする 印象よりもファクトを重視すべきである」

それは上記の中にも記述した眼鏡をかけたインテリジェンスを標榜しているスポーツライターも基本的には全く小宮山と同じ勘違いをしており、パークファクターの式を正しく理解していないことは明らかでした。もちろん本人は理解しているつもりなのでしょう。でなければあのような雰囲気だけの自信満々ではあるが全く出鱈目なセイバーメトリクス分析記事を書くことはできません。

なぜアストロズはメジャーでここ3年でみると最高のピッチャーズパークをホームにしながらも、メジャーで最高の攻撃力を有するチームをルーノウは作り上げることができたのか。むしろそのポイントこそを分析していかなくてはなりません。小宮山の分析ポイントは完全にズレています。

先日の話になりますが、LADのウッドが先発した際に下記のデータが出されました。

    先発  ERA  被HR  ツーシーム回転数

前半戦 15  1.67   2    2090
後半戦 9  4.53   11    1958

というNHKのスタッフは素晴らしいデータのお膳立てをしてくれたにもかかわらず、解説の今中もスタッフの意をくみ取ることなく、頓珍漢な分析をしていました。

ウッドのウィニングショットはツーシームであり、前半戦のツーシームはシンクするというよりもむしろ、スピンが効いて若干浮き上がるようなボールによってバットもボールの下を通り、球種別における奪三振はメジャー1位を誇っていたのが、後半戦になってスピンが落ちて通常のツーシームのようにシンクするようなってから奪三振が激減、同時に被本塁打率が飛躍的に向上し、スタッツが一気に悪化しメジャーでも平均以下の投手となったという分析をスタッフは出しました。(こういうデータを個人的には待っていました)

その試合ではツーシームのスピンは後半戦の1958回転よりも更に回転数の少ないボールも多かったためか、ツーシームが低めに制球されつつも沈み具合も絶妙であり、久々に先日の試合でウッドは素晴らしい結果を出しました。いずれにしても前半戦の絶好調時のウッドのツーシームの質とは明らかに違っていることをスタッドキャストのデータは示しており、この点について踏み込んで分析をもっと掘り下げてすべきだったのではないか。

結果が出たから素晴らしい投球と感想を言うだけなら、誰でもできます。

コースが高めでも回転数スピンが高いツーシームであれば空振りを取れる。たとえコースが低くても回転数が中途半端なツーシームはあまりシンクせず逆にホームランの打ち頃のボールとなるが、回転数が更にセーブされるとかえってボールが手元で深くシンクするために空振りを取れるようになり再び有効になる。こうした精妙なギリギリの攻防を超一流の打者と投手の間では繰り広げられていることが先日のウッドの分析でも示された可能性があります。あるいはスピンの高いツーシームであれば低めに沈むチェンジアップやスライダーが相乗効果として、より一層有効にもなるということもあるでしょう。

コースが高いのはダメで、ボールを低めに集めればいいという、お決まりの解説者のセリフがありますが、回転数という変数も組み入れながら適宜分析することが大事なのであり、事はそう単純なものでもないことがスタッドキャストでも明らかになりつつあります。

少なくとも解説者田口は結果に囚われず更にもっと奥にあるものを分析しようと試みる姿勢がありました。もし田口がセイバーメトリクスについて勉強すれば優れた分析力を発揮するだけのポテンシャルは持っていましたが、全くセイバーメトリクスについて知識はなかったのが残念でした。武田は勉強するつもりは皆無でしょう。とにかくフィーリング重視で頭が固くて感覚が古い。セイバーを知っているから柔軟だということもありません。セイバーメトリクスおたくに頭の固いのはいくらでもいます。実際、田口はその思考たるや極めて柔軟でした。

ちなみにセイバーメトリクスに精通しているとされる解説者で下記の有様でした。

「古典「マネーボール」の正しい読み方」

結論

現代のMLBを語るにはセイバーメトリクスは必須であり、数字の分析力に長けた解説者が待望される。だからこそ元プロ野球の選手でありながらセイバーに精通していると解説者の座を獲得する戦略としても、非常に有効かもしれない。




