ドジャースはプイーグ放出をすべきである

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07 /28 2015

フリードマンがプイーグ放出に決断するのかどうか?


結論からすると、ワールドシリーズで勝利することを戦略的なターゲットにする以上、チームの和を乱すプイーグ放出へ決断する可能性が極めて高いのではないかと考えます。マラソンモードのペナントであればチームの総合的な戦力があれば、多少チームがバラバラの方向を向いていても勝ち抜くことができますが、短期決戦とは短距離走でもあり、ここ一番といういざという時にどれだけ力を集約して、一致団結して勝負に臨めるのかというケミストリーが特に短期決戦では大事になってきます。ワールドシリーズにおいてSFのベンチでは自然と選手がペンスを中心として円となった姿が個人的には非常に印象的です。この心理的な要素を孫子は<人の和>という言葉で表現し、真の戦略家は言うまでもなく極めて重要なものとして捉えます。


「9=8」というTシャツを着せて TB元監督マドンも、スモールベースボール出身の監督らしく極めて<人の和>を大事にし、それを乱したアップトンに対して断固とした処置をしていましたが、この点については元TBのGMフリードマンも方針としては全く同一であったと考えていいでしょう。



それが証拠にLAD着任してフリードマンが最初に手をつけたのが、ケミストリー改善のためにケンプとハンリーの放出でした。特に生え抜きのMVPケンプの放出は実に大胆不敵な決断でした。同時にCHCに監督として着任したマドンが記者会見で開口一番何を言ったのか、覚えているでしょうか?チームの団結の重要性を説いたはずです。孫子の言う<人の和>をフリードマンもマドンも間違いなく大事としています。セイバーメトリシャンではあるが、数値化できないケミストリーの部分、精神的にチームに与える影響力も十二分に考えてチーム作りをすすめている点にこそ、フリードマンの非凡な点があります。


BOSのチェリントンもかつてはケミストリーを非常に重視し2013年にはいきなりの大成果を上げたGMでしたが、(2013BOSはチーム全員でディナーを取ることもあったくらい非常に結束が強かったというエピソードを聞いたこともあります)しかしそのケミストリー重視であったチェリントンがなぜか気が付くと2015に問題児のハンリーを獲得し、決してSFでチームメイトと上手くいっていなかったと言われるサンドバルを獲得し、サンドバルの低成績はもとより試合中にSNSでいいねをするという事件まで起こすという、プロ意識の決定的な欠如が問題となりました。例えばイチローが試合中にSNS?まずあり得ないですよね。精神的にサンドバルは大きな問題がある。


オールドスクールのトーリは、ボンズについてどれだけ力を持っていようがケミストリーを乱す選手など必要ないときっぱり明言していました。そしてその直感はおそらく正しい。


セイバーメトリクスの役割のひとつは、団体競技にあって個々の選手の価値を過大でも過小でもなく、刳り貫いて統計的に明らかにしてゆくというものですが、それがある一定の成果を収めるとベクトルの方向が逆転して、個々の選手がチームにどう影響を与えるのか?という課題が必ず取り出されてくるようになります。セイバーメトリクスとは線形の科学であるのに対して、個々の選手がチームにどう影響を与えるか?というテーマは一般に複雑系と言われるものであり、これは非線形の科学です。線形が流行して振り子がある程度、振り切れると必ず慣性の法則によって非線形の方向へ時代は流れていきます。


ポスト・セイバーメトリクスのひとつとしてチームケミストリーの問題に必ずフォーカスされる時代がやって来る、そんなことを5年前に書いたこともあります。歴史の法則をベースに戦略や戦術を研究してきた限り、プイーグ放出はLADにとってトータルとしては正しいのではないか?なぜなら他の誰が代わりに入ってきたとしても、基本的にLADのケミストリーは劇的に上がるからです。そして大事な点はプイーグの戦力的な代わりは金を積めば他から獲得することも可能だという点です。


短期決戦を睨んで、守備力の強化をするべくゴードンも放出しました。戦略的な意図は十二分にわかります。結果的にゴードンのDRSはメジャーで最高レベルに跳ね上がったところを見るにトータルで見た時おそらくこのトレードは失敗であったと判定される可能性大です。しかしそれは結果論であって、フリードマンがLADの舵を握りどこへ向かおうとしているのか?そのチャートは確かなものです。



