ジャッキー・ロビンソンからビーンGMまでロジスティクスの歴史  落合中日は日本ハム流広義のマネーボールに学べ 

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08 /29 2016
記事をアップすべきところを間違えました。再掲です。失礼しました。

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ロジスティクス。兵站こそは、チーム強化における要諦でもあり、如何に質のいい選手を戦いの最前線へ送り込めるのかという課題は、ベースボールがプロへと化し優勝を目標として以来、時代を超えてGM最大の課題であり続ける。

そのロジスティクスにおいて「ビックマーケット」の財政力にものを言わせてFAで数多くの大物を獲得して、大きな成功を収めたジョージ・スタインブレナーのようなやり方もあれば、育成能力を洗練させつつ各選手がチームの勝利に向かってベクトルを一にして戦えるような体勢をファームシステム全体まで深く浸透させ、FAとの適切な補強のバランスによって「ミドルマーケット」にあっても強豪の地位を築いたSTLのようなチームもあります。あるいは「スモールマーケット」であるにもかかわらず野村再生工場によって他のチームでは価値のないと判断された選手の力を改めて引き出し、弱者の戦略によってそれらを束ねて巨人を倒したチームもあれば、OAKのようにセイバーメトリクスを駆使して選手の真の価値を見極める独自の技術によってチーム強化に成功したところもある。

それぞれの財政力、マーケットの大きさによって、正しいロジスティクスのあり方というものは変わってくる。

ここではまずざっとMLBのロジスティクスについての歴史について触れてゆくこととする。

1920年より以前においてまだ完全に独立組織であったマイナーリーグのチームをMLBの下部組織として組み入れ「ファームシステム」を構築することによって豊富な人材供給源を得て弱小だったチームを一躍強豪へ変えたのは、STLのブランチ・リッキーでした。ヤンキースに次ぐWS制覇すること11回を数える強豪でもあるSTLですが、意外にも世界一のフラッグを奪取したのは1926年であり、リッキーがファームシステムを構築し始めて成果が出始めたのが5年後くらいからであったということになります。

ファームシステムとはメジャーがマイナーの各チームへ経済的な援助する代わりに、マイナーのチームは優れた選手を育成しメジャーのチームへ選手を数多く供給するというwin-winの戦略的互恵関係に持ち込むというものです。効率的なロジスティクスの活路を見出した策士ブランチ・リッキーは、他のチームもSTLに追従しファームシステムを構築するまでは、大きな先行利益によって1930年前後においてはすっかり強豪となりSTLは「ガスハウス・ギャング」と呼ばれるまでになります。

強いチームになるための最短距離はいい選手をどれだけ揃えることができるかという実にシンプルな結論に帰着し、ロジスティクスの質に大きく左右されることになります。

このSTLのGMであったブランチ・リッキーは後にブルックリン・ドジャースのGMとなり、各チームもファームシステムを構築し終えた1940年代に入るとファームシステムの先行利益も消えたため、新たなる人材供給源を当時はご法度であったアフリカ系の選手へ目をつけることになります。当時のブルックリンには数多くのアフリカ系アメリカ人がいたためにマーケティング戦略の観点からして、同時に如何に安く優秀な選手を獲得できるかというマネーボールの観点からも、アフリカ系のジャッキー・ロビンソンをデビューさせるという大胆な奇策はブランチ・リッキーからすれば極めて合理的な経営判断であったと言えます。人道的な側面からジャッキーをブルックリンからデビューさせたというよりも、あくまでリッキーはGMとしての戦略の一貫の中で後にジャッキー・ロビンソンディともなる1947年の4月15日という日を捉えていたということです。

他のチームに先駆けて数多くのアフリカ系の選手を数多く獲得した1950年代、ブルックリン・ドジャースは全盛期を迎えることとなります。しかし「さらばヤンキース」という本にも詳しいように1960年代半ばにもなれば保守的であったアメリカンリーグのチームも積極的にアフリカ系の選手と契約を結ぶようになり、またもやドジャースの先行利益はなくなりつつありました。多くのチームがアフリカ系の選手へ触手を伸ばせば、最初は安かったアフリカ系の選手の年俸もマーケットは買い手から売り手市場へと移行し、適正価格を目指して上がっていきます。

そこで新たなる人材供給源をドジャースを探すようになります。それが中南米のヒスパニック系でした。ヒスパニックがMLBに本格的に増えたのは ドジャースが1980年代に入って中南米にベースボールアカデミーを作り始めた頃からです。フェルナンド・バレンズエラはもちろんヒスパニックであり、バレンズエラが新人王に輝いた1981年にはワールドシリーズ制覇。

改めてLADの世界一の年を列挙します。

1955 · 1959 · 1963 · 1965 · 1981 · 1988

勝つには勝つだけのロジスティックスの背景がある。

やがてどのチームもドジャースの成功に影響を受けて中南米にベースボールアカデミーを作りはじめると、1990年代に入るや、ドジャースはアジアへと他に先駆けて進出しパクや野茂を受け入れてゆくのです。

古来よりGMはチームを強くするために如何に優れた選手を安く仕入れることができるのかという、この戦略的な課題を解決することに注力してきました。もしこれを広義におけるマネーボールと呼ぶならば、セイバーメトリクスという技術に目をつけたOAKの手法もマネーボールにおけるひとつの手段にしか過ぎないことがわかります。そして他のチームもセイバーメトリクスを取り入れてOAKの追従すれば先行利益はなくなるのもまた自明なこととなります。