関連記事

「フライボールレボリューション、超攻撃革命を起こすアストロズの戦略を読み解け! その2」


歴史的な大失速、ドジャースが決断すべきこと

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09 /15 2017

ダルビッシュが好投する昨日の直前にこの記事は書いたものです。

エースカーショウによってストップされた73年ぶりの11連敗。PO進出自体に問題ないものの、メジャー最低勝率争いをしているジャイアンツにまで苦戦を強いられるドジャース。8月まではメジャー最強であったドジャースが9月に入りメジャー最弱のチームへとがらりと転落したことは数字上も明らかになっています。9月に入ってからの得点力NL15位・防御率NL13位ともにスタッツはリーグ最低レベル。ここまでチームに力がなければロバーツ監督が采配しようにも限界がある。9月に入ってからドジャースの大失速のために、フロントに打てる手はない。仮にドジャースがNLDSへ進出してもあっさり敗退する可能性を否定できなくなってきました。

あらゆる物事には慣性の法則が働いています。

2014年のOAKもぶっちぎりで地区優勝するかと思いきや、主砲セスペデスを放出するというミスを犯しよもやの8月以降の大ブレーキによって地区優勝をさらわれ、ワイルドカードへ回りKCにも延長で奇跡的な大逆転敗けを喫し9-8で敗退。かたや2007年ロッキーズはラスト怒涛の10連勝を含む13勝1敗でワンゲームプレーオフへ滑り込み、奇跡的なサヨナラ勝ちでNLCS進出 NLCS3連勝、NLCS4連勝でワールドシリーズに入ったことがありました。ちなみに2014年のロイヤルズもALCS3連勝、ALCS4連勝でワールドシリーズへ。(両チームともWSでは負けましたが原因はそれぞれ別にあります。それについてもこれまでの何百の記事の中で触れています。)

たしかに<勢い>というものは極めて感覚的なものでもあり、それを線形のセイバーメトリクスによって客観的に数値化して表現することはできません。しかしそれは単に線形における知の限界を示しているに過ぎず、<勢い>や<流れ>というものは本質的に非線形な複雑系に属するものです。解説者が安易に連発する<勢い>や<流れ>だけでベースボールを語り切ることなど到底、不可能であるが、<勢い>や<流れ>という要素を切り捨てることによって、はじめてベースボールを理知的に語れると思い込んでいるとしたら、それはとんだセイバーメトリシャンの思い上がりである。ほんとうに知性があるというならば、線形における知の限界をきちんとわきまえるべきであると私自身は一貫して考えています。

後から振り返ってあの歴史的な11連敗があったからこそ、ワールドシリーズ優勝することができたのだと回想できるには今ドジャースは何をし、どう考えればいいのでしょうか。正直よくはわかりません。ただ元ドジャースの外野手でもありボストン時代にはロバーツ監督は2004年のヤンキースとの戦いで世紀の「the steal」を決めて絶体絶命のピンチからボストンを世界一まで伸し上げることに成功しました。

すべての流れを変えたのは、ロバーツの盗塁であったとされています。

ピンチをチャンスへ変える勝負の一手が鮮やかに決まった時、勝利への扉が開いてゆくものなのかもしれません。今のドジャースの状態では力で押し切れる程、POの勝負は甘くもない。

サンクコストという経済用語あります。どれだけ高い代償を支払ってダルビッシュを獲得しようが、シーズンの成績がパットせずに冷静に眺めた時、ダルビッシュを見限るのが最も賢明な選択であると判断した場合、サンクコストと割り切ってダルビッシュをローテから外すというのも一つの英断と言えます。しかし翻って考えてみた時、ダルビッシュ獲得こそフロントが賭けた最大の勝負の一手であった以上、今のドジャースにはダルビッシュに二番手を託す以外に選択肢はないのではないか。

ドジャースが世界一になれるかどうかは、NLDSのカーショウ、ダルビッシュのワンツーパンチがどれだけ機能するのか、スターターに対する勝利への比重はより大きくなっています。強いチームほど勝利をするためのオプションが多いわけですが、今のドジャースにはいくつものオプションがあるわけでもありません。ダルビッシュが投げた試合は全勝するくらいでなければ、今のドジャースでは戦力的にきついものがあるのではないか。ウッドも後半バテがきたためか、映像でもはっきりわかるようにすっかり昨年までのボールの切れに戻り、被本塁打率が急増しています。先日のマエケンは試合開始時間が伸びすぎたために調子を測るにはさすがに不適切であり、それを除くならば後半戦に入ってからのボールの切れ、スタッツはいずれもウッドよりもマエケンの方が上。ウッド直近8試合の防御率は5.10。次回もしウッドがまた打ち込まれ、マエケンが再び好投したならば、ウッドを切ってマエケンを取るという選択肢はあるのではないか。