プイーグ放出ありだと考えます。 交換チームがあるといいのですが・・・結果は如何に

とは言ってもあくまで戦力を整えることが第一であり、ケミストリーが二義的なものではあることは否めません。そういう意味でLADは今次のステージへ上がろうとしている段階にあると言っていいです。いよいよWS制覇への仕上げの段階に入りつつあるのかもしれません。カーショウも短期決戦で貴重な失敗の経験も何度も積みました。あれだけの投手だけに同じことを何度も繰り返すとも思えません。

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私はこのブログを立ち上げた直接的な理由はビル・べックの偉大さを周知させるためと言っても過言ではありません。よかったらぜひ一読頂けたら幸いです。

「メジャー通必須の知識 MLB史に聳え立つ巨人ビル・ベックを知っているか」


PITの防御戦略に見る オールドスクールと新思考派の対決の行く末

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07 /20 2015
かつて<時代のテーゼ>であったスモールベースボールを源流としたオールドスクール型の考え方に対して、革命児たるビリー・ビーンが<時代のアンチテーゼ>としてセイバーメトリクスを導入し、一定の成功を収めるや、その有効性が認知されるに従ってやがてセイバーメトリクスがメジャー全体を席巻するようになりました。オールドスクールと新思考派の対決は言わば歴史の必然であり、それは2015年になっても尚「GM VS 監督」という形で現れています。先般にあってもLAAでは監督としては格別にチーム内において非常に大きな権限を与えられているソーシア監督と対立したGMが任期途中で解任劇となりました。 一方HOUにおいては一昨年、ルーノウGMが乞われて就任した経緯から、対立していた監督解任となりました。こうしてみると未だ、オールドスクールと新思考派の対決はあります。そして政治力学上、力関係で弱いほうが外へはじき出されます。


歴史の運動法則とは一般に、テーゼとアンチテーゼが対立を深めると最初は互いの正義がぶつかり激しい争いが繰り広げられますが、やがて互いの正しさが程よくブレンドされ、よりエレガントな形へと昇華されてゆくことになります。これは必ずそうなります。なぜなら、ある偉大な哲学者も指摘しているように、それが揺ぎ無い歴史の法則だからです。


スモールベースボールが<フィールド内の現場に実際に立っていた者から生じた知見>であるのに対して、セイバーメトリクスとは<フィールド外にいた人たちの知的な営みによって発見された知見>ですが、どちらかが絶対に正しくどちらかが絶対に間違いということは、それこそラルーサが言うように絶対にあり得ません。どちらにも一定の正しさがあります。そして互いに欠陥があります。


例えば、セイバーメトリクスは大数の法則を原理としているために、どうしても短期決戦に対するアプローチに対して限界が出てきます。無力ということはないにせよ どうしても入り込めない細やかな部分が出てくるのが宿命です。しかしながら同じデータ野球であっても、その出自がスモールベースボールにあるID野球では「スモール」という言葉からも明らかなように、特に戦力が拮抗しているワールドシリーズのような戦いにあって経験豊富な歴戦の魔術師と呼ばれるような監督が指揮する時、セイバーが入り込めない細やかな部分において、その真価を発揮することがあります。裏を返せば、セイバーメトリクスの本領はやはりペナントを戦略的に攻略する際に大きな力を発揮することになります。


真に強いチームとはペナントを制することはもちろん、短期決戦にも無類の強さを発揮するようでなければ、本物ではありません。故にMLBはプロである以上、常にファンの期待に応えるべく真の強さを求めてゆく時、セイバーメトリクスとスモールベースボールが戦略的に統合される時代がやってくることは歴史的な必然でもあります。 短期決戦では監督の決断力や状況判断力の持つウェートがペナント以上に大きくなりますが、一部のセイバーメトリシャンはこうしたオールドスクール型の勝負師としての経験や智慧を軽視する傾向にあるように見受けられます。だから統計学の持つ力を過信し、監督をあまりにも軽んじていたビーン率いるOAKは短期決戦において勝てなかった要因のひとつはそこにもあります。いずれ機会があれば、別途本格的に「なぜ OAKは短期決戦で弱いのか?」について記事にするかもしれません。それ以外にもいくつかの勝てないには勝てないなりの要因があります。それを運に責任転嫁している限りは、おそらく勝てない。