こうした中、当ブログが感心したのはBOSがペドロイアとの契約を結ぶ際に示めされた少しユニークなマネーボールにあります。BOSのペドロイアという身長170cm強の小柄な選手が2014年から総額1億1000万ドルの8年契約を結びました。ゴールドグラバーでもあり、リーグMVP、球宴選出4度とメジャーを代表するセカンドでもあるペドロイアの契約は、比較対象ともなり得るカノが10年2億4000ドルであったことを考えると、一年当たりではカノよりも1000万ドル以上も安くバーゲンコントラクトと評価されていました。

ペドロイアがFAでマーケットに出れば確実にあと総額数千万ドルを上乗せすることも可能でした。しかし選手は必ずしも常に経済合理性に従って、判断する存在ではありません。非合理性をも内包した存在こそが人間であるからこそ可能となったBOSのマネーボール。「身長を理由に、多くの球団が指名を控えたなかで、BOSは僕をドラフト指名してくれた。球団に正しい選択をしたと思ってもらえるように、今まで必死でやってきた」と、ペドロイアはドラフト2位指名された球団への恩義を忘れていなかったからこそ、マーケットに出た時の年俸よりも明らかに低いBOSのオファーを受け入れた。日本ハムのレアードも監督やチームへの恩義故に、FAのマーケットに出るのに比較して総額において、おそらくは数億円もの利益を失ってでも日本ハム残留という意思を強く表明するに至りました。

余程の個人的な事情がない限り、大島と平田は中日を確実に出ることになるはずです。人材よりも金を優先し非情なコストカッターと化した落合中日は、日本ハムのような人材を大事にする姿勢にこそ学ぶべきではないのか。日本ハムは決してFAとなった選手を無理に引き留めることはしません。しかし活躍した選手に対して保留条項を盾にして、落合が示した理不尽なまでの低い年俸をオファーすることもまたないのです。

現在、日本には88名もの1億円プレイヤーがおり、その多くはセイバーメトリクス的には大島と平田よりも価値が低い選手たちである。大島と平田のようにWARがリーグにおいてもbest5とか10に入っていた選手が、なぜ1億の金さえもらえないのか?セイバーメトリクス的には全く理不尽にして不可解なのです。ほんとうに落合GMはマネーボールという本を読解したのだろうか。

数年前に大島ともめた時も落合による主観的なフィーリングによって大島の守備に難癖をつけ年俸を抑えていたが、セイバーメトリクス的に見れば大島のUZRはセリーグ平均のセンターよりも高い数値を示していました。あるいは落合は現役時代、リトルリーグでも使用可能と言われた川崎球場で記録した50HRという数字を、第三者から低く評価されるのは我慢ならんということなのか、落合はたとえナゴヤドームにおいても球場の広さなど全く関係なく自分が現役なら50HRを打てるという荒唐無稽な話をしていたことがあります。ここからわかるのは、落合はパークファクターという概念さえ全く理解していないということです。落合は旧ナゴヤ球場という川崎球場にも劣らない超ヒッターズパークでも50には全く届かなかったはずであるが、全く理解に苦しむ話ではあります。

大島への不当な守備評価といい、打者のスタッツは球場の大きさには影響を受けないという無茶苦茶な結論といい、落合GMはセイバーメトリクスについてもほぼ全く勉強などしていないにもかかわらず、「マネーボール」という本を持ち出して自ら中日のGMに就任したことは明々白々である。マネーボールの本質は、主観的に過ぎる印象によって選手の価値を見誤ってはならない点にこそあるが、大島や平田への不当な低い評価のみならず、自らの選手時代のスタッツ評価を不当に高めることまで落合GMはやってしまっているのです。

コストカットへの王道は単に落合が示したような非情さのみに開けているものではありません。もちろんシビアな面を持つことは大事です。しかしレアード残留へからもわかるように、同時に選手を大事にする温情の中にもコストカットへの道が開いていることを落合中日は知るべきではないか。

どんなに素晴らしい成績を残そうが、俺流フィーリングによるイチャモン査定で年俸を抑制する限り、選手のモチベーションは下がり、中日が負のスパイラルを避けることは不可避である。<魅せながら勝つ>それが三原脩の野球であり、その継承者でもある栗山監督は見事に今表現しているが、選手さえも魅了することのできないGMに果たして、スタンドに足を運んでくれるファンを魅了する野球を表現できるのだろうか。

ブレ―ストーミングで現実性をすべて括弧に入れて思いつくままに書くならば、暗い閉塞感のある中日の現状を変えるにはとにかく明るい中畑のような監督を据えることが大事になります。更には三原脩も言うように、今の中日のようなこうした停滞したチームを変えるには大型トレードによってチームの血の入れ替えをドラスティックに断行するしかなく、同時にFAで有力選手を引き入れる政治力をもったGMが適任である。となれば楽天の星野取締役を引き抜いてGMとして再登板を願うしかないのではないか。

交渉において落合は一見、大島をねじ伏せて勝ったように見えながら、戦略的な観点から眺めた時、チームは弱体化したという意味でほんとうは負けたのではないか。落合がGMである続ける限り、中日が人気と実力ともに手を入れることは極めて困難なことのように結論されるが、今後の動向に注目していきたい。

(当ブログとしては珍しく、多数の意見と一致した結論となりました)

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「マネーボール」という本を中日の落合GMはほんとうに理解しているのか?

