アストロズ革命!なぜ当ブログは戦略をテーマとしてきたのか。          

戦略
01 /23 2018

大谷二刀流からヤンキースとドジャースの贅沢税ラインを切る意味の戦略的な違いについて、最後にアストロズへと内容を進めていきます。

ベースボールの知識と戦略の知識は全く違うと繰り返し言ってきました。例えば今から3か月前になります、どれだけ巷において中四日だから大谷二刀流は不可能であるという言説がまかり通っていたか、みなさんは覚えているでしょうか。

中四日という固定概念に囚われた人は、張本的な固定概念と五十歩百歩であり、すべからく戦略的な思考とはどういうものなのか、全く理解をしていないと結論できます。

当ブログでは後出しすることなく8/31にこういう記事を書きました。9月に入る直前です。

「<戦略の目的>と中四日という<制約条件>を比較した際に、戦略家とは<制約条件>に縛られず目的を選択できる人のことである。

では具体的にはどうしたらいいのか。

中四日でローテは回すものというこれまでの既成概念を白紙に戻して、目的のために<制約条件>を解除する柔軟な発想をすることになる。戦略性の高いGMならば中四日という<制約条件>を動かすアイデアを必ず出してくる。

結論

<戦略の目的>と<制約条件>を明確に区別し、戦略家とは条件によって現実の動きを規定される人ではなく、条件を動かすことによって目的を達成しようとする人のことである。」

そして一か月後、9月になってパドレスが6人ローテを実践したことをおそらくこのブログを通じてはじめて知った人も少なくなかったものと考えています。エンジェルスは大谷獲得のために準備した期間も極めて短く、全く大谷から選んでもらえるとは思っていなかったようですが、とりあえず条件だけでもパドレスの打ち出している条件を包括してしまえば、DH制がある分だけパドレスよりも上に立てる可能性が出てくるとエンジェルスのGMも定石通り考えた。

戦略的思考の基礎知識があれば、大谷を獲得するためにそのチームは必ず6人ローテを導入することなるという予測は、論理的には当然の帰結であったと言えます。

何が言いたいのか。

戦略的思考においては、目的ありきであり、制約条件は解除すべきものに過ぎないということ。これは戦略において初歩の知識です。

ドナルド・トランプという大統領がいます。マスメディアによって完全包囲された者が、大統領選において奇跡的に勝利するという結果をたたき出したドナルド・トランプは建築業でブルックリン地区で成功した父フレッド・トランプに影響を受けたと言われます。

しかしドナルドが父フレッドとの決定的な違和感を感じたのは、新しい事業を起こす際に、堅実派のフレッド・トランプがまずコストカットありきの思考であった点にあると自伝にはあります。このコストカットありきの父フレッドの考え方ではブルックリン地区の地域開発では成功しても、隣のニューヨークで大成功を収めるような世界一の不動産王にはなれないとして、どうしても馴染めなかったのだとドナルドは言います。

ドナルド・トランプの口癖は「think big」。

<最高><世界一><最大>という言葉がトランプの口癖でもある。目的を世界一に定めてそのために何をすべきかと考え、実行してきた結果、トランプはメディアを最大限活用して不動産でも大成功を収め、ついにはアメリカの大統領まで上り詰めることができました。

このトランプと非常によく似ていたのがヤンキースのボスこと、ジョージ・スタインブレナーでした。最大・最強・最高が口癖だったドナルド・トランプと世界一以外勝利と認めないジョージ・スタインブレナー。この二人は政治的な信条はともかく、ジョージが生前においてとても馬が合ったと言われています。

このトランプとジョージの二人と全く正反対の発想をするのが、フレッド・トランプでありハル・スタインブレナーであるということになります。フレッド・トランプとハル・スタインブレナーの共通する特徴は、ドナルドやジョージのような目的思考ではなく、真っ先にまず目に入るのがコスト削減でありコスト・パフォーマンスであり、そこから物事を演繹的に目的アプローチするという特徴があります。

制約条件から演繹的に目的にアプローチする人物のどこが、いったい戦略家であるのか。このようなに制約条件から思考することを是として説いている戦略の本は皆無であると断言しておきます。