統計学の力と言うものは凄まじいものがありますが、それだけでベースボールが勝てるほど甘いスポーツでもない。

個人的にはセイバーメトリクスとスモールベースボールについてあくまでどちらも戦略の一手段というより大きな視野にたって同時並行に研究を進めてきたつもりです。OAKの盗塁急増の情報に2010年頃に接しても、セイバーとスモールが完全に矛盾するという固定概念がそもそもなかったために、まごつくこともありませんでした。そして今回、PITがセイバーメトリクスとスモールベースボールが戦略的に統合の実践しているという情報に接して、具体的にこんなスタイルとして統合されてゆくものなのかと感心しながら、その記事を読んでいました。


アストロズの強さの秘密 その戦略をセイバーメトリクス分析する 防御編ではこう書きました。


「もしHOUは意図的に球速を抑え制球を重視しつつBBを低く抑えるとともに、ストライクゾーンで勝負をし掛けつつもGBをシンカー等で数多く打たせ、インフィールドに飛んだ打球をセイバーメトリクスに基づく<守備シフト>及び優れた<守備力>で数多くアウトを生産するという戦略を描いているとしたら・・・」


基本的には雑誌によれば、この防御戦略を地で行っていたのがPITであったようです。ここ3年でソートしても30チームで最もGB率の高いのはPITです。2015に限っても30チームで最も高いGB率を誇ります。もっともPITが属するリーグはNLであり、打者投手の打球は圧倒的にGB率が高い。故に、ALで最もGB率が高いHOUと2015に限っては同等レベルと考えてもいいかもしれません。


ビックデータを解析すると「守備シフトを機能させるためにGB率を高めなければならない」という結論が導き出されるようです。GB率と打球の引張りという方向性には一定の相関関係があったことが統計的に明らかになっていたんですね。GB率を高めるのは単にSLGを下げるだけではなく、一石二鳥の戦略的な価値がある。


よってPITはもちろんHOUが採用していると考えられるこの防御戦略の端緒は、まずGB率を如何に高めるかがポイントですが、PITに至ってはGB率がここ3年継続してリーグ最高レベルに達しているということは、ビッグデータを使用したセイバーメトリクスによる分析が的確であることを物語っています。ちなみにLADも相当の高いGB率を記録しています。だから内野手の守備力にも相当に拘ったわけですね。しかしゴードンはつい先日見たときもメジャー最高の守備力を誇るDRSの数字をたたき出してはいましたが・・・。


雑誌によるとGB率を高めるノウハウの候補となるアイデアを自由にコーチを中心とした現場サイドから提出してもらい、それらのアイデアを逐一、実際のビックデータで検証することによって、GB率を高めるには有効な相関関係の高いと認められるノウハウだけを抽出し、それらをレシピとしてPITは随時蓄積しているとのことでした。一例として「内角をファーストボールで攻めて、次の投球を外角の緩い変化球を投じるとGB率が高まるのではないか?」という視点が現場サイドから提出されて実際データを取ると、一定の相関関係が認められたと雑誌にはありました。しかし、シークレットになっているものがまだまだ数多くPITには蔵されているはずです。


公にされていたのはあらゆる投手に共通する一般的な法則に過ぎませんが、PITにおいて例えばある投手はシンカーがGB率を高めるのに有効であるが、ある投手はスライダー、ある投手はカットボールがGB率を高めるに有効であるというように、 投手の特徴とGB率の相関関係について個別的な分析をよりキメ細かく行われているのは想像に難くありません。今は一例として球種を取り上げましたが、高低や左右、緩急など各投手ごとにもっと細かく様々な視点に基づいて、検証されている可能性があります。この点において各チームのビッグデータの使い方や分析力において相当の格差というものは存在するはずです。


「守備シフトを過大に評価してはならない」という記事でも記したように2013年以前からとっくにあった純粋なプルヒッターへの守備シフトは明らかに有効です。それを否定したことは一度もありません。しかし問題は、それ以外のバッターに対する守備シフトを現時点では過大に評価すべきではないであろうという考えを現時点でも持っています。すなわち「BABIPの大幅な低下が現段階で認められない以上、現在多くの守備シフトはまだキメが荒い未熟な段階にある」という仮説を持っています。2014、2015BABIPの数字は決して下がっていないのが現実ですが、同時にPITのように他の球団も現状より更なる守備シフトが進化しよりキメが細かくなれば、BABIPにも大きな変化が見られるとも考えています。


打低投高の時代であり、あれだけ守備シフトが急増したのだからと、BABIP全体の数字を調べもせずに全面的に守備シフトは有効なのだという決め付けだけは戴けません。こうした決め付けや固定概念を排除し、現実に即して、よりしなやかな歴史観を背景にして今後も柔軟にMLBの成り行きを見守ってゆくつもりです。守備シフトを過少にも過大にも評価するつもりはありません。