クレバーさが光る田中将大 fWARはメジャー上位にランクイン

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08 /25 2016
2015年HR/9被弾率1.51がリーグワーストレベルでもあった田中のFIPは3.98を記録し、このままの投球内容ならば、すなわちFIPが3.98前後ならば2016田中のERAは4.00を超えて大きなバッシングを受ける可能性があるという記事を昨年書きました。この記事の結論自体については今もって何らの問題もないと考えています。しかし現在田中のERAが3.11ということは余程の運に恵まれているのか、あるいはピッチングスタイルを2015から大きく変化させたことを意味しています。

2016田中の課題は「被弾率を如何に低くすることができるのか」という一点に絞りこまれていました。2015のセイバーメトリクスサイトで球種別にみるとライジングファーストボールの被OPS983と圧倒的に悪く、田中の4シームはメジャーの打者にとってはちょうどバッドの芯の少し上あたりに当たりやすいホームランボールだったことがわかります。

実際4シームのベロシティもリーグスターターの平均にさえ届かず、垂直方向のホップもリーグ平均レベルであることはデータも含めてすでにレポートとして田中の元へ届けられており、田中は熟慮の末、課題であった被弾率を下げるべく田中は2016シーズン開幕当初は完全に被OPS983であった4シームを捨てるという決断を下すことになります。

2シーム、いわゆるシンキングファーストボールならば、ボールが高速でバッターの手元で沈んでゆくために4シームに比べるならば被弾するリスクは低くなります。試行錯誤の上プレート左端ぎりぎりを踏みシンキングファーストボールを投げるコツのようなものを覚えていった経緯は報道にもあった通りです。結果被弾率は1.51から089まで低下し、4シームについては2シームに打者が絞り込みをかけたところを逆手にとって、絶妙な場面でライジングファーストボールも織り込むという戦略を打ち出すになります。よって4シームの配球の比率は19.4%→5.4%と大きく減り2シームは16.3%→22.8%へと増えていきました。

ヤンキースの先輩でもあった黒田がメジャーへ渡ってからは日本時代の決め球であった4シームをほとんど投げなくなったように、田中もまたメジャーという異質な環境に適応するべく黒田と同じように対応していったことがわかります。自らの力をメジャーという戦いの場で発揮するべく如何に環境に対して柔軟に対応できるかという戦略性の有無が、長くメジャーでプレーできるどうか最大のポイントとなると松井秀喜や黒田も口を揃えて言いました。まさにその対応力を2016田中は発揮し見事に被弾率を下げることに成功し、2016田中fWARは4.2でありこの数値はメジャー30チームにおいても第4位を記録しています。(1位はシンダーガード)ニューヨークのメディアもきまぐれにたたきまくっているようではありますが、この数値は2017に仮に契約を田中が解除しマーケットに打って出てもそれ以上の評価を得られる可能性が出てきたことを意味しています。

課題を明確にし、それを解決するべくアイデアを出し、実践をし修正を加え技術をブラッシュアップしてゆくというクレバーさが、田中将大には備わっている。思えば田中は楽天時代からいつもそうでした。一年目、全く速球で空振りを奪えなかった時、どうすればキレのある速球を投げることができるのかという明確な課題を持ってダルビッシュなどの先輩に食らいついてでもアドバイスを聞き、技術を磨いていったはずです。このように課題を常に明確に絞り込み、解決策を見出し課題をひとつクリアするたびグレードを段階的に上げてきたのが田中将大でした。

単に身体能力の問題だけではなく、斎藤祐樹はたしかに大学を出ていても、プロとしての本質的なクレバーさにおいては高卒の田中には到底及ばない。もし斎藤に田中のようなクレバーさがあったなら、もっと優れた投手になっていたはずである。



余話)BB/Kも気が付けば1.00を切り、イチローの打率は見事な下降トレンドを描いています。個人的にはBB/Kの推移をずっと眺めてきました。300を超えるには高いBB/Kが今のイチローには必要であるとは一貫した持論です。若いころならBB/Kが低くても問題はなかった。最終的には打率はどうなるのか。

中日の閉鎖された暗さ 日本ハムに真の明るさをもたらした男は誰か?

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08 /18 2016
日本ハムというチームカラーの特徴はとにかく明るいという点にある。選手も若さがありキビキビとしており、フロントにも明快な一貫性をもった戦略を持ち、常に新しいアイデアを取り入れチャレンジする姿勢こそが尊重される組織風土を持っている。

その逆が中日なのではないかという気がする。基本的に情報を統制し一切マスコミに漏らさないという姿勢を落合中日は堅持してきた。落合中日の教科書にしたのは以前にも話したように、管理野球で黄金期を築いた西武ライオンズであった。だからこそ数多くの西武OBをコーチとして招へいし、堅実なスモールベースボールを展開しそれが見事に実を結んだと言ってもいい。

問題はその西武式の管理・統制というあり方が少々行き過ぎたのが、WBC中日ボイコット事件であったのではないか。中日のチーム至上主義からすれば、全日本へ選手を派遣しないことは是となるが、多くの野球ファンは日本のプロ野球全体が一致団結してWBCのフラッグを奪取してほしいと願っていた。中日もプロ野球の一球団である以上、ファンが夢を描く全日本に積極的に協力するのが筋であると当ブログでは考えている。プロ野球とはどこまでいっても興行であり、一チームの勝利よりももっと遥かに大事なものがある。