この記事も書きました。

ヨギ・ベラの再来なるか ゲーリー・サンチェスがヤンキースの未来を担う

ペイロール3億ドル突破という拡大均衡から縮小均衡というドジャースの方針は戦略的に正しいが、ハル・スタインブレナーが打ち出している縮小均衡からの拡大均衡は戦略的に間違っていると繰り返し私は述べてきました。ドジャースが贅沢税ラインを一度切ろうとしている動きとヤンキースの贅沢税ラインを切ろうとする動きは似て非なるものであるのです。もしこの極めて重要なポイントを指摘できなければ、戦略について全くわかっていないということになる。戦略的なコスト削減と単なるケチは同じように振る舞っていても似て非なるものである。

ではその方針の是非はどこで測られるべきか。勝利の生産性と観客動員でそれははっきり数字として表れることになるとも結論してきました。

キャッシュマンというGMが極めて優れた動きをしているために、ハルの戦略ミスは気取られないように体裁は整っていますが、仮に両チームが2018年に贅沢税ラインを一度リセットするにしても、事実として、5年連続地区優勝しメジャー最大の観客動員を誇っているのはドジャースであり、そして5年連続で地区優勝を逃し、観客動員も2017年には戻してきたもの、トレンドとしては下がり続けてきたのがヤンキースである点を見過ごしてはなりません。

勝利の生産性と観客動員でドジャースとヤンキースの戦略性の優劣ははっきり示されています。しかもドジャースが贅沢税ラインを一度切ることによって、より積極的に2018年オフに動きを入れようとしているのに対して、やはりというべきでしょう。ハルはどうやら2018年以降も贅沢税ラインという制約条件に縛られた動きになることを今から示唆する発言をしています。もし超えるとしても本来が発揮すべき大胆さはほとんど見ることができない。ヤンキースが本領を発揮すればこんなものではない。

(この記事は1/10にはすでに書き上げていたのですが、そこへダルビッシュの7年大型契約の報道が昨夜なされました。第一報を聞いた時、ヤフコメを見た限りおそらくそれを真に受けコメントしていた人80~90%、そしてガセだとすぐに直感した人10~20%。当然のことながらガセの可能性が高いと踏んだ私はふだんツィッターは見ることはないですが、確認のためにすかさずダルビッシュのツィッターを確認すると、やはりガセ判明。)

ゴンザレス、ベケット、クロフォードを引き取ったブロックバスターに代表される豪快なディールを放漫経営と決めつけ、今の育成重視の方針がさも正しいとする主張をするありがちなステレオタイプな記事も見受けられます。

拡大均衡をすべき時期に強烈なブロックバスターをかまして一定の成果である地区優勝を果たし、フェーズが切り替わったところを見計らって、プロスペクトに重点を移動させて縮小均衡へと移行する。このドジャースの一連の動きの中に極めて戦略的な思考を見出すことが可能です。今のプロスペクト重視、コスト削減の動きが正しくて、一昔前の金にものを言わせてのFAによる選手の強奪を放漫経営というレッテルをはりつけるトーンで記事を書いているライターたちは、戦略のことについてよくわかっていないと言っていい。

拡大均衡が戦略的に正しく、縮小均衡が戦略的に間違っているとか、コスパの良し悪しと戦略的な正しさとは基本的に関係ありません。FA重視が戦略的に間違っており、育成重視が戦略的に正しいというわけでもありません。戦略的に正しいかどうかは、環境に如何に柔軟に応じて目的に向かって正しい判断を下せるかにかかっています。ドジャースが2012年にコンテンダーでありつづけることをファンに示すため、直近の3年はPO進出すらままままならなかったチームを最低限の目標ではあった地区優勝を達成した点において、コストパフォーマンスを軽視した豪快なブロックバスターも評価されるべきだということです。

オーナーが切り替わった途端、豪快なブロックバスターで地区優勝するのと、マーリンズのようにコストカット連発でファンや選手のやる気をなくさせるのではどちらが正しい判断でしょうかということです。戦略的に見てあのドジャースのブロックバスターは正しい判断であったと当ブログでは結論する。

日本のプロ野球ファンにありがちですが、育成重視のコストパフォーマンスに優れたスモールマーケットが勝ち上がることを過大に評価し、FAや外人を積極的に獲った結果、ビックマーケットのチームが優勝するのを過小に評価するという明らかなバイアスが存在しています。逆に言えば、育成に失敗して弱小でありつづけるスモールマーケットのチームを激しく叩くことはほぼないが、不味いFAで失敗し続ける巨人になると目の色を変えてそら見たことかと徹底的にたたきまくるという明らかな傾向が認められる。