今MLBはビッグデータの時代へ完全に突入し、PITのようにフィールド内ある智慧とフィールド外にある智慧が融合されより戦略もよりブラッシュアップされた姿へ移行するはずです。ようやくセイバーメトリクスとスモールベースボールが戦略的に統合される時代へ入ったようです。




名将ラルーサの奥深き智慧「これからの監督に求められる資質とは何か?」

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07 /15 2015
現代の監督に求められる力について、先日ラルーサはBSにて<セイバーメトリクスに基づくデータを活用する力>と同時に<フィールド内にいるからこそ見えてくる現場感覚に基づいて判断する力>、この両方が大事であると語っていました。野村克也は野球は頭でやるものだと言い、長島は勘ピューターとも揶揄されましたが、ラルーサは監督として知性だけでも感性だけでもどちらかだけでも駄目なのであり、この両方の資質がこれからの優れた監督であるためには大事であると言っていました。


ワールドシリーズともなればじっくり最初から最後までその戦いを見届ける故に、監督の力量についてもじっくりと観賞することができます。今回はラルーサの主張するところをこの具体的な例として2014のワールドシリーズのKCヨースト監督を用いてわかりやすく説明してみます。

例えば一般に一試合という流れの中で見ると、<終盤になるほど、接戦になるほど、投手戦になるほど>これらのファクターが強くなる程に1点の持つ価値は大きくなることが統計的にWPAという指標で明らかになっています。ベースボールにおいて勝利という観点からすれば1点の価値は状況に応じて常に変わってきます。つまり監督は自ずからその状況に応じて戦術的にも常に臨機応変に変化させることが大事であるということになります。例えばメジャーの監督でも、攻撃においては序盤のフェーズでは得点を最大化する攻撃スタイルを採用する一方で、終盤、僅差であればあるほど1点を大事に取りにいくスモールな戦術を採用する傾向がはっきりあります。MLBでも、実際の数字として「1回から6回までの犠打の数」=<「7回から9回までの犠打の数」ともなっています。


戦術も序盤から終盤に向かってビックボールからスモールボールへという流れが一般的なセオリーです。これはセイバーだけではなく野村克也も言っていることです。すなわちセオリーであるからこそ、セイバーメトリクス的にもID野球的(スモールベースボール)にも結論は一致します。もちろん、ペナントから短期決戦に向かうほど、ビックボールからスモールボールへという流れが一般的な戦いのセオリーにもなります。それは、「LAD新社長フリードマンのゴードンを放出した戦略とその誤算」でも記事にしました


これを攻撃から守備に置き換えるとよって例えばPOに入るとヨーストはペナントとは若干戦い方を変えて、7回でリードになるとこれでもかと攻撃力を犠牲にしても青木というメジャー平均レベルの外野手に代えてセイバー的にもメジャー最高のアウトフィルダーであるダイソンにスィッチするスモールな戦術を採用しました。これは実に戦いのセオリーにも合致しています。実際それが功を奏して、2014ALDSのLAA戦でも8回に見事にダイソンの強肩で3塁直前で2塁走者をタッチアウトとしたシーンは象徴的です。


そんなこと誰でも知っていると思われがちですが、例えば広島の緒方という監督は2点差リードの9回で、守備範囲の異様に狭いエルドラッドを代えず結果、最終的に試合をひっくり返されたことがあったようです。一体何試合緒方監督のミスで広島は試合を落としてきたのか? 得失点差がリーグ最高の+でありながら、ぶっちぎりの最下位のチームを指揮してきた監督だけはあります。この点、緒方よりもヨーストはいい意味で非常に用心深い性格なためなのか、正しい判断を下している言えます。


しかしヨーストのこの慎重な性格は長所ではあるものの、同時にややアグレッシブさに欠けることも意味しています。ヨーストはオールドスクール型の監督であるために、例えばセイバーメトリクスにおいて盗塁という戦術の持つ価値が短期決戦においてはペナント以上に上がるという理解力もまずないと考えていいでしょう。故に、慎重な性格が災いし、リスクを恐れる余りに最も盗塁の価値が上がるワールドシリーズにおいて盗塁自体をほぼ全くと言っていいほど企画しませんでした。戦力の持ち腐れでもあり、切り札でもあった快足ゴアもほぼ全く起用されることはなかったはずです。現場で指揮する監督の考えていることは選手に敏感に伝わるものであり、ワールドシリーズで選手の足は一気に止まりました。ポージーも決して阻止率の高いキャッチャーではなかったにもかかわらずです。