シーズンの数字に惑わされることなく、正しい決断がドジャースには求められています。ちなみに、過去の歴史においてシーズン中に10連敗以上したチームでWS制覇したチームはひとつもない。

結論

レギュラーシーズンの成績を一切合切括弧に入れて、勝負の一手であったダルビッシュで押しつつも、同時にこのままボールの切れも戻らず不調ならばウッドを切るという決断をできるのかどうか。

フロントや監督の本当の意味での決断力が今試されようとしています。

誰かを選ぶということは誰かを切ることを意味しています。レギュラーシーズンでは一時的な失敗も許容し長い目で全体を俯瞰するような視点が大事になるように、短期決戦では<切る>という決断力がチームの命運を決することになるはずです。


「外野スタンドに畑を作れ」 常識破りのボールパーク!

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09 /05 2017
あるTV番組で、日本ハムの2軍ホームである鎌ヶ谷スタジアムが大変なことになっていると紹介されました。

外野スタンドに<野外プール>が設営され多くの子供達は野球そっちのけで水遊びをし、「スタジアムの中に畑があってもいいんじゃないか」とレフトスタンドに<枝豆畑>を作り試合後に収穫イベントを行い、「野球の後にプロレスを見てもいいんじゃないか」とスタジアムの外に<プロレスリング>を設置し地元のプロレス団体を招き、仮面ライダーもどきの<ヒーローショー>やグラウンドで<結婚式>も行う。先日も<飛び出す3D恐竜展>も開催するなど野球とまるで関係ないイベントを数多く企画し、鎌ヶ谷スタジアムはアクセスが悪いとされる中、10年で観客動員を2倍としたようです。

この日本ハムのスポーツマーケティングのあり方こそがマイナーリーグで大成功を収めているマイク・ベックの経営手法そのものなのです。日本ハムの2軍フロントはマイク・ベックの経営手法をモデルとして、独立採算を目指しさまざまなる実験を鎌ヶ谷スタジアムで繰り広げていることを番組を見て私自身は確信しました。某掲示板では他の球団も日本ハムに姿勢に見習うべきだとコメントがありましたが、事の本質を更に深く透視する時、ベック親子のスポーツマーケティングに学ぶべきだということです。

鎌ヶ谷スタジアムでも繰り広げているように、こうした常識破りの営業展開力を日本ハムは本来持っているチームですが、借りている北海道の札幌ドームでは制約が多すぎて身動きができません。やはり、ホームを移転させ日本ハムはその自由な翼を存分に広げて、ボールパークの既成概念を完全にひっくり返してしまう新しい球場を一から作り上げるべきチャンスと捉えるべきなのかもしれません。

おそらく、他の11球団のフロントも野球の枠組みからは完全に逸脱してしまうマイク・ベックの経営手法について知識として知っているはずです。しかし実践しているのはただ日本ハムだけ。外野スタンドに畑を作ってしまうという規格外の自由な発想こそ、私が敬愛するビル・ベックに通じるものです。

ビル・ベックの精神は現代のマイク・ベックを経由して、それは日本ハムの2軍ホームである鎌ヶ谷スタジアムへと流れ込み見事に表現されている。ほんとうに良きものとは野球とベースボールの垣根を超えて、時代さえをも超えてゆくものである。

既成の概念を打ち破り、北海道に新たなる可能性をもった素晴らしきボールパークの出現を期待して止みません。

常識という境界線の上を越えてゆく風のような自由な感覚や不利になることはわかっていても自らの哲学を貫き通す精神に惹かれて、私はこれからもビル・ベックや日本ハム、そして大谷二刀流を追いかけてゆこうと思う。


フライボール革命と守備シフトの関連性についてセイバーメトリクスする

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09 /03 2017

守備シフトとフライボールレボリューションの関連性について、GB率とFB率から分析を試みます。

(2007~2011年と2012~2016年という5年くくりのフェーズで捉えるとわかりやすい構造となっている。)