レギュラーメンバーの不動性にも表現されていたように、落合中日は保守的であり情報という意味では閉鎖系であり、WBCでも出場したい選手の自由を認めなかったように管理統制がきついチームではあった。それは最良のストロングポイントでもあったと同時に、ウィークポイントともなってしまう。ベテラン中心のチームが強い時ならばストロングポイントとして機能していても、チームが弱体化した時、上手にテイクオフし再建するには日本ハムのような若手が伸び伸びとできるような、失敗をもある程度許容する解放された明るい空気感が必要とされているのではないだろうか。これが落合中日には欠如している。

日本ハムの稲葉がインタビューでこう答えている。

「新庄さんには、僕になかったものを与えてもらいました。視野を広げてくれたというか……それまでの僕は、常に野球のこと、試合のことしか視界に入っていなかった。ただ、新庄さんの真似をしてファンに手を振った時、スタンドの風景が目に飛び込んできたんです。そうやってファンと接する瞬間は野球を忘れられました。野球のプレーとファンサービス。その切り替えができるようになりました」

野村IDで真面目一本でやってきた稲葉にとって日本ハムで、新庄が野球における視野を大きく広げてくれた。三原脩は言います。

「監督はスタンドとも勝負する」

落合のようにスタンドは関係ないフィールドだけに視野を限定させて戦うのか、それとも三原脩のようにフィールドとスタンドすべてを見渡して、指揮するのか。どちらにより大きな視野の広がりがあるかは言うまでもない。

歴史をフェアーに俯瞰していった時、日本ハムをここまで明るいチームへと変貌させた人物こそ、まさしく稲葉が言うように新庄剛であり、新庄剛が示したファンサービスの本質や野球そのものを楽しんでしまう無縫の明るさが与えた影響力は、日本ハムの歴史において大きな転換点となった特筆すべき出来事であったと言ってもいいのではないだろうか。日本ハムというチームからは明るい光が解放されているイメージがある。新庄剛の表現した明るさは時代を超えて、チームカラーにまで昇華し、その感化力は圧倒的ですらある。

96年の長嶋巨人11.5ゲーム差からのメイクミラクルに2016年の日本ハムの姿をタブらせる方が非常に多いようですが、58年強豪で知られた南海に11.0ゲーム差をつけられ、V絶望の中からドラマを演じてみせた西鉄の三原脩監督こそが栗山監督の念頭にはある。

風を起こしドラマの主人公となってしまう監督が、歴史上には何人かいます。風雲児と言ってもいい。その一人が仰木彬という三原脩直弟子でもあった監督です。極めてドラマティックなシーンの中心に仰木彬監督はいました。88年ロッテとのダブルヘッダー延長時間切れや89年西武とのダブルヘッダー逆転優勝などは球史のbestgame10に残っています。

不可能をも可能にする風が果たして2016日本ハムに吹くだろうか。

栗山監督の様子を今天界から、三原脩が見守っているならば風は必ず吹く。


カーショウの復帰はいつか 野戦病院化したLAD投手陣 

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08 /15 2016
「カーショウ復帰の目途立たず しかれども2016LADはまだ終わらない」

7月初旬、首位SFとは6.0~8.0ゲーム差で推移している中、カーショウの復帰に目途は立たなくても2016LADは終わってなどいないという記事を書きました。他のスターターが続々とDLから復帰することがわかっていたからですが、あれから一か月半、SFが急速に勢いを失って現在1ゲーム差となりました。ところが先回の記事で挙げた投手たちが戦線に復帰したものの、復帰直後次々とDL入りになっています。

ノリスを筆頭に、マッカーシー、柳、補強したヒルに至っては入団則DL入りであり、完全にLADの投手陣は野戦病院化しています。おまけに昨日14日DLから復帰したアンダーソンは1回5失点KOであり、戦力としての見通しは全く立たない状況下にあります。

DL情報サイトによれば

●ノリス19日復帰予定
●ヒル 8月下旬?復帰予定
●カーショウとウッド 9月以降?復帰予定

とのことですが、ノリスのように具体的に復帰する日時が書かれていないDL復帰情報はあまり当てにできません。結局マエケンとカズミアだけがLADローテの計算できる投手となってしまいました。これからの50試合ここまで怪我人続出で戦っていけるのでしょうか。実に心配です。カズミアのERAは4.00台で維持されている以上、いよいよマエケンの双肩に2016LADの運命は大きくのしかかっている。

どのチームもそうであるように9月からは同地区対決のスケジュールが数多く組まれているはずです。最大のキーは、カーショウの復帰は60日DL明けのほんとうに9月中なのかという点にあることは言うまでもありません。

余話

イチローの打率は最終的にどうなるのでしょうか。3000安打まで10本を切ったところから、お気づきのようにここ1ヶ月にわたって全くと言っていい程、BBをほぼ選ばず、Kが右肩上がりで増えていきました。攻撃のアプローチが昔に戻っているということは、基本的には確実にイチローの打率は下がることを意味しており、実際ここ1ヶ月打率もそのように推移してきました。正直アプローチが変わった段階で予測は不能な領域に入っています。