過去のワールドシリーズの戦いを見ても敵からして最も警戒するのは足であるという史実があります。例えば1995年 CLEは7番マニー・ラミレス、6番ジム・トーミというステロイドエラを象徴する超強力打線でした。しかし野茂のLADを倒しリーグ戦を勝ち上がって来たATLが最も恐れたのはCLEのHR攻勢ではなく90年台最高のリードオフであったケニー・ロフトンでした。限りなく3000安打1000盗塁に肉薄したルー・ブロックの足もまた1968年のWSでは敵から非常に恐れられました。短期決戦では勢いが大事です。敵からすれば足によって心理的にかく乱させられ、奇襲や盗塁が決まった時、相手が勢いづくことが何よりも嫌なのかもしれません。ましてKCが誰か一人というわけでもなくどっからでも走れただけに、足の使い方ひとつで戦局は大きく動いた可能性があります。

通常の解説は、盗塁を企画してそれが成功したか失敗したか その結果について解説を加えます。しかし私が指摘したいのは盗塁の結果についてではありません。セイバーメトリクスの統計的な観点からもスモールベースボールの心理的な観点からも、戦略や戦術を研究してきた限りワールドシリーズになった途端、リスクを恐れる余り盗塁を企画しなかったことそのものが指揮官のミスであると私は結論しています。戦いの鉄則は敵が嫌がることをやるという実にシンプルなものです。SFのボウチーに、走ってくるKCと走らないKC、どっちが戦う相手として嫌だったか?一度聞いてみたいところです。


足を使った攻撃の話をしてきましたが今度は守備についてです。短期決戦の2014ワールドシリーズまで KCは守備シフトを敷いていたために 最も重要な場面でベルトにショート前のセーフティを決められ、それが一勝に対して大きな価値を持つ一点となったことがありました。ベルトが最も重要なシーンに取って置いたものであり、それは完全に狙ったものでした。


個人的にはKCを応援していた手前、ベルトがし掛ける前から なぜ 一戦必勝というステージのこの大事な場面までヨースト極端なシフトを敷くのか?スモールな立場からして、全くもって私は疑問でした。結果見事に決められたわけですが、どんなにペナントでベルトの打球に引っ張るという強い傾向性があったとしても 短期決戦の最も緊迫した場面で 機転を効かせられ逆をつかれたら ・・・そしてそれが決勝点になれば もう次の試合はありません。the endです。守備シフトは序盤、大量得点差があるなど相手が強打することがほぼ必定である状況以外、特に短期決戦においては非常にリスキーな戦術に成ることがあります。おそらくですがラルーサのように感性の鋭い危機察知の能力が高い監督であれば、あの僅差の大事な場面で極端な守備シフトを敷くことはまずなかったと私は考えています。これまでラルーサの戦い方を見ていてそういう隙を作る監督であるとは思えないのです。


最後に記事のまとめです。

野村IDもラルーサも所謂 オールドスクール型ですがデータ活用には極めて積極的です。 別にデータを扱うはセイバーメトリクスの専売特許ではありません。両者に違いがあるとすれば、セイバーメトリクスとは<フィルード外のオフィスのパソコンから生まれた知見>であるのに対して、スモールベースボールとは<フィールド内においてユニフォームを着た現場で指揮する者から生じた知見>であるという点です。
これからは監督が新思考型のセイバーメトリクスか?オールドスクール型のスモールベースボールか?の二者択一ではなく、データをコミュニケーションツールとしてフィールドの内と外にある者が互いの立場を尊重し、セイバーメトリクスとスモールベースボールが戦略的に止揚する段階に時代は突入したと私は考えています。

<セイバーメトリクスに基づくデータを活用する力>と同時に<フィールド内にいるからこそ見えてくる現場感覚に基づいて判断する力>、この両方を具有できれば理想的な監督です。しかしもし一人の指揮官が両方を具有できないなら、例えば監督の出自がオールドスクール型であればベンチコーチには新思考派の者を配置し、全体でバランスを取ることが大事になってくるはずです。ベンチの中にもセイバーメトリクスにある程度通じている人物が必要です。戦略的なGMであれば必ずそうした配慮もしてくるでしょうし、やがてトレンドにもなることは巷間言われていることで今更指摘するまでもありません。例えばKCのように監督もベンチコーチもオールドスクール型であると悪い意味で足並みが揃ってしまう時、異質な視点を持ち込むことができず試合全体を俯瞰する視点に欠け、結果こける可能性が高くなります。
これからの理想的な監督としての資質について以上述べてきました。次回こうしたデータ主義と現場感覚の融合が上手くいっているチームとして雑誌に紹介されていたPITの防御戦略について若干触れたいと考えています。