GB率

2007 43.5
2008 43.9
2009 43.3
2010 44.3
2011 44.4

2012 45.1
2013 44.5
2014 44.8 守備シフト元年
2015 45.3
2016 44.7

2017 44.1 フライボールレボリューション

FB率

2007 37.9
2008 35.9
2009 37.8
2010 37.5
2011 36.0

2012 34.0
2013 34.3
2014 34.4 守備シフト元年
2015 33.8
2016 34.6

2017 35.6 フライボールレボリューション

まず最初に抑えておくべきことは、守備シフトが真に機能するにはGB率を高めなければならないというセイバーメトリクスの分析結果があります。実際に守備シフトで大成功を収めたパイレーツのGB率はリーグ最高レベルをずっと維持しており、守備シフトを機能させるためにも如何にGB率を高めるかに多くのチームは腐心しています。守備シフトの影響もあって10年を経年で眺めると2012~2016年のGB率が相対的に高くなっていることがわかります。言うまでもなく守備シフトが2014年になって突然出現したわけでもなく、当然そのトレンドは数年前から静かに潜航し2014年に至り一気に爆発したわけです。

一方フラレイボールレボリューションが2017年から本格的に流行したわけですが、35.6という数値は2012~2016年よりは高いが、2007~2011年の数値よりも低くなっています。

グラウンドボールレボリューション(GB率を高めなければ守備シフトの効果は薄れる)という呼び方もしましたが、守備シフトを機能させるためにGB率が2012~2016年において高くなっていたものが、フライボールレボリューションによって2017年になってGB率はやや下降していることがわかります。

過去10年ベースでみると2017年のFB率は過去11年でど真ん中の6番目の数値となっており、2017年が飛びぬけて高い数値とはなっていないが、ここ数年ベースでみると、守備シフトの影響でこれまでFB率が低い傾向にあったためにFB率が反発し上がったということもできます。

どこに基準を置くかで2017年のFB率の取り扱いも変わってくる。

結論

歴史の運動法則の一つとして、絶えず相反する力の鬩ぎ合いの中で、バイオリズムも形成される。FB率とGB率の推移も守備シフトとフライボールレボリューションの相関の中で俯瞰してゆく歴史的な視点が大事となる。

守備シフト 余話

BABIP

2010 297
2011 295
2012 297
2013 297

2014 299 守備シフト元年
2015 299
2016 300
2017 300

ライターたちはBABIPが守備シフトによって劇的に引き下げられており、メジャーに守備シフトの革命が起きていると主張し、多くの人もそれを鵜呑みにしていました。ディビッド・オルティースやクリス・デービスのBABIPは守備シフトによってこれだけ下がった、あるチームは守備シフトによってBABIPがこれだけ引き下げられたと喧伝されていました。しかしそれは記事の結論に都合のいい数字だけを切り取った恣意的なものであり、メジャー全体のBABIPを客観的に数字を見る限り、2010~2013年のBABIP最高値は297、2014~2017年のBABIP最低値が299。総合判断するとき、守備シフトがBABIPを劇的に下げるという結果になっていません。守備シフトの効果がないというのではありません。特にプルヒッターには劇的に効果を発揮しますが、守備シフトを過大に評価すべきでないということに尽きます。

小早川はメジャーでは守備シフトによってゴロを打ってもなかなかヒットにならないから、フライボール革命が起きたと、一見もっともらしい分析していましたが、とても説得力のある分析であるとは思えません。

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ほぼ誰からも相手にされなかった2年前の記事 苦笑

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大谷翔平についてのスタンス

日本ハムOB・野球評論家・プロ野球ファン・日ハムファンから二刀流・大バッシングのまさしく四面楚歌だった新人時代から一貫して栗山監督及び大谷二刀流の擁護する立場を貫く。

メジャーに大谷レベルの選手いくらでもいるとした二刀流否定派・メジャー通による「ゴロゴロ大谷説」も日本ハム時代から一蹴。

当ブログのポリシー

「これは現代に繰り広げられる壮麗なサーガであり、神話という文脈の中で大谷翔平という選手を捉えなければ、その実相は決してわからない。」

写真は古代ギリシャの神殿。