ヤンキースに待望のデュオ誕生か baby bombers の衝撃デビュー

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08 /14 2016
次なる注目ポイントとして挙げていたのがタシェアラとAロッドの処遇でした。実質的にAロッドをDFAとした決断は全く正しく、今日の試合においてもタシェアラもスタメン落ちとなり、代わってスタメンに名を連ねたのがプロスペクトのジャッジとオースティンであり、メジャー初打席において2者連続ホームランを放つというド派手なデビューを飾りました。今後は一気にタシェアラの出番も減ってくることは容易に想像できます。

次なるポイントはハル・スタインブレナーにとっては最大の懸案事項と考えていた贅沢税が一度リセットされた時、どこまでアクセルを踏み込んでFAの補強をするのかになります。戦力の逐次投入という愚を普通に繰り返してきた人でしたが、守りにおいてAロッドを外したという正しい決断を、攻めにおいてもどこまで徹底できるかがヤンキースの命運を握る大きなキーとなりそうです。

惜しむらくはサンチェスや新たなる希望のデュオ、ジャッジとオースティンに対して、ヤンキースの古き良き王者として伝統を生の言葉で伝えることのできるカノを放出してしまった損失の大きさです。カノがメジャーデビューした際に、カノを善導したのは、ジーターやポサダ・バーニーなどの生え抜きや、FAで獲得したAロッドやシェフィールドといった豪華スター軍団による空気感そのものでした。時には言葉でもさまざまな有益なアドバイスがカノへ送られたことは想像に難くありません。勝者として王者としてどうふるまうのが正しいのか。それが有形無形のカノの貴重な財産となり、SEAの若きメンバーを引っ張ってゆくリーダーシップの源泉となっています。

後藤新平という大政治家の有名な言葉があります。

「金を残すは下、事業を残すは中、人を残すが上」。

この言葉を用いながらチームつくりにおいて最も大事なものとはせんじ詰めれば<人>であると三原修は喝破します。

根拠がセイバーメトリクスに基づくような客観性のある物差しならともかく、リーグにおいても有数のWARを誇った主力の平田や大島へのサラリーをイチャモンレベルの理由で出し渋り、平気で生え抜きのベテラン井端の首を実質的に切り、新人への見切りも異様に早かったコストカットマシンと化した落合中日。たしかに金を残ったかもしれないが、人心はすっかり離れており、このようなことを続けていればかつての強豪だった中日も確実に衰退するという記事も書きました。金は残るが人は残らない中日に明るい未来はない。これくらいのことは巷のコメントにも溢れており、少しでも関心のある人なら誰にでもわかったことです。

カノ放出やコストカット中日落合からもわかるように、戦略においては経済合理性よりももっと大事にしなければならないものがある。

開幕して2か月、メッツのマッツが快走して7勝1敗、最多勝はマッツものだと最初からわかっていたという書き込みを見たことがあります。現在マッツは8勝8敗です。開幕して10試合、コーリー・シーガーのOPSは600台前半、化けの皮がはがれたという書き込みもみたことがあります。現在地区優勝すればシーガーはMVPの最有力候補の一人であると伝えられています。トラウトとハーパーは10試合時点でOPSにして400前後の大きな差はあり、両者の実力にはとてつもなく大きな開きが出てしまったとか、7月上旬カーショウ離脱でLAD完全終了でもいいです。

つまり目先の結果によって如何に多くの人には強烈なバイアスがかかってしまうか、という具体例についてお話しています。同じ轍を踏むつもりもなく、今回のデュオ連続ホームランについても、その強烈なインパクトだけに視野を限定するつもりはありません。より大きな歴史的な見地や戦略的な観点から眺めた時、ヤンキースの王者としての伝統を継承すべき人材であったカノ放出に見られるような、実に様々なるミスをこれまでハル・スタインブレナーは数多く犯してきたという指摘はこれからも改めてきっちりとしていきます。

同時にAロッドを切るという決断は正しいものだっただけにオール・オア・ナッシングに陥ることなく、戦いのセオリーに合致しているのかどうかという観点から、是是非非でこれからもヤンキースをウォッチしてゆくつもりです。デュオが連続HRを放った、だからファイアーセールに至った経緯も含めてすべて正しいという表層的でもあり単純な結論からは限りなく理性的に距離を取っていきます。目先に視野を限定させることなく本当の意味で大局的な見地とはいったい何か、これからも当ブログとしての探求は続きます。

伝統とは人を介してのみ、時代を超えて伝わってゆくものである。いったい誰がヤンキースの伝統を後世へ伝えてゆくのだろうか。


拝啓 高橋尚成様 クワーズフィールド物理学編

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08 /08 2016

高橋尚成さんがこの記事に目を通すことはまずないでしょうが、クワーズフィールドの投球における特徴について、物理学的に考えた時、チェンジアップについて間違った解説をされていたので一言だけ述べておきます。物理学の話ですが、わかりやすく書くように努めました。

通常4シームのことをライジングファーストボールというように、ボールにバックスピンをかけるとマグナス効果によって揚力が発生しボールがホップします。実際には重力によってボールの軌道は少しづつ下がるとは言われますが、その落ち方が回転数が多いとそれだけ抑えられ打者からすれば伸びるように見えるということですね。

物理学から眺めると投手が投じるボールはストレートも含めてすべて変化球なのですが、例えばバックスピンをかけた4シームと全く逆のボールにトップスピンをかけると桑田が投げたような落ちるカーブとなります。曲げたい方向に回転を加えることでボール周辺の空気に気圧差が生じマグナス効果が働いてボールの動きを変化させることができます。