メジャー通必須の知識 MLB史に聳え立つ巨人ビル・ベックを知っているか

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07 /05 2015
歴史の話は特に人気なさそうですが、この記事に書かれてあることをきちんと知識として抑えておくことはMLBのプロスペクトの名前やセイバーメトリクスの最新事情を知るよりも数段大事であると私は考えています。記事後半 一気にアクセルを踏み込んだつもりです。

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もしもブルックリン・ドジャースのスカウトであったジョージ・シスラーがブランチ・リッキーへジャッキー・ロビンソン獲得を進言しなければ、有色人種であるイチローはメジャーデビューできなかった可能性があります。ベースボールの歴史というよりもアメリカの歴史にとって極めて大きなインパクトを与えた 人種差別の壁を破ったブランチ・リッキーとジャッキー・ロビンソンが苦難を乗り越えて グラウンドで喝采を浴びるまでのストーリーを描いて見せた映画「42 世界を変えた男」が1年半ほど前に公開されました。


しかし余りにジャッキーとリッキーにスポットを浴びせ過ぎるとその周りで何が起こっていたのかもわからなくなるのが人間の常です。先日 アメリカから届いた手紙の切手にラリー・ドビーの絵が描かれていました。ジャッキー・ロビンソンNLデビューに遅れることわずか数ヶ月、ラリー・ドビーもまたAL黒人初の大リーガーとなりクリーブランド・インディアンズからデビューをしていました。いったいどれだけの人がジャッキーではなくドビーの人知れぬ苦難にも想像を馳せることがあるでしょうか?


ラリー・ドビーもジャッキー同様また数知れぬ人種差別の壁と戦いながら、MLBで打点王、HR王も獲得する一流選手にのし上がります。そしてついには日本で初の超大物メジャーリーガーとして 中日にも入団を果たしたのがドビーでした。まさか日本にMLBのタイトルホルダーが来るわけがない・・・そんな時代でした。


そのラリー・ドビーがメジャーの舞台に立った最初の日が今から68年前の1947年7月5日です。ドビーはジャッキー・ロビンソンについで二番目にメジャーデビューを果たすだけでなく、メジャーで二番目にシカゴ・ホワイトソックスで黒人監督になった人でもあります。最初の黒人監督はフランク・ロビンソン。メジャー最初の監督と選手、奇しくも名前は同じロビンソンであったということになります。


本記事の主人公はそのラリー・ドビーを選手および監督にいずれも抜擢したビル・ベックという人物です。ビルベックは<スポーツマーケティングの父>とも言われており、単なる野球のみを見世物とする箱物であったスタジアムを非日常を演出する楽しい雰囲気づくりを大事とした野球場のテーマパーク化いわばボールパークのトレンドを作り出した人物でもあります。


ビル・べックは現代で言うところのカブスのマドン監督のように、ベースボールと向き合う基本姿勢としてまず心から楽しむということを第一に考える人でした。観客にプラカードを持たせて、采配を観客の投票によって決めるといった試みや番号1/8 身長1mの小人ゲーデルを起用したことでも有名ですが、wikiにもあるように「球場においても、外野フェンスを可変式にして、敵チームが攻撃しているときは後進させ、また自軍が攻撃している間に前進させるといったこともやった。」などとにかく奇抜なアイデアでどうすれば客の心を掴めるかということを考え実践してきた人でもありました。先日逝去したミノーソの5ディケートを演出したのもまたビル・ベックです。50歳を越えたミノーソを支配下登録し、試合に出るだけでなくヒットまでミノーソは1980年にMLBで記録しています。べックの信条は「楽しいことはいいことだ!」であり、人がやらないことを何でもやってみるという人でした