結論

メジャーでは中四日でなければならないという先入観、固定概念。金満を殊更に批判し育成コスパ重視を優れたものと見なす明らかな偏向、バイアス。

戦略的な思考において最もそれを邪魔するものとは、固定概念でありバイアスである。目的に焦点を合わせ、固定概念やバイアスを丁寧に駆除し、リスクを許容しつつも物事の優先順位を的確に定めることを戦略的であると言う。また戦略的正しさとは、状況に応じて変化するものである。あるフェーズでは拡大均衡が正しいように、またあるフェーズでは縮小均衡が正しということがある。

「MLB 戦いの原理を求めて」がなぜ戦略をテーマとしてきたのか。

当ブログが見た限り、日本ハムやドジャース、あるいはアストロズのルーノウなど極めて戦略的であり、いわゆる彼らは戦略のプロである。

例えば経営コンサルタントからGMへ転身することなどもある一方で、経営コンサルタントがライターへ転身することは果たしてあるか。おそらくほぼない。ではライターたちが戦略について学ぶ機会はいったいあるか?そうした機会は基本ほとんどないわけです。戦略という観点から見ると、戦略のプロがフロントランナーとしてベースボールの世界をリードしているとすれば、それをフォローする記者たちにはそれを的確に捉えるだけの素養がないために、大きなスペースがぽっかりと空いているように少なくとも私には見えた。

先日「アストロズ革命」BSの放送がありました。戦いを略すると書いて「戦略」という。略することができる戦いの本質的な部分は重要なキーワードに集約されるものです。2015年、当ブログではアストロズが攻撃において如何にフライボールを打ち上げるか、同時に防御においては如何にフライボールを打たせないかという課題を絞り込んだ戦略を打ち出しているとするセイバーメトリクスに基づく分析しました。

アストロズの戦略がフライボールというキーワードを元に形成されていることを指摘した最も早い段階で分析した記事であったろうと考えています。

アストロズの強さの秘密 その戦略をセイバーメトリクス分析する 防御編

アストロズの強さの秘密 その戦略をセイバーメトリクス分析する 攻撃編

あの番組を通して、当ブログの戦略的なモノのへの捉える分析力は、そう侮られるものではなかったことが証明されたと個人的には考えています。ちなみに2015年のアストロズの快進撃についてスカスカのセイバー分析をしたあるライターは、ヤンキースが贅沢税ラインを切ることを戦略的に正しいと言っていました。

最後に

メジャー通必須の知識 MLB史に聳え立つ巨人ビル・ベックを知っているか

尚、このブログはこの歴史の記事を周知するために、立ち上げたものでもあります。時間軸の中で可能な限り自在に思考の翼を広げて、過去に眠った歴史を現代に蘇らせると共に、未来へのトレンドへ焦点を当てるようなブログでありたいと私はずっと考えていたような気がします。

これまで、巨人福田を永久追放してはならない。ボンズは必ず殿堂入りする。総合判断としてジラルディは有能な監督である。フライボールはガチでもう古い、など他にも数多くの少数派の意見をアップしてきました。必ずしも多数派にその身を置いてきたわけではありません。しかし理解を示してくれた方々も少なからずいました。この最後の記事を読んでくれた人へ、感謝の意を述べてこのブログを終えたいと思います。ヤンキースがダルビッシュへ7年1億6千万ドルオファーという情報をガセではないかとする健全なリテラシーをもって私はこれからもメジャーを見続けていくことになるでしょう。

ちなみに アストロズ革命という番組を見て、時代はここまで進んでいるのかと感心して見ているだけでは駄目なのであり、すでに一般に公開されているということは番組で紹介されたそれらの知識は過去の知識となっている。

未来への予兆は現在のただ中にこそ眠っている。

過去に目を閉ざす者は未来に対して盲目でもある。だからこそ歴史を深く学んでゆくことが未来への透視力を担保することになる。

 by Field of Dreams

大谷翔平についてのスタンス

日本ハムOB・野球評論家・プロ野球ファン・日ハムファンから二刀流・大バッシングのまさしく四面楚歌だった新人時代から一貫して栗山監督及び大谷二刀流の擁護する立場を貫く。

メジャーに大谷レベルの選手いくらでもいるとした二刀流否定派・メジャー通による「ゴロゴロ大谷説」も日本ハム時代から一蹴。

当ブログのポリシー

「これは現代に繰り広げられる壮麗なサーガであり、神話という文脈の中で大谷翔平という選手を捉えなければ、その実相は決してわからない。」

写真は古代ギリシャの神殿。