地表に比べて高地では等しい体積の中の空気分子が少なくなるので気圧も小さくなりますが、地表との違いは下記の2点だけを抑えておけば理解可能となります。

特徴 1 

「高地では空気も薄くなるためボールがベースへ到達するまでに与える空気抵抗も小さくなり、ボールが減速しにくい。」

特徴 2 

「高地では気圧が低くマグナス効果がそれだけ効かなくことを意味しており、地表よりも変化率は低下する。」

この2つの特徴から投手の投げる変化球を3つに分類してその特徴を記します。

●ライジングファーストボールの場合

バックスピンをかけても地表の球場のようにクワーズでは当然ホップしない。ところが気圧が低いということは空気抵抗が小さいために、地上よりもファーストボールの減速が抑えられそのままズドーンとキャッチャーミットに収まるようになる。すなわち地表よりもホップはしないが伸びるという印象を選手に与えるようになる。

ライジングファーストボールは投手から見てやや有利なボール。

●回転を利用する変化球の場合

スライダー・シュート・カットボール・シンカー・ナックル・カーブなどですが、空気抵抗を利用して曲げていきますので、高地ではマグナス効果が効きにくくボールは曲がりにくくなり、空気も薄いためにブレーキもかからず減速せずにそのままホームベースまで到達することになる。

回転系の変化球は投手から見て危険信号のボール。

●無回転変化球の場合 

フォークやチェンジアップですが、基本マグナス効果を発生させないボールなので、地表と同じく重力に従うわけで最も変化球の中では一番気圧の影響の受けにくいボールとなります。ただし空気が薄いので減速率が低くなるため地表よりもボールの落ちるポイントが打者側になることがある。つまり落ちずにベースまでいってしまった場合、打ちごろの遅いボールとなってしまう。

無回転系の変化球は投手からみてそれなりにリスキー。

よって高地ではチェンジアップの落ちが鋭くなるというのは物理学的には誤った解説であると言っていいでしょう。誤解をする人も多いと思ったので一言書いておきました。ファーストボールが走り、回転系の変化球の変化が小さくなるので、無回転系の変化球が相対的により大きく落ちると高橋尚成さんが主観的に感じ取ったのかもしれません。そういう可能性なら十分にあります。

よってクワーズで投げる際の投手の戦略としては、やはりまず質のいいライジングファーストボールを増やすということになります。実際COLがそうした戦略を採用したとも伝えられています。

今日の記事は「パークファクターの基本 ドームランを考察する」の続編にあたる記事です。

東京ドームのドームランなるものは単なる都市伝説に過ぎないのか。

結論

物理学を通して投手の投げるボールを眺める時、すべてのボールは変化球である。直球や真っすぐ、ストレートを当ブログではマグナス効果を考慮し実はこれまでも基本的には速球、4シームやライジングファーストボールと呼ぶこととしてきた。


ヤンキース ファイアーセールへ 論理を超えたジョージ・スタインブレナーの偉大さ

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08 /06 2016
「視聴率も下がり続ける チャップマン放出劇にみるヤンキースの現状」

どうやらこの記事を書いた時までは、やはりというべきかハル・スタインブレナーは中途半端な動きを選択しチャップマンだけは売って、補強はせずにコンテンダーとして8月に突入する予定だったようです。しかしチャップマン放出以後のレイズ3連敗で一気にファイアーセールへ決断。オーナーからGOサインが出ればいつでも合意できるようにキャッシュマンが下準備をしており、デッドラインぎりぎりで、ミラーを皮切りにノバ・ベルトランとファイアーセールへ断行したという流れだったことが判明しました。

今回改めてはっきりしたことは、現オーナーが父親同様、チーム編成に相当の口出しをしているということです。問題はそのハル・スタインブレナーの口出しが、戦略的にほんとうに正しいのかどうかという点にあります。今回は「合成の誤謬」という少し変わった切り口から、今回の件について改めて振り返ってみたいと考えています。(それなりのオチを最後に用意しました。気が向いたらお付き合いください。)

下記3点ABCのグループについてまず見てください。

A「無駄な支出をしない。」
B「アクティブロースターが若い。」
C「マイナー組織プロスペクトが充実している。」

無駄な支出を「贅沢税」と言い換えてもらってもいいですが、それぞれ3つを単独で見ればすべて正しいことを言っています。これら正しい事柄ひとつひとつ繋ぎ合わせて、大きなひとつの理念でまとめ上げれば今回のファイアーセールに帰着し「創造的破壊」、新生するためにスクラップアンドビルドすると表現することも可能です。

一方、財政力にものを言わせたジョージ・スタインブレナーがやってきたことをEFGのグループとして箇条書きにすると

E「贅沢税をじゃぶじゃぶ支払う。」
F「アクティブロースターは高齢化している。」
G「マイナー組織はすかすかである。」

ジョージ・スタインブレナーが断行したことを要素分解すると、どれもが間違っているように見えます。更に冷静に俯瞰していきますと、ハル・スタインブレナーのやっていることはボスこと・ジョージ・スタインブレナーのアンチテーゼであることがよくわかります。ABCグループとEFGグループを比較すれば、ABCグループのハル・スタインブレナーのやり方にも明らかに理のあることがわかります。

しかしここにこそまさに今回お話する「合成の誤謬」の大きな罠があります。

「合成の誤謬」とは、ザックリ言ってしまうと「正しいこと+正しいこと+正しいこと=間違った結果」となる事例もあることを示しています。普通に考えると正しいことを足していけば正しい結果が返ってくるようにも思えますし、正しい結果が得られることもあります。しかしどんな条件下でも常に正しい結果が返ってくる訳でもありません。

そもそも翻って戦略の目的とは何でしょうか?