そのビル・ベックがホワイトソックス時代の話です。名物アナウンサー・ハリー・ケリーが7回になると実況ブースで『Take Me Out to the Ball Game』を一人で口ずさんでいたと言います。ある時、ベックは、ケリーが歌を口ずさむ様子を目にし、休憩中も実況ブースのマイクをオンにさせて、球場全体にケリー氏の歌が聞こえるようにしたのが、7th inning stretchでTake Me Out to the Ball Gameを合唱する起源です。1970年代後半、ちょうどラリー・ドビーがホワイトソックス監督時代にこの7回に執り行われるMLBの習慣は始まりました。 ビルベックが『Take Me Out to the Ball Game』を歌う文化をMLBにもたらしたというわけです。


そんなベースボールを心から楽しむ愉快な人ビル・ベックは一方で闘う人もでありました。ブランチ・リッキーと裏で共同戦線を張って、NLからジャッキー・ロビンソンをデビューさせるとともに、ALからラリー・ドビーをデビューさせ一点に人種差別の攻撃が集中しないように分散させる戦略を採用することになります。しかし私がこのビル・ベックに最も驚愕したのはドビーをアフリカ系の選手や監督として採用したことでもありません。それはビル・べックがチームのオーナーでありながら 歴史上唯一 選手のFA制度導入に尽力した人物でもあった点にあります。ビル・ベック以外すべてのオーナーは FA制度はオーナーの利益を脅かすものとして如何に排除するのかに画策を続けてきたのが メジャーの歴史でした。


オーナーとしての利益の観点だけ見れば、FA制度は選手の年俸高騰を招くことは必至であり、ふつうは反対側に回るものです。しかしビル・ベックは小さな私を超えたMLB全体の繁栄や選手が手にするべき当然の権利へ向けられていたようです。すなわち ビル・ベックは<人種差別の撤廃>と共にオーナーの当然の権利と見られていた選手を拘束する権利に制限を設けて <FA権導入>することに力を尽くした唯一無二の存在です。FA導入に対するオーナーと選手の法廷闘争でも、多くの人は後のオーナーからの報復を恐れて尻込みする中で、選手側の証言者として法廷に立ったのが、ジャッキー・ロビンソンとこのビル・ベックだったのです。この証言台に立つということは、ビル・ベックもまた他の全オーナーを敵に回すことを意味しています。単に快活で愉快な人ではなく勇気の人でもあり、義の人でもありました。


ビル・ベックはジャッキー・ロビンソンをデビューさせたブランチ・リッキーとも違います。ブランチ・リッキーは人道的な立場というよりも相当の策士であり単純に安い金で如何にいい選手を入れるかという マネーボール的な要素がジャッキー・ロビンソンのデビュー劇には多分にありました。ブランチ・リッキーはマイナーシステムをはじめて構築した人でも知られており言わば戦略家です。(はっきり言うとリッキーの印象は全体として、吝嗇家などとも言われていたようですが、良くも悪くもがめつさがあります。)そうした戦略性というものを直裁にビル・べックに感じることはありません。


<私>の利益を超えた偉大な目を持ち、今となってはビル・ベックの時代を超越した先見性が明らかとなりました。分厚い抵抗勢力をものともせずやがて人種の壁は突破され FA制度も導入されるに至り これらによってMLBに<自由>がもたらされました。繁栄というものは 概して<自由>を基礎として花開くものです。すなわちビル・ベックが追求してきた<自由>とスポーツマーケティングによる<顧客第一主義>の精神の上に、現代MLBの繁栄は築かれていると言って過言はありません。たとえこれまでビル・べックについて知らない人であっても、7回になれば必ず繰り広げられるTake Me Out to the Ball Gameの歌声を耳にすることによって、あるいはビル・ベックが考案したとされる今年100周年を迎えるリグリーフィールド名物の蔦を目にすることによって、ビル・ベックが残した歴史的遺産に絶えず我々は触れ続けています。


ビル・ベックこそは時代を超越した類まれなる先見力を有したMLB史上に聳える数少ない巨人の一人です。ビル・ベックの成した仕事の質や量をほんとうの意味で伝える記事が見当たらなかったので、この記事を書くためにも私はこのブログを立ち上げました。一人でも二人でも、ビル・ベックのユーモアたっぷりに時代を軽やかに越えてゆくような雄大なその微笑みを伝えることができたなら本望です。





毎年 4月15日のジャッキー・ロビンソンディが来る度に、どうしてこうも扱いが違うのだろうと思いつつ私はビル・ベックとともにラリー・ドビーがデビューした7月5日に想いを馳せることがあります。

「ジャッキー・ロビンソンだけでなく ラリー・ドビーの偉大さを知らしめる必要がある」

― CCサバシア―



最後になりますが、FA制度導入にもカラーバリアを突破するに勝るとも劣らない困難さを極めたことも明記しておかなくてはなりません。実際一人の選手生命がこの事件よって絶たれています。その英雄の名をカート・フラッドと言います。いずれこの英雄カート・フラッドについても記事にすることもあるでしょう。

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ボールパーク戦略の極意は<花>にあり


守備シフトを禁止する必要などない ただ今、BABIP上昇中!

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07 /01 2015


「守備シフトの有効性を過大評価してはならない」という記事で書いたように、BABIP観測の途中報告です。前回一ヶ月前くらいその時はBABIPは296でした。そして帰納的な予測としてはこれからBABIPは上昇する可能性の方が高いと言いました。現在のBABIPは298まで上昇しています。一概に言えないところですが、夏場になれば投手がへばって打者の季節に入り、BABIPは一般に上昇する傾向性があります。もちろん絶対の法則ではないので、もう少しBABIPの推移を眺めてゆくことにします。


ところで守備シフトについて解説者田口はオルティースの打席でシフトが効いてファーストゴロのシーン、おおよそこんな話をしていました。「引っ張り専門打者に対してシフトを敷くのは有効だということはわかるのですが、昨年あたりからふつうの打者にまでシフトを敷いていますよね。ほんとうにシフトはそこまで有効なのか、疑問があるんですよね」


全くそのとおりであり、論より証拠、実際に2014から2015年にかけて爆発的に守備シフト数が伸長した2014,2015のBABIPは過去2013年以前の5年と比べても2014が最高のBABIP299であり 2015が2番目のBABIP298の値を示しています。「守備シフトは実に効果的であるが、BABIPは上昇している」論理としては完全に破綻しています。プルヒッターに対しての守備シフトは数字にもあるように十二分に機能していることは私も認めます。そういう意味では決して過小評価しているわけではありません。しかし、ふつうの打者に敷いているシフトが劇的な効果を上げているのかと問われたら、NOと言わざる得ない。詳細については「守備シフトの有効性を過大評価してはならない」という記事でもご覧ください。


ところでたまにNYYのマッキャンなどが3塁線へセーフティを見せるように、あるいは昨年のWSでSFのベルトが僅差の大事なシーンでKCの守備シフトの逆をついてバントを成功しチャンスを拡大させて、結果その接戦をSFが勝ったように、ここぞという終盤、接戦という大事なシーンに対して強打のプルヒッターも秘密のバント練習をし、いざという時にプルヒッターがセーフティバントを狙うことはあってもいいのではないでしょうか。

マッキャンにしてもベルトにしてもプルヒッターではあるが、超一流の強打者には必ずしもカテゴライズされるわけでもありません。せいぜいHRも20本程度のプルヒッターなら、バント練習を継続的にコツコツしコーチからある程度の技術を教わりながら、ここぞという場面で守備シフトの逆をつくのはありだと私は考えます。もし仮にもそんなに守備シフトが目障りなら、全盛期のオルティースレベルのプルヒッターでないなら3試合に一回くらいバント2塁打を打てばいいのではないか?

新コミッショナーは守備シフトを禁止するという対処療法的な対策を講じる可能性について論じたようですが、そもそもBABIPが上昇しているのになぜ守備シフトを禁止する必要があるのか?これで守備シフトが大幅に増えた2014年からのBABIPのフェーズが明らかにがらっと変わって一気に5厘~1分程度の低下が見られるならわからなくもないですが・・・、もし仮に守備シフトが効果的なら、バントを磨いてその逆をつくまでです。

結論としては守備シフトを禁止する必要は微塵もないし、2015もシーズン通してのBABIPが明らかに低下することはまずない、そう断言して良さそうです。



大谷翔平についてのスタンス

日本ハムOB・野球評論家・プロ野球ファン・日ハムファンから二刀流・大バッシングのまさしく四面楚歌だった新人時代から一貫して栗山監督及び大谷二刀流の擁護する立場を貫く。

メジャーに大谷レベルの選手いくらでもいるとした二刀流否定派・メジャー通による「ゴロゴロ大谷説」も日本ハム時代から一蹴。

当ブログのポリシー

「これは現代に繰り広げられる壮麗なサーガであり、神話という文脈の中で大谷翔平という選手を捉えなければ、その実相は決してわからない。」

写真は古代ギリシャの神殿。