「チームを勝利へ導き、多くのファンに喜んでもらい観客動員を増やし利益をたたき出す」ことに尽きます。

最終的に抑えておくべきポイントは、論理的に正しいか間違っているかでもなければ、まして手法が古いか新しいかでもありません。すべては戦略の目的を達成しているのかどうか、当然のことながらここへ戻ってこなくてはなりません。実際、人気においても実力においても他のチームとは一線を画し、明らかに一目置かれていたのがボスが率いるかつてのヤンキースでした。

ジョージ・スタインブレナーの手法にはたくさんの欠点や負の要素があることは明らかです。しかしそこだけを切り取ってフォーカスしてボスという人物の全体像を把握したと早合点してはならないはずです。つい最近も「いつまでも昔のヤンキースのようにPOに出ることが当たり前だった時代はもう終わったのだ」そんな記事を見たことあります。そのライターが自らの認識力の限界に引き付けて、常勝で居続けることはできるわけがないと結論づけ話を勝手に展開していたわけですが、そのライターが不可能と考えていたことをジョージ・スタインブレナーは可能なものとして実際に結果として出し続け引退しました。

これは一体何を意味するのか?

おそらく第三者の立場から眺める限り「そのライターよりも遥かにジョージ・スタインブレナーの方が偉大であった」ということです。「金をつぎ込めば誰でも勝てる。」そんな口上もよく聞くはずです。しかし金はあることと実際に勝負につぎ込むことは別物であり、勝負に出るためには度胸が必要です。大金を投じて勝負できるというのも立派な才能の一つだという視点を決して見落としてはなりません。

ジョージ・スタインブレナーを過大に評価する必要もないですが、過小に評価するのもまた大きな問題となります。HOUやCHCのように一度、徹底して破壊をした後に大いなる飛躍があったように、何の疑念を呈することもなくヤンキースも同じように完全な売り手へ回ったことを正しいとする論理を展開する話を見た人もいるはずです。しかし中小マーケットのチーム戦略の延長線上で、単純にヤンキースのようなビックマーケットを語るという時点で、全く戦略のイロハを知らないことを表明しているに等しいと言ってもいい。しかもこれが一般の人だけでなく、一部の名物記者と言われる人までもが同じようなことを言っているのには驚きました。野球の情報や知識を豊富に持っていることと、戦略の知識は全くの別物です。

当ブログがヤンキースは売り手へ回るべきと言ったのはミスの上にミスの上塗りをしてはならいといった程度の話であり、なぜファイアーセールをしなくてはならないほど、ここまでヤンキースを衰退させてしまったのかという点にこそフォーカスし続けています。

戦略的な正しさを掴む上において大事なのは「合成の誤謬」からもわかるように、論理的に正しいか間違っているかという以上に、本質的に何がより大であり、何が小なのかを見極めるバランス感覚に求められなければなりません。

セーフィコというピッチャーズパークにあってSEA2010のズレンジックによる超守備型戦略などが「合成の誤謬」の一番わかりやすい例です。論理としては一見正しく筋は通っていたが、戦略としては間違っていたために100敗超もし大失敗に終わった最たる例です。当時あの戦略は絶対に正しいと信じ込んでいたSEAファンは多数でした。しかも一定の知性を備えた人たちに限ってズレンジックを支持していたという点が非常に重要です。そこには賢い人たちを納得させるだけの明快な論理性が備わっていたことになります。個人的にはそこには正しい論理性があることは認めるものの、最終的にその戦略は破綻すると予測した側の人間だったので、どんなに負け続けてもズレンジックの戦略の正当性を論理でもって擁護する意見をどうしても読めなかった記憶があります。

このようにどのような意見にも一定の論理があり白か黒かで完全に区分けすることはできません。ジョージの手法にも正の要素があり負の要素もあるように、ハルの手法にも正の要素があり、負の要素がある。大事なのは戦略の目的から鑑みて正と負を比較してどちらがより大なのかを判断する、深いバランス感覚に帰着することになります。ヤンキースのブランド化に成功したボスのやり方にいろいろ問題はあったが、そういた負の要素を補って余りある、更なるプラスを打ち出すことに成功していたことは実績からも明らかなことです。MLBではアクティブロースターの年齢の若さを争っている場でもなければ、プロスペクトがどれだけ充実しているかを争っている場でもない。まして手法が新しいか古いかで評価することなど全くのナンセンスである。戦略の目的を達成していたかどうかですべては判断されるべきである。

個人的には数百冊程度しか戦略の本も読んでいません。特に戦略について精通しているというわけでもないですがしかし戦いにはセオリーというものは確実に存在しており、強者の戦略から眺めてもやはりジョージ・スタインブレナーの手法は基本的に正しいと結論できます。尚若手や生え抜きに対して多少のケアもし、その手法に一部マイナーチェンジを取り入れたらもっと良くなるとも考えています。

ファイアーセールを肯定する論理は、十二分に理解しています。しかし当ブログが着目しているのは、論理の正しさではない。高橋是清という財政の天才も、「合成の誤謬」に秀才は陥りやすものであるということをはっきり言っています。論理的な正しさは必ずしも戦略的な正しさを保障するものではありません。

今回ファイアーセールをもろ手を挙げて賛成し、贅沢税回避することはマストであると信じる人たちは高橋是清も言う通りたしかに論理的でもあり賢いと思う。しかしジョージ・スタインブレナーというMLBの歴史においても名を残こすであろうオーナーにはそうした賢さを超えたスケールの大きさ感じるのです。

結論

金があれば誰でもジョージ・スタインブレナーと同じようにヤンキースをリードできると思ったら、全くの大間違いである。何が大であり、何が小なのかが、わかるという意味での論理を超えたリーダとしての賢さがジョージ・スタインブレナーにはあった。


ついにアンドリュー・ミラーを放出 ヤンキース再建期へ本格化

未分類
08 /01 2016
一報を聞いた最初の印象は、思わずニヤリとしつつ、ついにはっきりとした方針をヤンキースは打ち出したのかということでした。インディアンス最高プロスペクトのフレイジャーら4人を獲得。細かい情報については当ブログの関心のあるところではありませんので他に譲ります。

「ヤンキースは今こそ売り手へ転じるべきである」

でも書きました。当ブログでは既述のようにヤンキースが近年取るべき戦略を完全に間違えており、チームをここまで弱体化させた以上、思い切った再建期へ移行するしかないという考えでした。その再建期へ切り替えるのにブレーキをかけていたのがハル・スタインブレナーであるという情報もありましたが、情勢が変わりようやく第一歩を踏み出したということなのかもしれません。

かくなる上は、思い切った完全なる方向転換が求められます。特に当ブログが注目しているのはAロッドとタシェアラの処遇です。OPS600前後、WARが-1.0前後とLADからDFAされたクロフォード並みの成績です。3Aの選手を今、MLBへ上げても平均としてWAR0.0は期待できるわけですから、この二人はチームにとって戦力として負の影響を与えているにとどまらず、将来のヤンキースを担うであろう新人が入るべきロースターの枠まで塞いでいるという二重の負の影響を与える形になっています。今回のトレードで再建期へと歩を進めた以上、MLBのレベルでもっと若手を育てるべく多くのチャンスを与えるべきであり、ミラー放出が将来を見据えた戦略的な動きであるというなら現状の打撃成績である限りAロッドとタシェアラが試合に出場させる意味は基本的にほぼないと考えるのが道理となります。

Aロッドが700号を打とうが殿堂入りの可能性は限りなくゼロであり、イチローの3000本にはあれだけ盛り上がっている一方、3000本よりも更に希少性の高い史上4人目というAロッド700本まで残り4本に迫っているにもかかわらず、特別に大きな盛り上がりもないことからも多数のMLBファンはすっかりしらけているのではないでしょうか。歴史的なトピックでありふつうならばもっと大騒ぎになっているはずの大記録です。

LADのフリードマンが4000万ドルをドブに捨てる覚悟でクロフォードをDFAしたように、結論からすれば再建期へ大きく舵を切った以上サンクコストと割り切ってAロッドとタシェアラもDFAにし、(今二人をDFAにしても被害額は3500万ドル程度か)新人を上げて将来を見据えた戦略的動きをすべきであると考えます。辛坊強さと同時に実践の場がどうしても新人を育てるのには必要です。そして金銭に対するコスト感覚よりも時間に対するコスト感覚が強い戦略的な思考の持ち主なら、フリードマンのような動きに必ずなります。しかし金銭に対するコスト感覚がより強い人物、つまり本質がケチというだけならサンクコストとしてDFAした選手へ払われるサラリーを割り切ることはまずできません。

「戦略とは勝利の生産性を高めるための時間を支配する技術である」とも言いました。

フリードマンの時間に対するコスト感覚に当ブログは極めて非凡なものを感じています。同時にハル・スタインブレナーの金銭に対するコスト感覚には、単なるセコさしかこれまでは見出すことはできません。ハーパーを獲得した本当の勝負と考えている2019年には確実にいない、WAR0.0をも大きく割っているAロッドとタシェアラをどれだけ早い時期に切れるかどうか、ここが戦略家としての器量がはっきりと見えてくるひとつのポイントとなります。サンクコストと割り切って二人を早い時期にDFAにできたらこれまでのハル・スタインブレナーの行動原理とは明らかに一線を画するものとなりそうです。

MLBという戦いの場でもその人物の<時間に対するコスト感覚>について当ブログでは常に焦点を当てています。なぜなら<時間に対するコスト感覚>にこそ、もっともその人物の戦略性が端的に表現されてしまうからに他なりません。


「場所を取り戻すことはできるが、時間は決して取り戻すことができない」  

 
ナポレオン・ボナパルト


大谷翔平についてのスタンス

日本ハムOB・野球評論家・プロ野球ファン・日ハムファンから二刀流・大バッシングのまさしく四面楚歌だった新人時代から一貫して栗山監督及び大谷二刀流の擁護する立場を貫く。

メジャーに大谷レベルの選手いくらでもいるとした二刀流否定派・メジャー通による「ゴロゴロ大谷説」も日本ハム時代から一蹴。

当ブログのポリシー

「これは現代に繰り広げられる壮麗なサーガであり、神話という文脈の中で大谷翔平という選手を捉えなければ、その実相は決してわからない。」

写真は古代ギリシャの神殿。